ユニコーン有望株の破産は序章か 異常な高騰続く電力卸価格、今冬、新電力の倒産が増えるおそれ | EnergyShift

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ユニコーン有望株の破産は序章か 異常な高騰続く電力卸価格、今冬、新電力の倒産が増えるおそれ

ユニコーン有望株の破産は序章か 異常な高騰続く電力卸価格、今冬、新電力の倒産が増えるおそれ

2021年12月10日

かつて100億円以上の企業価値をもつ「NEXTユニコーン」として期待されるも、2021年5月に民事再生法を申請した新電力ベンチャー、パネイルの関連会社7社が、11月24日、東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。帝国データバンクによると7社の負債総額は29億円超。足もとの卸電力価格は高騰が止まらず、11月としては過去最高値を記録しており、新電力の経営破綻が続く可能性がある。

新電力ベンチャーのグループ7社が破産

東日本電力(東京都渋谷区、代表名越達彦氏)と関連会社6社は、人工知能とビッグデータを活用した電力需給管理システム「パネイルクラウド」を開発したパネイルが電力小売事業への参入にあたって、2016年に子会社として設立された。各社は全国の地域顧客を対象に電力を販売していた。

パネイルグループは、パネイルクラウドの開発・運用を積極展開するとともに、電力小売事業に参入。2018年4月には東京電力グループと合弁会社「PinT(ピント)」を設立。同年11月には丸紅の新電力子会社と組み「丸紅ソーラートレーディング」を設立するなど、アライアンス事業も拡大させ、2018年9月期には売上高が300億円を超えていた。

しかし、2018年に卸電力価格の高騰を受け、採算が悪化。パネイルグループの業績が低迷する中、2020年1月には、パネイルの最高技術責任者(CTO)がPinTに移籍したことで、東京電力グループとのトラブルが表面化する。パネイルクラウドなどの中核技術が外部流出し、盗用される恐れがあるとして、パネイルは2020年4月、東京地裁にCTOの就業差し止めなどを申請していた。

だが、金融債務の弁済は難しく、バンクミーティングを実施して、リスケを要請するとともに、パネイルグループは電力小売事業を大幅に縮小。事業構造転換などを図るも、業績改善に至らず、パネイルは2021年5月、自力再建を断念し、民事再生法の適用を申請した。

東日本電力など子会社7社は大幅に業容を縮小していたが、パネイルからの貸付金債務などが残っていたため、11月24日、破産となった。破産したのは、西日本電力、札幌電力、宮城電力、東日本電力、東海電力、広島電力、福岡電力。負債総額は29億円超と見られる。

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藤村朋弘
藤村朋弘

2009年より太陽光発電の取材活動に携わり、 その後、日本の電力システム改革や再生可能エネルギー全般まで、取材活動をひろげている。

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