メキシコ再エネ企業への不正 / 米IN州ガスプラントでバッテリー / 英の補助金不要ソーラー蓄電1GW / 印メーカーが関税50%要求 / 海洋エネルギーで1.24億ポンド | EnergyShift

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メキシコ再エネ企業への不正 / 米IN州ガスプラントでバッテリー / 英の補助金不要ソーラー蓄電1GW / 印メーカーが関税50%要求 / 海洋エネルギーで1.24億ポンド

メキシコ再エネ企業への不正 / 米IN州ガスプラントでバッテリー / 英の補助金不要ソーラー蓄電1GW / 印メーカーが関税50%要求 / 海洋エネルギーで1.24億ポンド

EnergyShift編集部
2020年07月13日

日本ではあまり紹介されない海外のエネルギー業界最新ニュース。EnergyShift編集部が厳選してお送りする。

英国はコロナ対策でグリーン投資をすすめており、新たに1GWの計画が明らかになった

メキシコ大統領、太陽光と風力の企業に対する不正の申し立てを指示

ロイター通信によると、メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領は2020年6月30日、不特定多数の再生可能エネルギー企業に対する不正を申し立てる正式な苦情の作成を命じたことを明らかにした。主張の証拠や標的となる企業は示されなかった。これは2018年にロペス・オブラドール政権となってから、再生可能エネルギー企業に対するメキシコ政府の最新の動きのひとつだ。
2020年5月、メキシコの送電網運営会社CENACEが、新しい再生可能エネルギーの発電所の運開前に必要な試験を妨害し始めていたことが明るみに出た。国有機関は、特に新型コロナウイルスの流行が拡大している時分、太陽光発電所と風力発電所の断続性はグリッドの安定に対する脅威となると主張した。これによって44の太陽光および風力発電所がみるみるうちに立ち往生し、電力をグリッドに送ることができなくなった。
5月末に向け、デベロッパー2社の申し立てに続き、ひとりの裁判官がCENACEの試験妨害の一時延期を命じたと、地元メディアが報じた。

Mexican president orders fraud complaints against solar and wind firms – report(PVTECH 2020/7/1)

ディーゼルの代わりにバッテリー インディアナ州ガスプラントのジャンプスタート

GEとCaterpillarを後援に擁するエネルギー貯蔵システムインテグレータのFlexGenは、供給したリチウムイオンバッテリー貯蔵システムが、インディアナ州の公益事業者によって77MWの天然ガスプラントのブラックスタートに使用されたと語った。
FlexGenによると、バッテリーはゼロエミッションの資源となるだけでなく、ディーゼル発電機の半分のコストで機能し、タービンの再起動のためのブラックアウト時にオンラインになる。
FlexGenの最高執行責任者アラン・グロス氏は「我々は価格競争力のあるバッテリー貯蔵を通じて、顧客である公益事業者が持つ既存の発電所にブラックスタートのような必須の能力を提供する。インディアナ州が電力システムの信頼性を高めるカーボンフリー技術を更に取り入れる一助となることを期待している」と述べた。

Batteries replace diesel for jumpstarting Indiana natural gas plants(Energy Storage 2020/7/1)

英国デベロッパーが1GWの補助金不要ソーラー蓄電パイプラインを発表

ボリス・ジョンソン首相による”ポジティブなルーズベルト式”、つまりグリーン・コミットメントに焦点を当てた50億ポンド(約54.7億ユーロ)のインフラ計画発表を受け、英国の太陽光デベロッパーEnso Energyは、補助金不要の1GW太陽光発電蓄電システムという野心的な計画を発表した。
Ensoの声明で明らかになったところによると、イングランドとウェールズに跨るサウス・オックスフォードシャーでのこの計画には、既にグリッドへの連系が確定している。また、コロナ禍のもと、バーチャル市庁舎での相談会などの計画段階であるという。
専有面積を減らすため、1GWを構成する多くのプロジェクトサイトがトラッカーと両面パネルを備えているとのことだ。
バッテリー貯蔵要素に関しては、Ensoのサイトに掲載されているすべてのプロジェクトで言及されているが、そのストレージ容量は明示されていない。

UK developer reveals 1 GW, subsidy-free solar and storage pipeline

インドの太陽光メーカーが関税50%を要求 国内生産支援のため

インドの新再生可能エネルギー担当大臣RK Singh氏は、政府が2020年8月から太陽光モジュール輸入のBCD(基本関税)を20~25%に、2021年には40%にすることを検討していると述べた。これは現在15%の保護関税に代わるものだ。
これに関して、コンサル企業JMK Research & Analyticsが主催したウェビナーで、Waareeグループの代表Hitesh Doshi氏、Adani SolarのCEOを務めるRamesh Nair氏は、国内生産への投資を刺激するには50%の関税が必要だと語った。
Doshi氏は、過去にたった数ヶ月で中国からの輸入モジュール価格が20~25%下がったことから、25%では中国企業に対抗できないと主張。Nair氏も50%のBCDの必要性を訴え、国内で使われている太陽光モジュールの80~90%が輸入品であることから、現在の保護関税は機能していないと述べた。一方、今回のBCDの提案は、国内の太陽光メーカーへ長期的保護を提供しようという政府の意図を示す「歓迎すべき動き」であるとした。
また、O2 PowerのCEOであるParang Sharma氏は、デベロッパー的視点から、「最大の懸念は輸入モジュールを購入できなくなること。インドには業界の要求に応えられる品質のモジュールがない。これは我々の課題であり、段階的な移行を要求する理由だ」と語った。

Indian solar manufacturers call for 50% duties to support local production(PVTECH 2020/7/3)

海洋エネルギーがウェールズ経済に1億2,400万ポンドをもたらす

業界団体マリン・エナジー・ウェールズの新たな報告によると、これまでの海洋エネルギー技術の成果として、合計1億2,370万ポンド(1億5,480万ドル)が、昨年1年間では2,750万ポンド(3,440万ドル)がウェールズ経済へ投資された。これにはウェールズ海域へ2020年に導入された浮体式洋上風力のほか、波力、潮流力、潮汐力といった新興海洋再生可能エネルギー技術が含まれる。
現在、ウェールズで活発にプロジェクトを進めている海洋エネルギーのデベロッパーは16社あり、この分野を支援するインフラや試験、デモンストレーション設備が整っているかを確かめるため、全国で戦略的開発が行われている。
環境・エネルギー・農村地域大臣のレスリー・グリフィス氏は、「新型コロナウイルス流行からの回復が低炭素経済とより健康でより平等なウェールズへの転換を加速すると確信し、これに海洋および洋上の再生可能エネルギーは主要な役割を果たすと考えている。英国全土に電力を届けるための経済的支援の仕組みを確保するため、委譲諸国と協力するよう英国政府に要請した」と述べた。

Marine energy generates £124m for Welsh economy(POWER ENGINEERING INTERNATIONAL 2020/7/3)

(Text:鶴田 さおり)

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