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風力発電業界のジェンダー多様性はコロナからの復興の鍵となる

風力発電業界のジェンダー多様性はコロナからの復興の鍵となる

2020年08月24日
世界中でグリーンリカバリー(コロナ禍からの復興に再生可能エネルギーの活用推進を促す)が提唱されているが、その推進力のひとつにジェンダー多様性を導入しようという動きがある。この度、世界風力会議と、エネルギー移行のための世界女性ネットワークは、「人材採用におけるジェンダー多様性に関するベストプラクティスガイド」を発表した。もともと、風力発電業界では女性労働者、女性管理職の比率が著しく低いという報告もあった。

コロナからのグリーンリカバリーに、多様性の力を

新型コロナウイルスからの経済的復興は世界的な問題であり、特に雇用の面からも、グリーンリカバリーにも注目が集まっている。

そうした中、世界風力会議(GWEC)と、エネルギー移行のための世界女性ネットワーク(GWNET)は共同イニシアチブ「Women in Wind Global Leadership Program」において、新たに「人材採用におけるジェンダー多様性に関するベストプラクティスガイド」を2020年8月18日に発表した

このガイドでは、風力発電業界でのトップ人材採用について、どのように男女平等を推進するかが具体的に盛り込まれている。その内容は、厳格なルールを提示するのではなく、多様性(ダイバーシティ)と包括(インクルージョン)的な職場をつくるために、要件や地域、市場状況等に併せて推奨事項に焦点を当てている。

同ガイドは大きく採用、応募と選考プロセス、多様な職場環境という3つの分野に分かれて紹介している。

例えば下記の項目について述べられている。

  • 候補者リストの選考プロセスの標準化、多様化
  • 面接プロセスにおける多様化の推進
  • 男女別データの収集、昇進、同一賃金についての多様性施策

風力業界の女性は全体の2割、管理職では8%

IRENA(国際再生可能エネルギー機関)が2020年1月に発表した報告書によると、世界の風力発電業界の労働力において、女性の占める割合はわずか21%であり、管理職では8%にすぎなかった。

世界風力会議の政策・運営ディレクターであるジョイス・リー氏は「風力産業の人材採用と雇用慣行は、世界中の持続可能で包括的な成長を推進する風力エネルギーの役割を反映したものでなければなりません。IRENAによると、グリーン回復のために自然エネルギーに100万ドルを投資するごとに、少なくとも25人の雇用を生み出すことができます。これは、業界の競争力を高め、風力エネルギーをイノベーションの最前線に置くことができる人材を最大限に活用することを意味します」と述べた。

GWNETの共同設立者であり、エグゼクティブ・ディレクターのクリスティン・リンズ氏は「インクルーシブな採用手法は、エネルギー分野への女性の参加を拡大し、エネルギー移行を成功させるために必要な、貴重で多様な視点とスキルを促進するための鍵となります。COVID-19の流行を受けて、私たちは復興に向けて邁進しています。このガイドが、より包括的で持続可能な多様な労働力のための基盤となることを願っています」とコメントした。

世界風力会議と、エネルギー移行のための世界女性ネットワークの共同イニシアチブ「Women in Wind Global Leadership Program」は2019年から行われている。

参照

(Text:小森 岳史)

小森岳史
小森岳史

EnergyShift編集部 気候変動、環境活動、サステナビリティ、科学技術等を担当。

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