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EV中古車市場拡大へ わずか数分で中古EV電池の性能診断に成功

EV中古車市場拡大へ わずか数分で中古EV電池の性能診断に成功

2021年07月19日

脱炭素社会の実現に向けEV(電気自動車)シフトが注目されるなか、本格的な普及には中古車市場の拡大が欠かせない。日本総研はこれまで数時間かかった中古EV電池の性能診断をわずか数秒から数分にする実証試験に成功した。中古EV電池の高速性能診断が確立されれば、中古車市場や中古EV電池の再利用が拡大しそうだ。

CO2排出削減に向け、EV普及が進んでいる。だが、EVを購入するときの悩みの種が走行距離の短さだ。中古EVの購入となれば、さらに二の足を踏む人が増えるだろう。EV電池がどのくらい経年劣化したのか、ユーザーが電池性能を的確に把握することが難しいためだ。

また最近注目されるEV電池の再利用においても、その劣化状態を把握し、残存価値を把握することが重要になる。

世界最大のEV大国となった中国でも、EV電池は80%程度の能力があるにもかかわらず、廃棄され、再利用が進まない。経済産業省の調査によると、中国で廃棄されるEV電池の能力は、2030年には原子力発電約60基分、年間最大60GWの電力供給能力に達するという。

また新品とは違い中古電池は、ひとつひとつ使用状況が異なるため、品質も大きく違ってくる。しかし、従来の性能診断技術では測定に数時間を要するうえ、最新の短時間診断技術は測定できる電池が限定されており、全固体などEV電池の開発が進むなか、診断技術の向上が課題となっていた。

日本総研は、EV中古車や中古EV電池の市場拡大などを目指す、BACE(Battery Circular Ecosystem)コンソーシアムのメンバーとともに、2021年2月から約1ヶ月間、中国で流通する三元系、リン酸鉄系の22種類の中古EV電池の性能診断試験を行った。その結果、これまで数時間かかった診断をわずか数秒から数分という100分の1程度の時間に短縮することに成功した。

コンソーシアムでは、今後、日本や中国など自動車メーカーの枠を超えた多種多様なEV電池の診断技術の確立や、小規模な自動車整備工場でもEVやEV電池の下取り価格評価ができるよう取り組んでいく考えだ。

EV価格がまだまだ高いなか、中古EVの下取り価格が低く、高値で売ることができなければ、多くの人がEV購入をためらうだろう。やはりEVの本格普及には中古車市場の拡大が欠かせない。わずか数秒でさまざまなEV電池の査定が可能になれば、中古EVや電池の再利用が拡大しそうだ。

EnergyShift編集部
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