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太陽光発電のメリット・デメリット 2020年以降の設置は損?

地球の温暖化問題が叫ばれる現代にあって、温暖化の防止に役立つ太陽光発電が注目を集めています。温室効果ガスである二酸化炭素を出さない再生可能エネルギーです。太陽光発電を行うには、自宅の屋根に設置するだけではなく、事業用の太陽光発電に投資するという方法もあります。個人が様々な形で関わることができるのが、太陽光発電です。

今回は、太陽光発電に興味や関心があるものの、どういうものだかいまいちピンとこないという方のために、太陽光発電の仕組みやメリット・デメリット、将来性などについて解説していきましょう。

太陽光発電とは

太陽光発電とは、再生可能エネルギーの一種である太陽の光をエネルギーにして発電する発電方式です。現在日本で主流となっている火力発電では、石炭や天然ガスを燃料にしています。火力発電には、燃料を燃やす際に地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出するという問題点があります。

その点、再生可能エネルギーは自然界に常に存在するため、上手に使えば枯渇のリスクがなく、発電時に二酸化炭素も排出しません。つまり太陽光発電は、地球環境に優しいクリーンな発電方式だと言えるのです。

太陽電池が発電する仕組み

太陽光発電では、発電機の役割を持つ「太陽電池」が、太陽の光を受けて発電しています。太陽電池は、太陽の光が半導体に照射されたときに発生する「光起電力効果(ひかりきでんりょくこうか)」と呼ばれる現象によって発電する仕組みです。

*太陽光発電協会(太陽電池とは

太陽電池は、それぞれ「n型」と「p型」と言われるシリコン型の半導体が2層に重なって作られています。光電効果が起きるとプラスの電気を持った正孔とマイナスの電気を持った電子が発生し、正孔はp型に、電子はn型に移動します。この電子の移動によって、電気が流れるのです。正孔というのは耳慣れないかもしれません。これは、あるべき電子がなくなった孔だと考えてください。

この太陽電池を大量につなげて大きくしたものが、「太陽光パネル」です。太陽電池素子は「セル」といい、これを必要枚配列して、屋外で利用できるよう樹脂や強化ガラスなどで保護しパッケージ化したものが1枚の太陽光パネルになっています。つまり太陽光発電では、太陽光パネルが太陽の光を受けることで発電をしているのです。

太陽光パネルによって発電された直流電気は、「パワーコンディショナー」というインバーターの一種である機器によって、家庭などで使用できる交流電気に変換されます。パワーコンディショナーによって変換された電気は、東京電力などの各地の電力会社に売ったり、家庭で使うことができます。

発電効率を良くするための条件

太陽光発電では、太陽光パネルを設置する場所や条件によって発電効率が異なります。発電効率を良くするための条件は、主に以下のとおりです。

  • パネルを南向きに設置する

発電効率を上げるうえでは、パネルを南向きに設置するのが有効です。太陽からの放射エネルギー量である「日射量」は、太陽が真南にある正午に最も多くなります。パネルを南向きに設置することで、発電効率を高めることができます。

  • 日射量の多い土地に太陽光発電所を設置する

事業用の太陽光発電の場合、太陽光発電所を設置する場所の選定も重要です。日射量の多さは、地域によって差があります。太陽光の少ない雨天時は、日射量も少なくなります。そのため雨や雪、曇りの多い地域では、十分な発電は望めません。

事業用の太陽光発電所の運用を考えている人は、設置場所を決めるにあたって「NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)」の日射量マップをチェックするといいでしょう。日射量マップでは、全国各地の平均日射量が公開されています。

  • 影が当たらない場所にパネルを設置する

太陽光発電所を設置するうえでは、周囲に影になるような高い建物などがないかも確認しておきましょう。太陽光パネルに影ができると、その部分は太陽光を受けられず、発電ができません。その分、全体の発電量が減ってしまうのです。

