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住宅用蓄電池メーカー比較

住宅用蓄電池メーカー比較

2021年03月10日

ここ数年で普及し始めている住宅用蓄電池。様々なメーカーが蓄電池を開発・生産していますが、どの蓄電池を選べばいいのでしょうか?
この記事では、住宅用蓄電池を選ぶ際のポイントや各メーカーが取り扱っている商品情報などを紹介しています。

住宅用蓄電池とは

住宅用蓄電池とは、自宅の電源として使う電池のことを指します。これまで一般的には、電線から供給される電力をそのまま使っていましたが、蓄電池を導入することで、夜間や太陽光で発電した電力を充電できるようになります。まだまだ蓄電池は高額ですが、ここ数年で価格が下がってきました。

また、緊急時の電源にもなったり、省エネにつながったりするなど、経済面以外のメリットもあります。蓄電池に補助金を出す都道府県や市町村も多いため、蓄電池が普及し始めています。住宅用蓄電池には、「系統連系型(定置型)」や「ハイブリット型」、「単機能型」、「特定負荷型」、「全負荷型」というように複数の種類が存在します。この記事では、現在主流となっている系統連系型を紹介します。

住宅用蓄電池の4つのメリット

住宅用蓄電池には、主に4つのメリットがあります。

  • 深夜電力の活用で電気料金が削減できる
  • 卒FIT後の余剰電力を蓄電して、電気料金を削減できる
  • 非常時のバッテリーになる
  • CO2削減につながる

深夜電力の活用で電気料金が削減できる

2016年に電力自由化が行われてから、様々な電力会社が参入し、消費者側も自分が使う電力を選べるようになりました。その中で夜間の電気料金が安くなるプランもあります。蓄電池を導入すれば、電気料金の安い時間帯に充電し、電気料金の高い時間帯に使用することで電気代を削減可能です。

卒FIT後の余剰電力を蓄電して、電気料金を削減できる

住宅用太陽光発電で発電した電力を買取る制度が2009年に始まりました。一般的に、家庭で使用する以上に発電された電力(余剰電力)を買取ってもらう家庭が多いのですが、期限が10年なので、2019年には制度から卒業(卒FIT)する家庭も出てきています。
制度が適用されていた時は売電価格が20~40円代/kWhでしたが、卒FIT後も余剰電力を買取ってもらう場合は売電価格が8~12円/kWhが相場となります。これでは売電収入がかなり落ちてしまいますよね。

蓄電池を導入すれば、余剰電力を充電して使うことができます。電気料金の相場は20~30円/kWhのため、余剰電力を充電して使用することで、20~30円/kWhで売電するのと実質同じ経済的メリットを得られます。
現在はFITの価格が20円代/kWhとなっているため、新築する場合は最初からFITを使わずに蓄電池に充電して使用した方が、経済的メリットを得られるケースもあるでしょう。また、蓄電池に補助金がつくので、太陽光発電と蓄電池をセットで自宅を新築する家庭が増えてきています。

非常時のバッテリーになる

蓄電池に充電しておけば、災害等で停電した場合に、非常用バッテリーとなります。蓄電池がないと停電した場合に家電は使えないため、お湯が出なくてお風呂に入れなかったり、冷蔵庫の中の食材が腐ったりなど、困った経験をされた方もいるかもしれません。

蓄電池があれば停電したとしても、1日から数日の間であれば電気を使った生活を維持できます。さらに太陽光発電を併用することで、日中は太陽光で発電した電力を使いつつ蓄電池に充電し、夜間は蓄電池の電力を使うこともできます。停電が長期間に渡った場合も、電力のある生活をすることができるのです。

CO2削減につながる

太陽光発電と蓄電池を併用することで、CO2削減につながります。電力会社から購入する電力には、石油・石炭・天然ガスといった、化石燃料を使った火力発電の電力が含まれています。(最近は再エネ100%プランを提供する電力会社もあります)

火力発電は、発電する際に化石燃料を燃焼させるため、CO2を発生させてしまいますが、太陽光発電と蓄電池を併用することで、日中は太陽光で発電した電力を使いつつ蓄電池に充電し、夜間は蓄電池に貯めた電力を使うことができます。 太陽光発電の発電量は天気に大きく左右されるため、使用する電力の100%を太陽光で発電した電力にすることは難しいですが、太陽光で発電した電力の割合を増やすことができるため、CO2削減につながります。

