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太陽光発電投資に有効な保険の種類と補償内容

太陽光発電投資は、安定的なリターンを得られる投資であるものの、自然災害やそれにともなう稼働停止のリスクを抱えています。これらの懸念点を解消し、損失の可能性を排除するために利用されるのが保険です。

今回は、太陽光発電投資に利用できる保険の種類、および補償内容についてご説明します。

保険の加入が推奨される理由

毎月のランニングコストが増えるため、コストカットの観点から「保険の加入」は判断に迷う部分です。太陽光発電所を購入する際にメーカー保証が付帯されていることから、メーカー保証の適用期間中は保険に加入せず、メーカー保証が終了する10年目、15年目といったタイミングから保険を利用するケースもあります。
一般的に、以下のようなトラブルはメーカー保証でカバーできます。

  • 太陽光パネルが製造不良や不具合が起きた場合(製品保証)
  • 太陽光パネルの出力がメーカーが定める経年出力値を下回った場合(出力保証)

しかし、いずれもメーカー保証期間内であること。ほとんどの場合、製品保証と出力保証では保証期間が異なるので注意してください。

「大赤字のまま撤退を強いられる状況」は保険で回避できる

保険に加入をしている場合、ランニングコストは増加するものの、投資額を取り返せないまま大損失を抱えて終わることは稀です。なぜなら、太陽光発電投資の利益はFIT制度により強力に支えられており、基本的に投資額以上のリターンを得られるよう設計されているからです。

空室リスクのある不動産投資のように、物件を購入したものの「入居者が現れずに赤字」という事態は起こり得ず、太陽光発電投資は太陽光さえあれば収入を得られます。そのため、保険に加入して万が一に備えさえすれば、収益の構造的に大赤字を抱えたまま撤退を余儀なくされる可能性はわずかだといえるのです。

一方、保険に加入しなければ、ランニングコストはかからないものの多大なリスクを背負うこととなり、場合によっては再起不能になるほどの損失を抱えてしまいます。

保険未加入の場合は投資額以上の損失も懸念される

保険に加入しなければ、事故の内容次第で際限なく損失が発生します。

たとえば、管理不足により設備の設置に不備があり、暴風によって太陽光パネルが飛散して近隣住民に多大な被害を与えれば、太陽光発電所の修繕費だけでなく賠償金も負担としてのしかかります。
隣家の修理にかかる費用、怪我を負わせた人の治療にかかる費用など、被害のスケールによっては多方面から賠償金を請求される可能性があり、膨大な金額の損失になりかねません。

保険の加入を渋ったために、身の丈を超えるレベルの損失に悩まされても、あとから解決する術はありません。こういった理由により、基本的には保険に加入すべきだと判断できます。

どのような保険があるの?

太陽光発電投資に利用できる保険は、大きく4つに分類されます。

  • 火災保険
  • 動産総合保険
  • 賠償責任保険
  • 休業補償保険

このうち、火災保険と動産総合保険は重要度が高く、多くの投資家が加入しています。一方、賠償責任保険や休業補償保険は、投資家の考え方によって加入するか否かが二分される傾向にあり、その特性を知って各々が適切な判断をすべき保険です。
どれが必要で、どれが不要だといった評価は一括りにできないため、購入を検討する物件の条件にあわせて検討していきましょう。

火災保険・動産総合保険

火災保険と動産総合保険は、いずれも火災や風災などの自然災害を受けたときに機能する保険です。共通点が多いものの、細かい部分で補償範囲が異なっているため注意しなければなりません。

火災保険と動産総合保険の補償範囲は、以下の通りです。

  火災保険 動産総合保険
火災・落雷・爆発
風災・雪災・雹災
水災
電気的事故・機械的事故 補償範囲外
盗難 補償範囲外
不測かつ突発的な事故 補償範囲外

一般的に、火災保険より動産総合保険の方が保険料は高額な傾向にあるものの、保険会社によって補償内容は異なり保険料は大きく変わります。金額の目安としては、低圧(50kW未満)の太陽光発電所1件につき、1年あたり1万〜4万円です。

今回ご紹介する保険のなかで加入の優先度は最も高く、実際に多くの投資家が火災保険・動産総合保険のいずれかを利用しています。なお、火災保険のみ補償対象になっている「電気的事故・機械的事故」、動産総合保険のみ補償対象となっている「不測かつ突発的な事故」は、以下のようなものを指しています。