FIT(固定価格買取)制度とは

太陽光発電で発電した電気は、「FIT制度(固定価格買取制度)」によって、電力会社に買い取ってもらえます。FIT制度とは、再生可能エネルギーを使って発電した電気を、国が定めた固定価格で、電力会社が買い取るよう義務付ける制度です。
発電量1kWhあたりの売電単価である「FIT単価」は、FITの発電設備として認定された年度によって異なります。また、FIT価格で売電できる期間である「FIT期間」や売電形式は、「住宅用」か「事業用」かによっても違いがあります。

住宅用と事業用の違いについては、次のパートで説明していきましょう。

住宅用と事業用の違い

FITでは、太陽光発電の発電容量を基準として、住宅用と事業用の2種類に分けています。具体的には、発電容量10kW未満を住宅用とされており、住宅の屋根に10kW以上の設備を設置した場合は事業用ということになります。

  住宅用 事業用
パネル容量 10kW未満 10kW以上
設置場所 屋根 野立て/屋根
売電形式 余剰売電 全量売電/余剰売電
FIT期間 10年間 20年間

ここでは上記の表をもとに、住宅用と事業用、それぞれの違いについて説明していきます。

住宅用太陽光発電

発電容量が10kW未満の場合は、住宅用になります。住宅用の場合、太陽光パネルは住宅の屋根に設置する形です。住宅用の太陽光発電では、発電した電気を家庭で使い、余った電気を電力会社に売る「余剰売電」になります。先ほども説明したとおり、FIT単価はFIT制度によって保証されています。

2009年の単価は、48円/kWh、2012年の単価は42円/kWhでした(いずれも消費税込み)。その後、毎年価格は引き下げられ、2019年のFIT単価は、「東京電力」「中部電力」「関西電力」の3エリアなら24円/kWh、それ以外のエリアは26円/kWhです。2020年のFIT単価については、2020年1月時点で、まだ確定していません。FIT期間は、10年間と定められています。

事業用太陽光発電

パネル容量が10kWを超える太陽光発電所は、事業用になります。事業用の太陽光発電の場合、土地に架台を建て、そこにパネルを設置する「野立て」が一般的です。

2012年のFIT単価は40円/kWhでした(消費税別)。その後、毎年引き下げられ、2019年のFIT単価は14円/kWhになりました。しかも発電容量500kW以上の場合は入札制度になるため、さらに安い価格になっています。事業用についても、2020年1月時点で、2020年のFIT単価は確定していません。また、2021年度にはFIT制度ではなく別の制度にすることが検討されています。

太陽光発電のメリット

太陽光発電には、主に以下のメリットがあります。

  • 燃料がいらない
  • 発電時に二酸化炭素を排出しない
  • 電気代を安くできる
  • 災害時に非常用電源として電気を使える

先ほども説明したとおり、太陽光発電は火力発電と違って、発電時に二酸化炭素が発生しないクリーンな発電方式です。そのため、太陽光発電を活用することで、地球温暖化防止に貢献できます。

太陽光発電のデメリット

ここまで太陽光発電のメリットについて説明してきましたが、これにはデメリットもあります。太陽光発電の主なデメリットは、以下のとおりです。

  • 日中しか発電しない
  • 発電量が安定しない

太陽光発電は、太陽が出ている日中しか発電しません。したがって、夜間は使うことができません。また、雨やくもりの日はほとんど発電しませんが、晴れたりくもったりという天気だと、発電が不安定になります。

太陽光発電の注意点

太陽光発電所は屋外に設置するため、自然災害が起きたとき、その影響をダイレクトに受けてしまうという注意点もあります。2019年には、台風15号や19号など、大規模な台風が発生しました。経済産業省によると、発電容量50kW以上太陽光発電設備に限っても、台風15号では7件、台風19号では18件もの被害が報告されています。

