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新しい国際サステナビリティ開示基準へ IFRS財団、CDPからのCDSBとの統合を完了

新しい国際サステナビリティ開示基準へ IFRS財団、CDPからのCDSBとの統合を完了

2022年02月10日

2022年1月13日、IFRS財団、CDP及び気候変動開示基準委員会(CDSB)は、CDPに事務局があった、気候変動関連財務開示コンソーシアムであるCDSBが、IFRS財団に統合が完了したことを発表した。

CDSBはIFRS財団に統合

2022年1月13日、IFRS財団、CDP及び気候変動開示基準委員会(CDSB)は、気候変動関連の財務開示を求めるコンソーシアム「CDSB」が、IFRS財団に統合が完了したことを発表した。統合の一環として、CDSBスタッフがIFRS財団に移籍し、ISSBの業務を支援するための中心的な知的財産及び技術的資産も移管される。

CDPは、2000年にロンドンで設立された非営利団体。現在は気候変動、水セキュリティ、森林減少リスク・コモディティの分野における、企業や自治体などのグローバルな情報開示基盤を提供している。近年日本でも、CDPのAリスト入りを目指す企業が増えてきている。

CDSBは、気候変動・自然資本に関する情報開示の標準化と、それらの情報を財務情報と同様に財務報告書での開示を世界中ですすめていたコンソーシアム。CDPはCDSB(Climate Disclosure Standards Board)の事務局を担っていた。今回の統合でこのCDSBの事務局がCDPから離れ、IFRS財団に統合されたことになる。CDPはCDSBの事務局ではなくなるが、IFRS財団との連携は今後も緊密に行う。

CDPはSBTiや、RE100*の運営機関でもある。今回のCDSB統合後も、これらのイニシアチブに関しても、より緊密な連携が行われる。

今回のCDSBとIFRS財団、VRF(価値報告財団・統合報告フレームワークとSASB基準を提供)の3者の統合は、昨年(2021年)の11月、COP26の開催中に発表されていた。統合は2022年中とアナウンスされていたが、少々前倒しになったようだ。

*SBTiは気候変動による世界の平均気温の上昇を1.5度以内に抑えるために、気候科学に基づきGHG排出削減目標(SBT)設定を促進するイニシアチブ。

IFRS財団の動き

IFRS財団とは、2001年に設立された、国際会計基準(IFRS)の策定を担う民間の非営利組織で、本部はロンドンにある。国際的に比較可能な、透明性のある財務情報の品質向上等を掲げている。IFRS財団の国際会計基準は世界約150の国と地域が採用している。日本でもグローバル企業を中心に活用されている。原則主義で、基準の細目は地域性を持たせることが可能だ。

IFRS財団が打ち出したのが、国際的な気候変動情報開示だ。財務情報とおなじように、国際的に比較可能で、透明性のある気候変動(リスク)情報の開示基準をつくることを目指している。開示基準はIFRS財団内にある国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)で議論されている。この開示基準は今年、2022年6月を目処に公開が予定されている。

ISSBの準備段階にはワーキンググループが設けられ、CDSBはもちろん、TCFD、世界経済フォーラムや金融安定理事会(FSB)等の代表者が参加していた。

統一されていなかった開示基準は様々なところに影響を与えていた・・・次ページ

小森岳史
小森岳史

EnergyShift編集部 気候変動、環境活動、サステナビリティ、科学技術等を担当。

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