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太陽光関連事業者に淘汰の波 FIP移行でさらなる縮小か、それともオフサイトPPAの起爆剤となるか

太陽光関連事業者に淘汰の波 FIP移行でさらなる縮小か、それともオフサイトPPAの起爆剤となるか

2022年02月24日

太陽光関連事業者の淘汰が止まらない。帝国データバンクによると、固定価格買い取り制度(FIT)の買取り価格の引き下げ、さらにコロナ禍による経済低迷が重なった結果、2021年のプレーヤー数は5,423社と2018年比で約3割減少、市場規模は22.5兆円と半減した。太陽光関連事業者にとって厳しい経営環境が続く中、大規模太陽光発電は2022年4月から電力の市場価格に一定のプレミアムを上乗せした金額で買い取るFIP制度に移行する。さらなる縮小に向かうのか、それとも民間企業で導入機運が高まるオフサイトPPAの起爆剤となり、再び成長軌道に乗るのか。

プレーヤー数は2018年比約3割減、市場規模は半減に

帝国データバンクが2月10日に発表した太陽光関連動向調査によると、太陽光関連業者のDI(景気動向指数)は新型コロナウイルスの感染拡大がはじまった2020年2月以降、景況感の急激な悪化に伴って太陽光関連のDIが急落、2020年4月には28.6をつけた。その後、徐々に回復し、2021年12月には42.7まで上昇している。

2021年の太陽光パネルの国内出荷量は5,322MWと2014年比で46.1%減少。FITに基づく買取り価格は家庭用が1kWhあたり19円と2012年比でほぼ半減し、10kW以上50kW未満の産業用に至っては12円と3分の1以下まで低下した。その一方で、太陽光パネルなどのコスト低減も進み、太陽光発電の投資利回りは再生可能エネルギーの採算性の目安とされる10%を確保できている。ただし、利率が変わらずとも利幅は確実に減少しており、市場環境は依然として厳しいままだ。

市場規模は2018年比で54.4%減となる22.5兆円とマーケットの半分が消失しており、太陽光関連事業者の淘汰が止まらない。2021年のプレーヤー数は5,423社と2018年比で29.2%減少した。

プレーヤー数と市場規模の推移


出典:帝国データバンク「太陽光関連動向調査(2021 年) 」をもとに編集部再編集

2021年の倒産件数は前年比横ばいの84件だったものの、大型倒産が多く発生したことにより、負債額は3.4倍増の816億円まで膨らんだ。2006年以降、倒産した負債総額上位20社のうち、JCサービス(2021年3月民事再生法、負債約153億4,200万円)、テクノシステム(2021年5月任意整理、負債約150億円)、グリーンインフラレンディング(2021年4月破産、負債約128億円)、アンフィニ(2021年9月民事再生、負債約87億円)など8件が2021年に破綻したものだ。

太陽光関連を主業とする企業の主な倒産

企業コード商号都道府県業態倒産年月日倒産態様負債(百万円)
582757111株式会社JCサービス東京都太陽光発電事業2021年
3月
民事再生法15,342
967820079株式会社テクノシステム神奈川県太陽光発電事業2021年
5月
任意整理15,000
035019392株式会社グリーンインフラレンディング東京都再生可能エネルギーのソーシャルレンディング事業2021年
4月
破産12,800
570280469アンフィニ株式会社大阪府特定規模電気事業(PPS)。太陽光発電システムの製造販売も2021年
9月
民事再生法8,700
123021229株式会社ZEN POWER福岡県太陽光発電パネル製造・販売業2017年
4月
破産5,200
500275491株式会社エバテック京都府太陽電池パネル用製造装置の製造2008年
11月
民事再生法4,800
800600954株式会社ヤマダエコソリューション東京都太陽光発電システム設置工事・分譲事業2020年
9月
破産3,771
201645051株式会社パシフイック・コースト・インダストリー神奈川県太陽光発電システム設置工事2019年
5月
破産3,170
740073664株式会社TY商事愛媛県太陽光発電システム用パワーコンディショナー製造2017年
5月
特別清算2,900
156008562かぶちゃんメガソーラー株式会社長野県太陽光発電事業2018年
9月
破産2,852
967322011株式会社TS商事愛媛県太陽光発電システム用シリコンスライス製造2017年
5月
特別清算2,600
201965855PVG Solutions株式会社神奈川県太陽電池セル製造2017年
2月
破産2,200
261101533株式会社エイジー・ジャパン千葉県太陽光発電システム販売。蓄電池の販売も2021年
10月
破産2,104
454010873株式会社エナジーネクスト神奈川県太陽光発電システム販売、施工2019年
2月
破産2,000
906009518株式会社ジャパンエネルギーグループ岡山県太陽光発電システム卸2015年
12月
破産1,808
967799430株式会社リベルテ東京都太陽光発電システム販売2015年
3月
破産1,730
333007541アラインジャパン株式会社愛知県太陽光発電システム設置工事2021年
9月
破産1,657
760015720ECI株式会社岡山県太陽光発電システムなど自然エネルギー関連商品卸2021年
2月
特別清算1,600
372002643電現ソリューション株式会社東京都メガソーラー開発、販売2017年
10月
破産1,550

出典:帝国データバンク

帝国データバンクは、FITの制度改正により、2020年度から小規模(10kW以上50kW未満)の産業用が全量買取り制度から余剰電力買取り制度に移行、250kW以上の大規模産業用には入札制度が導入され、これらの制度変更と、プレーヤー数の減少、市場規模の縮小、倒産件数の高止まりとの間には、強い相関関係があると指摘する。

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藤村朋弘
藤村朋弘

2009年より太陽光発電の取材活動に携わり、 その後、日本の電力システム改革や再生可能エネルギー全般まで、取材活動をひろげている。

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