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NTTとリージョナルフィッシュ、海洋の二酸化炭素減少を目指し実証実験開始

NTTとリージョナルフィッシュ、海洋の二酸化炭素減少を目指し実証実験開始

2021年11月16日

11月12日、日本電信電話(NTT)とリージョナルフィッシュは、海洋中に溶け込んだ二酸化炭素量を低減させる二酸化炭素変換技術の実証実験を開始した。

生態系への影響がない環境下で、ゲノム編集技術を適用した藻類と魚介類の食物連鎖を用いて二酸化炭素減少を目指す。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書によると、地球上から大気中に排出される二酸化炭素の総排出量のうち、海洋からの排出量は33.7%だが、大気中からの二酸化炭素の吸収割合においても、海洋は34.6%を占めており、そのほとんどが湿地や海藻藻場の海洋生物によるものだという。

そのため、海洋における二酸化炭素排出量の減少および、吸収量増加技術は、大気中に滞留する二酸化炭素量削減に対して有効と考えられることが今回の実証実験開始の背景にある。

本技術は、海洋中の二酸化炭素を吸収する藻類と、それをエサとする魚介類による炭素循環にゲノム編集技術を応用した環境負荷低減技術になる。

NTTが藻類の二酸化炭素固定量を増加させるゲノム編集技術の研究開発に取り組み、リージョナルフィッシュが魚介類の体内に固定する炭素量を増加させるゲノム編集技術の研究開発に取り組む。

ゲノム編集技術を適用した藻類と魚介類の食物連鎖により、海洋における炭素固定量の相乗的増加を目指すという。

ゲノム編集を適用した藻類と魚介類は、陸上養殖のプラットフォームを活用し、実環境へ放出させない拡散防止措置を施す。これにより、海洋生物へ影響を与えることなく、海洋中の二酸化炭素量のみを低減する実証モデルを構築している。

今回の実証実験では、藻類による二酸化炭素固定量を最大化する遺伝子や魚介類への給餌に適した培養条件などを明確化し、魚介類に対しても、二酸化炭素固定量を最大化するためのゲノム編集方法や育種方法を検討する。さらに、藻類および魚介類への二酸化炭素固定量の定量的評価方法を確立するための検討も予定されている。

同社は今後、同技術の実証試験を重ね、海洋中に溶け込んだ二酸化炭素量を低減させる二酸化炭素変換技術の実用化を目指し、将来的には、本技術を魚類や農作物の生産量増や高品質化にも適用することも検討している。

また、海洋だけでなく、土壌からの二酸化炭素排出量の制御や森林における二酸化炭素吸収量の増加が期待できる環境負荷低減技術の検討にも取り組む予定。

同社は、これらの技術を組み合わせて、環境負荷ゼロ実現への貢献だけでなく、世界の食料不足などの解消も目指す。

EnergyShift編集部
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