電気的事故ショート・スパークなどの電気的な問題により機械に損傷が起こる事故
機械的事故
不測かつ突発的な事故飛来物による損傷など

また、火災保険・動産総合保険は、もともと地震が補償範囲に含まれていないケースが大半であるため、地震に対する保険を付与するなら特約に別途加入しなければなりません。保険の加入を検討するまえに、詳しく補償範囲を確認するように意識することを推奨します。

賠償責任保険

賠償責任保険は、自身が運用している太陽光発電所が、何らかの形で他者に損害を与えたときに補償を受けられる保険です。

たとえば、強風によって太陽光パネルが飛散したとき、近隣の住宅や自動車に衝突したり、歩行者に怪我を負わせたりといった事故に繋がる可能性があります。このような事故が発生してしまった場合には、多額の賠償を負う恐れがあり、ときに事業の継続が危ぶまれる懸念すらあるのです。賠償責任保険は、こうした最悪の事態に遭遇した際の損害を軽減し、自身の事業と損害を与えてしまった相手を守る重要な役割を果たします。

物件の条件によって価格はピンキリであるものの、年間の保険料が1万円未満で収まるケースもあり、周辺の環境次第から予想されるリスクによっては十分に検討の余地があります。

休業補償保険

火災保険や動産総合保険は、補償範囲に当てはまる災害に遭遇した際、損傷を回復させるための費用を補う目的で加入します。 しかし、太陽光発電所の稼働停止により得られなかった収入は、これらの保険で補償されません。ごく短期間の稼働停止であれば被害は小さいものの、数日や数週間単位で売電がストップすれば、非常に大きな利益を失うことになります。

休業補償保険は、こういった「稼働停止による売電収入の損失」を補償する保険です。以下の2種類が存在し、それぞれ異なる損失を補償しています。

  • 自然災害などのトラブルを対象とした休業補償
  • 出力抑制(出力制御)による損失を対象とした休業補償

後者が補償する「出力抑制(出力制御)」は、発電の需要を供給量が上回ることで実行される対応です。出力を制御されるため、売電を制限され利益が減少することから、それをカバーするための保険が用意されているのです。

いずれの保険も、加入することで売電ができない期間に保険会社から補償を受けられ、金銭的な損失の拡大を回避できます。利用する場合は、太陽光発電所の設置エリアから想定される災害・トラブルを予測し、適切な内容の保険に加入しましょう。低圧物件の場合、年間の保険料は1万円未満で収まるケースが多いため、利益を圧迫するほどのコストにはならないはずです。

安心!保険の選び方

保険を選ぶ基準はケースバイケースであるため、購入を検討している物件の条件にあわせて、各々が保険に加入するか否かを決める必要があります。
保険を選ぶにあたり、考慮すべきポイントは以下の通りです。

  • 設置エリアで想定される災害
  • 近隣住宅や人通りの有無
  • 毎年の保険料
  • 保険の補償範囲

それぞれ、上記のポイントからどのように判断すれば良いのか、順にご説明します。

設置エリアで想定される災害

保険の選定基準として最初に考えるべき点は、設置エリアで想定される災害です。FIT制度により、利益率が安定している太陽光発電投資のうち、最も経済的な損失を引き起こす要因は自然災害だからです。

購入を検討している物件の近くで懸念される自然災害は、国土交通省や各自治体が公表している「ハザードマップ」を利用して洗い出します。ハザードマップから読み取れる要素は、以下のようなものです。

  • 地震
  • 洪水
  • 津波
  • 土砂災害

また、ハザードマップでは確認できないものの、過去の気象ニュースから台風による被害事例を参照し、台風の発生時における被害の程度が分かれば理想的です。このうち、どのような災害に遭遇する可能性が高いのか確認し、その被害に対応できる内容を備えた保険選びをおすすめします。

平成30年に公表された経済産業省のレポート「今夏の太陽電池発電設備の事故の特徴について」では、台風に起因する豪雨や暴風により、土砂災害で太陽光発電所が崩れたり、暴風で太陽光パネルが飛散したりといった事例が報告されました。
レポート内では、一度の台風により20件超の太陽光発電所が被害を受けたと発表されています。この事実から、太陽光発電所は風雨により損壊しづらいよう設計されてはいるものの、その強度を過信してはいけないのだと判断できます。「自身には当てはまらないだろう」と楽観的に捉えることなく、常に万が一を想定して慎重に検討すべきでしょう。

