スペイン本拠の多国籍企業Iberdrolaが米国企業を買収、米国第三位の再エネ会社に | EnergyShift

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スペイン本拠の多国籍企業Iberdrolaが米国企業を買収、米国第三位の再エネ会社に

スペイン本拠の多国籍企業Iberdrolaが米国企業を買収、米国第三位の再エネ会社に

EnergyShift編集部
2020年11月16日

グローバル展開を図る電力会社の、電力セクターの脱炭素ひいては再生可能エネルギー事業への取り組みが加速している。スペインの多国籍電力公益企業であるIberdrolaも米国の再生可能エネルギー会社を買収し、その存在を際立たせている。

買収費用は約83億ドル

2020年10月21日、スペインの多国籍電力公益企業Iberdrolaは、その米国子会社Avangridを通じて、ニューメキシコ州とテキサス州で発電事業を展開するPNM Resourcesを買収する意向を発表した。

Iberdrolaによると、今回の買収はPNM Resourcesの取締役会による友好的な合併の提案に基づき、Avangridの取締役会で承認され、株主総会で提案される。買収にかかる費用は約83億ドルにのぼる。

PNM Resourcesの統合により、持ち株会社であるAvangridは、ニューヨーク、コネチカット、メイン、マサチューセッツ、ニューメキシコ、テキサスの6州で10社の規制電力会社と、24の州に事業所を持つ、全米三位の再エネ事業者になる。

合併による効果は初年度から見込まれており、総資産は400億ドル超、EBITDA(償却前営業利益)は約25億ドル、純利益は8億5,000万ドル(2019年度試算)と発表された。

410万ヶ所を超える電力供給ポイントと16万8,000kmを超える送電網で、約10.9GWの電力を管理運営し、規制資産ベースは440億ドルとなる。

この取引は、新型コロナウイルスによるパンデミック以降、Iberdrolaとしてはフランスの風力発電会社(St BrieucおよびAalto Power)、オーストラリアの風力発電会社(Infigen)、スウェーデンと日本の風力発電会社、スコットランドとブラジルの洋上風力発電会社に続く8社目の買収だという。

PNM Resourcesは規制対象セクターで事業を運営しているため、買収にはPNM Resourcesの株主総会の承認に加えて州レベル(ニューメキシコ公共規制委員会およびテキサス州公益事業委員会)、並びに連邦レベル(連邦エネルギー規制委員会、ハート・スコット・ロディノ反トラスト法、対米外国投資委員会、連邦通信委員会、原子力委員会)の認可が必要となり、買収は2021年に完了する予定だ。

再生可能エネルギーで、さらなる成長をねらうIberdrola

Iberdrolaの会長兼CEOでありAvangridの会長であるIgnacio Galán氏は、「この取引は20年以上に亘って行ってきた戦略に基づくものです。信用度が高く法規制が安定している国々で、規制対象の事業や再生可能エネルギーに焦点を当てた友好的な取引を行うことが、さらなる成長に結びつくと考えています」と述べている。


*Avangridはニューヨーク証券取引所に上場。親会社であるIberdrolaの米国エネルギー事業を統括し、米国24州で電力やガスなど多様な事業を展開するエネルギーおよび公益企業。2019年時点で8.1GWの発電容量を持ち、2020年10月20日時点で株式時価総額は約168億ドル、企業価値257億ドル。

*PNM Resourcesはニューヨーク証券取引所に上場。ニューメキシコ州アルバカーキに本拠を置くエネルギー関連の持ち株会社。太陽光、風力の他に原子力、地熱、火力発電も行っている。2019年時点で2.8GWの発電容量を持ち、2020年10月20日時点で株式時価総額は約37億ドル、企業価値75億ドル。

参照
Iberdrola Press Release "Iberdrola acquires PNM Resources in the US, the utility of New Mexico and Texas" 2020/10/21

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