住宅用蓄電池の3つのデメリット

メリットの次は3つのデメリットについて解説します。

  • 価格が高い
  • 置き場所が必要
  • 充放電回数に限りがある

価格が高い

経済産業省のデータによると、2015年度の住宅用蓄電池の実績価格は約22万円/kWhでした。2020年度の目標は9万円/kWhとしていますが、当記事で紹介している蓄電池のメーカー希望小売価格の平均は約19万円です。(税別。蓄電池のみの価格がわかるもののみ。)
この数字はあくまでメーカーの希望小売価格なので、実際の金額はもっと安いと考えられますが、9万円/kWhは一部のメーカーしか実現できていないのが現状です。また、蓄電池以外にもパワーコンディショナーや分電盤など、蓄電池と同時に購入しなければならないものもあるため、実際にはさらに高額になります。
ですが、シャープやテスラなど、希望小売価格が9万円/kWhを下回る蓄電池を提供しているメーカーも現れています。しっかり蓄電池を選ぶことで、安価で高性能なものを購入出来ますし、このまま値段が下がれば多くの人にとって購入しやすいものになります。
さらに都道府県や市町村などが蓄電池用の補助金を交付していますので、それらを活用することでお得に購入できます。

置き場所が必要

蓄電池には170cm超える高さのものや、200kgを超える重さのものもあります。また、屋内型や屋外型など、置く場所にも指定がありますし、屋内型の場合は蓄電池とパワーコンディショナーが分離しているものが一般的なため、双方の置き場が必要です。他にも、海の近くのように塩害がある地域では使えないものがあります。
なので、事前に使う場所や使う地域など、蓄電池を置けるスペースがあるのか、そして使える場所なのかを確認しましょう。

充放電回数に限りがある

蓄電池にも寿命があります。充放電回数を公式サイトで公表しているメーカーは少ないですが、短いもので3000回、多いもので12000回、平均で6000~8000回ほどです。1日に1回充放電をすると考えた場合、1年で365回、10年で3650回、20年で7300回ですので、平均的な蓄電池なら20年は持つと考えられます。 実際に、10~15年のメーカーの保証がついてくる場合がほとんどです。購入時に数十万円から数百万円が必要ですが、10~20年単位で考えてメリットがあるかどうか、しっかり確認しましょう。また、国や自治体から補助金が交付されないか確認しましょう。多くの場合販売者が提案してくれます。

住宅用蓄電池を選ぶ際のポイント

  • 種類

系統連系型の蓄電池には設置タイプによって、「単機能型」「ハイブリッド型」「トライブリッド型」に分かれます。「単機能型」は、蓄電池用のパワーコンディショナーと蓄電池ユニットで構成され、太陽光発電と併用する場合は、それぞれのパワコンが必要になります。

「ハイブリッド型」は、太陽光発電と蓄電池のパワーコンディショナーが一体になっている蓄電池です。「トライブリッド型」は、太陽光発電と蓄電池とEV(電気自動車)と住宅を連携させるパワコンが一体になっています。現在の主流はハイブリッド型ですが、今後EVが普及することで「トライブリッド型」も増えるでしょう。

また、特定の電気機器に接続する「特定負荷型」と、全ての電気機器に接続する「全負荷型」に分かれます。全負荷型には、停電時も全ての電気機器が使えるので便利ですが、電力消費も早いため、計画的に使用しなければなりません。

  • 蓄電容量

まず蓄電容量を確認しましょう。あなたが使う用途によって、求められる蓄電容量は大きく違います。事業用であれば10kWh以上が必要になる場合もあるでしょうし、住宅用であれば4kWhから8kWhの蓄電池が豊富です。1日にどれだけの電力を蓄電池から使うのかを計算しましょう。
太陽光発電と併用する場合は、太陽光発電からどれだけの電力を充電したいのかを計算しましょう。卒FIT後に余剰電力を充電するのか、それとも固定価格買取制度で売電するかによって、必要な容量が変わります。

  • 価格

蓄電池の価格設定はメーカーによって様々で、同じ蓄電容量でも倍以上違うこともあります。また、当サイトではメーカーの希望小売価格を紹介していますが、実際にいくらで購入できるかは販売店に問い合わせてみてください。

