コロナ禍でも環境重視がビジネスに効く/米NM州の低価格太陽光PJT/Amazon5つの新太陽光PJT/印Q1容量追加85%が再エネ/EVバッテリー再利用への道 | EnergyShift

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コロナ禍でも環境重視がビジネスに効く/米NM州の低価格太陽光PJT/Amazon5つの新太陽光PJT/印Q1容量追加85%が再エネ/EVバッテリー再利用への道

コロナ禍でも環境重視がビジネスに効く/米NM州の低価格太陽光PJT/Amazon5つの新太陽光PJT/印Q1容量追加85%が再エネ/EVバッテリー再利用への道

EnergyShift編集部
2020年06月01日

日本ではあまり紹介されない海外のエネルギー業界最新ニュース。EnergyShift編集部が厳選してお送りする。

使用済みEVバッテリーの再利用に新たな道 Photo:MIT News

コロナ禍でも、脱炭素を意識した環境重視がビジネスに好影響を与える

世界的な新型コロナウイルス流行とその回復期において、気候と環境の目標を前進させるか、緩和させるかは、行政が直面している大きな問題のひとつだ。トランプ政権は前者がビジネスに悪影響であるとし、後者を選択している。
しかし著名な学者グループThe Oxford Smith School of Enterprise and the Environmentはこの問題を分析し、グリーンテクノロジーへの投資は(パンデミックから)経済を健全に戻すための最も効果的な方法であると結論づけた。ホワイトハウスは財政の救済が最優先であると信じているが、経済の回復と環境主義は相反するものではないと、ノーベル賞受賞者であるスティグリッツ氏らは力強く主張する。また、ハーバード大学の研究によって、大気汚染と新型コロナウイルスによる死亡率に関連があることが分かっている。
アメリカで2019年にクリーンエネルギーによって生み出された雇用はエネルギー産業の40%、国全体の2.5%にのぼった。

Is Environmental Activism Bad For Business? History Suggests Not(Forbes 2020/05/12)

El Paso Electric、ニューメキシコ州プロジェクトの承認で太陽光発電の記録的低価格を実現

米ニューメキシコ州公共規制委員会は、電力事業者El Paso Electricの顧客を対象とした2つの太陽光発電および電力貯蔵のプロジェクトを承認した。これらのプロジェクトはニューメキシコ州南部とテキサス州西部の顧客に提供されるもので、2022年夏にサービスを開始する。
承認プロジェクトのひとつは100MWの太陽光エネルギーを0.015ドル/kWhで、もうひとつは100MWの太陽光エネルギーと50MWの貯蔵電力を0.021ドル/kWhで追加するもので、いずれもニューメキシコ州において太陽光発電と電力貯蔵の記録的な低価格を実現する。
El Paso Electricがニューメキシコ州で大規模なバッテリー貯蔵を使用するのは、今回のプロジェクトが初。これは2022年に引退となるリオグランデ天然ガス蒸気タービン発電所の2つのユニットの容量91MWに取って代わるものである。
ニューメキシコ州議会は2045年までにカーボンフリーを目指しており、905MWの太陽光発電設備を設置。価格はここ5年間で38%低下している。

El Paso Electric sees record low solar prices as it secures New Mexico project approvals(UTILITY DIVE 2020/05/18)

Amazonが新たに中国、豪州、米国における5つの大規模太陽光発電プロジェクトを発表

Amazonは中国、オーストラリア、アメリカにおける5つの新しい再生可能エネルギープロジェクトを発表した。
まずは中国山東省での100MWの太陽光発電プロジェクトだ。完了後は年間12.8万MWhのクリーンエネルギーの産出が期待される。
続いてオーストラリアでは、ニューサウスウェールズで105MWの太陽光発電プロジェクトを計画。年間25万MWhの発電を見込んでいる。
そしてアメリカでは、オハイオ州での200MWと80MW、更にバージニア州での130MWの太陽光発電プロジェクトを発表した。
すべて完了すれば、合計120万MWhの再生可能エネルギーがAmazonのネットワーク全体やAWSのデータセンターに追加で供給されることになる。
これはパリ協定に先立って、再エネ利用を2024年までに80%、2030年までに100%を目指すAmazonを更に後押しするものとなる。

Amazon announces five new utility-scale solar projects in China, Australia, and the US(POWER ENGINEERING INTERNATIONAL 2020/05/22)

2020年第1四半期インドの発電容量 追加分は85%近くが太陽光と風力

2020年1月~3月、インドで新たに追加された発電容量は、すべて火力によらないものであった。
政府のデータによれば、インドは2020年第1四半期に1.3GWの発電容量を追加しており、これは少なくともここ5年の第1四半期の中で最も低い数字である。このうち1.1GWは再生可能エネルギーで、0.9GWが太陽光発電、0.2GWが風力発電によるものだ。水力発電は300MW増加し、合計で45.7GWの設置となった。
インドの設備容量における石炭およびその他の火力発電シェアの低下傾向は続いている。現在、インドの発電容量のうち約37.7%が非化石燃料技術に基づいている。

Nearly 85% Of Power Capacity Added In India In Q1 2020 Was From Solar & Wind(CleanTechnica 2020/05/23)

使用済みのEVバッテリーの再利用をMITが探る

マサチューセッツ工科大学の新たな研究によって、使用済みEVバッテリーがグリッドスケールの電力貯蔵に転用できる可能性が出てきた。
まず、EVバッテリーの残量は最低80%以上である必要がある。カリフォルニア州にある2.5MWの架空の太陽光発電所をモデルとすると、使用済みEVバッテリーのコストが元値の60%以下の場合、新たなリチウムイオン電池を使用するより低コストであることが、研究者たちによって明らかになった。
博士研究員候補のIan Mathews氏によれば、取り出したバッテリーが再利用可能かどうかをどうスクリーニングするのか、様々な車から取り出したバッテリーに個体差がなく、まとめた際にすべて問題なく機能することをどう確信するのかなど、技術レベルでの課題は多々あるという。
Mathews氏は、中古バッテリーの再活用は経済面では有益だが、アイデアに弾みをつけるためには、他の様々な分野の人々が利害関係を越えて関与することが必要だと語る。この研究の目的はそのきっかけをつくることであった。

Solar energy farms could offer second life for electric vehicle batteries(MIT News 2020/5/22)

MIT Study Says Using Retired EV Batteries For Grid-Scale Energy Storage Could Be Profitable(CleanTechnica 2020/05/23)

(Text:鶴田 さおり)

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