被害を防ぐためには、自然災害にも耐えうる、太陽光発電所のしっかりした施行が必要です。また、被害を受けてしまっても、あらかじめ火災保険や動産総合保険に加入しておけば、設備の修理代や修繕代を賄えます。

太陽光発電にかかるコスト

太陽光発電は燃料代はかかりませんが、安定して発電していくためには、設備の点検やパネルの清掃、施設内の草刈りなどの定期的なメンテナンスが欠かせません。こうしたメンテナンスについては、専門の事業者が行っています。事業用の太陽光発電では、定期的な点検が義務付けられていますが、改正FIT法以降にFIT認定を受けた案件は10kW未満の住宅用も含めメンテナンスが義務化されています。メンテナンスの内容や頻度は「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」をご参照ください。
また、パワーコンディショナーの寿命は一般的に10年といわれています。こうした機器の交換も必要になってきます
事業用の太陽光発電の場合、この他にも土地の賃料や固定資産税、ローンの利息などがかかります。

地球を取り巻く環境問題と太陽光発電の将来性

現在、太陽光発電は大きな過渡期にあると言えます。事業用の太陽光発電では、現行のFIT制度が2020年に終了する見込みです。FIT制度が終了すれば、事業者は自分で電気の販売先を見つけるか、二酸化炭素を排出しない環境価値をプレミアムとして上乗せして、電力卸市場に売電することになります。

住宅用の太陽光発電は今まさに、「2019年問題」に直面しています。住宅用の太陽光発電では2009年11月から、「余剰電力買取制度」として始まり、2012年度に「FIT制度」になりました。売電期間は10年間のため、制度が始まった直後に住宅用の太陽光発電を始めた人たちの買取期間が、ちょうど終了したところです。買取期間を終えた人たちの多くは、FIT単価よりずっと安い価格で売電しているか、発電した電気を蓄えておける「蓄電池」などを導入して自家消費できる分を増やしています。

この一方で、日本は地球温暖化を防止するための国際的な協定である「パリ協定」において、温室効果ガスを2030年までに少なくとも26%削減することを目標にしています。この目標は、さらに削減量を増やす方向で見直される可能性もあります。また、日本は2050年には温室効果ガスを80%削減するとしていますが、世界的には、2050年に100%削減を目指す国も出てきています。

地球温暖化防止に向けて、独自に取り組む企業も増えています。例えば、事業で使うエネルギーを再生可能エネルギーのみで賄おうという国際的イニシアチブである「RE100(Renewable Energy 100%)」が世界的に広まっています。2019年12月時点で、RE100に加盟している日本の企業は30社です。こうした企業は、自社で使う電気だけではなく、取引先が使う電気も再生可能エネルギーにしていこうとしています。そのため、自家消費用の太陽光発電を設置する企業も増えています。
こうした取り組みが増えてくれば、FIT制度に頼らなくても、太陽光発電は増加し、二酸化炭素排出量の削減、ひいてはパリ協定の目標達成に近づいていくことでしょう。

おわりに

太陽光発電のメリットは、何よりも地球温暖化防止に貢献するということです。同時に、災害時も使える電源となることも魅力です。
地球温暖化には、気温が上昇することによる熱病や死亡のリスク、海面上昇による沿岸部への洪水や都市部への浸水のリスクなど、見過ごせない様々な問題があります。こうした問題を未然に防ぐためにも、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーの普及は欠かせません。
温暖化の防止には、一人ひとりの協力が必要です。自宅の屋根に太陽光発電を設置するというのもいいでしょう。それだけではなく、太陽光発電への投資は、地球温暖化を防ぐ資産運用ともなります。こうした方法で、地球温暖化防止に貢献することもできます。
太陽光発電への投資には、直接の投資の他に、ファンドという形で商品化されているものもあります。こうした投資については、別のページで紹介します。 まずは、太陽光発電について、設置や資産運用などさまざまな形でかかわることができる、身近なものと感じていただけたらと思います。