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発電用石炭、アジア市場で大幅に値下がり 中国で増産

発電用石炭、アジア市場で大幅に値下がり 中国で増産

2021年11月15日

発電用石炭(一般炭)がアジア市場で大幅に値下がりしたと11月12日に日経新聞が報じた。指標となるオーストラリア産のスポット(随時契約)価格は今年10月中旬に付けた最高値(254ドル)から4割下がった。

ここ一年で一般炭がアジア市場で高騰しており、10月中旬には価格は約13年ぶりの高値を付けた。国内の生産が停滞した中国が、インドネシアなどから輸入を増やしアジア域内の需給が引き締まったことが背景にある。

しかし、世界の輸入シェア約2割を占める中国国内で過度な需給逼迫懸念が和らぎ、一転して豪州産の一般炭のスポット価格は11月上旬時点で1トン157ドルと、10月中旬に付けた最高値から38%下落した。

中国政府は、7月以降、石炭の供給不足などを背景とした電力不足が広がる中、国内数百ヶ所の炭鉱で生産拡張を承認。今年190%近く高騰した石炭価格の上昇を抑えるため一連の措置を打ち出してきた。中国国家発展改革委員会(発改委)は10月31日夜に発表した声明で「石炭生産量の1日平均は10月半ば以降、数日連続して1,150万トンを上回り、一時1,172万トンに達した」と明らかにした。

さらに中国国家統計局が11月15日公表した10月の石炭生産量は3億5,709万トンで、前月の3億3,410万トンから増加。少なくとも2015年3月以来、最高となった。

国家エネルギー局によると、全国で10社以上の主要生産会社が一般炭の販売価格を1トン1,000元(約17,837円)以下に引き下げた。

中国は冬場の需要期を控える。ロイター通信によると、アナリストらは冬季の国内石炭供給を依然として懸念。悪天候となれば露天掘り鉱山の操業が阻害され、物流も妨げられる。

石炭価格を巡っては、日本の電力料金の押し上げ要因になる。再び値上がりに転じる可能性もあるとして油断はできない状況だ。

 

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EnergyShift編集部
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