近隣住宅や人通りの有無

4つある保険のうち、賠償責任保険は他者に対して損害を与えたときに機能する保険です。そのため、物件の周辺に住宅・施設が一切なく、人通りが皆無なら加入は必要ない可能性があります。

賠償責任保険は、管理不足などの理由により加害者となってしまったとき、負わなければならない金銭的な負担をカバーするものですが、とにかく加入すれば良いわけではなく「費用対効果に見合っているのか」を判断する意識も大切です。
賠償責任保険の加入に肯定的でも、あるいは否定的だったとしても、ひとまず現地の周辺状況を確認してから検討することをおすすめします。

毎年の保険料

加入する保険を選ぶとき、コストは重視すべき点だといえます。保険料を年間5万円だと想定するなら、20年間の運用で支払う保険料は100万円です。しかし、これを年間2.5万円に抑えれば、20年の保険料合計額は50万円まで減り、まとまった金額を節約できます。

太陽光発電の保険は価格帯が広いため、複数の保険会社を比較検討することで、より安価な保険を見つけられる可能性があります。適正価格より高額なコストを負担しないよう、保険料に対してシビアな判断基準を持つことは大切です。

保険の補償範囲

保険の補償範囲も、保険を選定する際に重視すべきポイントの1つです。

火災保険や動産総合保険を始め、主要な保険がカバーする主な補償範囲は前述したものの、細かい仕様は保険会社によって異なります。そのため、補償されると思い込んでいた被害に対応しておらず、保険が機能しない可能性も十分にあるのです。
これでは「かけた費用に対して効果を得られない」という、思わしくない事態を招いてしまいます。保険の概要と価格だけで決めるのではなく、補償範囲の詳細まで入念にチェックするよう心がけましょう。

一般的な補償プラン

保険について理解は深まったものの、どのような補償を取り入れれば良いのか分からないケースは少なくありません。そこで、ここまでにご説明した保険選定のポイントを押さえつつ、実際の判断にどうやって活かせば良いのか参考例をご紹介します。

参考例を示すにあたり、以下のような2つのモデルケースをご用意しました。

  Aさん Bさん
懸念される災害 水災・地震 雪災
近隣住宅・人通り なし あり
毎年の保険料 予算に余裕あり 低コストを追求
保険の補償範囲 安心感を優先 最小限を希望

これらを前提条件として、AさんとBさんに適した補償プランの内容をイメージしてみましょう。

Aさんに適した補償プランの例

水災や地震の危険がある環境下で、安心感を優先したいAさんに適した補償プランは以下のようなものです。

  • 火災保険(または動産総合保険)
  • 地震特約
  • 休業補償保険

火災保険や動産総合保険は、もとから地震に対応していないケースが一般的であるため、地震特約を別途契約することで地震に対応させます。
また、複数の災害が懸念されるため、稼働停止による利益獲得の機会損失を回避する目的で、休業補償保険に加入すれば安心でしょう。

Bさんに適した補償プランの例

一定の安心感を確保しつつ、低コストを重視したいBさんのような場合には、補償範囲の取捨選択と保険会社の検討が重要になります。

  • 火災保険(または動産総合保険)
  • 賠償責任保険

Bさんの要望を反映するなら、「利益を取り逃がさないように」というより、事業の続行不可能を回避するための選択が主になるでしょう。そのため、利益獲得の機会を補償してもらうための休業補償保険は、Bさんのケースでは必要ありません。前提条件として、近隣住宅や人通りが多いために賠償責任保険を組み入れたものの、保険料にコストを割きたくないのであれば「物件の設置エリアから再検討する」というアクションも選択肢に入ります。
ただし、いずれにせよ火災保険、あるいは動産総合保険に加入することをおすすめします。

おわりに

利益の追求を目指すとき、保険料は不要なコストとしてカットの候補に挙げられますが、自然災害による想像以上の被害で大赤字になることを考えれば、リスク軽減の方法としてこれ以上に有効な手段はありません。
太陽光発電所が損壊したとき、修繕費を自費で捻出すれば金銭的負担は非常に大きくのしかかります。さらに、稼働を停止している期間の収入は失われ、条件次第では賠償金を請求される恐れもあるのです。それを回避するためであれば、年間数千円や数万円の負担は決して高くないはず。問題が起こってから後悔しないよう、保険料は必要な投資だと考えて加入することをおすすめします。 本記事を参考に、どのような保険に加入するのが良いのか吟味し、後悔のない選択ができるよう役立てていただければ幸いです。