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アジア開銀、脱石炭に向け発電所の早期廃止支援へ 来年に基金創設

アジア開銀、脱石炭に向け発電所の早期廃止支援へ 来年に基金創設

2021年10月07日

日経新聞の報道によると、アジア開発銀行(ADB)は、東南アジアで石炭火力発電所の早期廃止に向けた支援に乗り出す。石炭依存度の高いインドネシアやフィリピン、ベトナムでの取り組みを視野に入れており、すでに各国の政府や電力会社との協議に入っているという。

運営主体として直接関与する基金を2022年に創設する予定。石炭火力発電所は投資回収に20年以上かかるとされ、電力会社は償却後に利益を確保するため、稼働期間は30〜40年にものぼる。そのため、基金が発電所全体または運営権の一部を買い取ることで投資回収や償却期間を区切り、早期の廃止に踏み切る。同時に再生可能エネルギーへの移行を進める方針だ。

ADBが世界最大の資産運用会社である米ブラックロックや米シティグループなど複数の大手金融機関と協力し、石炭火力発電所の廃止を加速させる計画を進めていたことは、今年8月にもブルームバーグが報道していたが、当時の担当者は詳細に関するコメントを避けていた。

基金は世界各国の政府や金融機関と連携して、国ごとに立ち上げる。各国政府からの支援や長期にわたる低利融資を受けるとともに、金融機関からの出資も募る。大規模な石炭火力は3,000億円規模の建設費を投じているケースもあり、買い取り件数によっては基金の規模は巨額になる可能性があるという。

石炭火力発電所を買い取るための基金に加えて、再生可能エネルギーの普及を目指す基金も設立する方針だ。今年10月末に始まる第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)をめどに概要を発表する予定。

ADBの浅川雅嗣総裁は日経新聞のインタビューで、「5年でも10年でも廃止する時期を早めたい」と語り、貧困対策や気候変動対策を強化することを強調している。

IEA(国際エネルギー機関)によると、アジアは世界全体の石炭消費の8割を占める。石炭火力の割合を減らすことで低炭素化が進められる余地は大きいとして、アジアの新興国の脱石炭を後押しする。

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EnergyShift編集部
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