  • サイズ・置き場所

蓄電池はサイズも様々ですし、屋内型・屋外型など、設置場所も決まっています。また、海沿いのように塩害がある地域は使えない蓄電池もあるので、販売店に事前調査をしてもらいましょう。

  • 保証

多くのメーカーが10年保証を行っていますが、15年まで無償で保証してくれる蓄電池もあれば、10年は無償で15年は有償という蓄電池もあります。よく保証期間や内容を確認しましょう。

主要メーカーの住宅用蓄電池一覧

主要メーカー8社の主な蓄電池をご紹介します。全てメーカーの公式サイトで確認した情報を記載しました。

  • シャープ
  • パナソニック
  • 伊藤忠商事
  • オムロン
  • 京セラ
  • ニチコン
  • テスラネクストエナジーアンドリソース

シャープ

商品画像
型番JH-WB1921JH-WB1621
サイズ(幅×高さ×奥行)560×575×320mm500×605×360mm
重量(質量)約74kg約77kg
蓄電容量6.5kWh4.2kWh
メーカー保証期間10年保証(無償)
15年保証(有償)
10年保証(無償)
15年保証(有償)
希望小売価格467,800円+税363,800円+税
商品画像
型番JH-WB1821JH-WB1711
サイズ(幅×高さ×奥行)700×605×360mm520×500×263mm
重量(質量)約135kg約69kg
蓄電容量8.4kWh6.5kWh
メーカー保証期間10年保証(無償)
15年保証(有償)
10年保証(無償)
15年保証(有償)
希望小売価格549,800円+税447,800円+税

*シャープ公式サイトより

日本の蓄電池業界をリードする会社がシャープです。シャープの蓄電池は種類も豊富で、コストパフォーマンスが高いのが特徴。メーカー希望小売価格でも6.5万円~8.5万円/kWhと、他社製品と比べてかなり安いです。
もちろん太陽光発電との連系も問題なく行えますし、メーカー保証も無償で10年、有償なら15年と長期保証をしてくれるので、安心して購入できますね。
また太陽光発電で余った電力は売電し、夜間の割安な電力で蓄電して家計を助ける「経済性モード」や、エネルギーの自給自足を促す「クリーンモード」のように、目的別にモードを選べるのも魅力的です。

パナソニック

商品画像
型番LJPB21A/LJPB22ALJPC31/LJPC32
サイズ(幅×高さ×奥行)549×776×195mm630×1700×250mm
重量(質量)39.5kg/40kg約103kg
(本体:約56kg ベース:約47kg)
蓄電容量5.6kWh5.6kWh
メーカー保証期間10年保証(無償)
15年保証(有償)
10年保証(無償)
15年保証(有償)
希望小売価格650,000円+税/680,000+税900,000円+税/940,000+税
商品画像
型番LJB1156LJ-SF50B
サイズ(幅×高さ×奥行)480×610×230mm250×649×626mm
(固定スタンド付き:幅392mm)
重量(質量)約68kg約67kg
蓄電容量5.6kWh5kWh
充電時間約5時間約8時間
メーカー保証期間10年保証(無償)
15年保証(有償)
7年保証(無償)
停電時出力(最大)公式サイトに情報なし1500VA
希望小売価格1,040,000円+税900,000円+税/940,000円+税

*パナソニック公式サイトより

パナソニックの「創蓄連携システム」は、効率よく電力を活用できるシステムです。一般的には、太陽光発電システムのパワーコンディショナーと、蓄電池のパワーコンディショナーは別ものです。
なので、どうしても電気の変換ロスが生じてしまうのですが、創蓄連携システムでは、2つのパワーコンディショナーを1つのパワーステーションに一体化。電力ロスを減らしつつ、雨の日や夜は蓄電池に貯めた電気で不足分を補うなど、家計を助けてくれます。

伊藤忠商事

商品画像
型番LL3098HOS/X 
LL3098HOS/Y
LL3098HOS/A
LL3098HOS/B
サイズ(幅×高さ×奥行)761×1145×440mm
重量(質量)約195kg
蓄電容量8.8kWh
寿命(充放電サイクル)6000サイクル
放電時間2.5時間
停電時出力(最大)3000VA
希望小売価格2,850,000円+税

*伊藤忠商事・エヌエフ回路設計ブロック公式サイトより

伊藤忠商事では、「株式会社エヌエフ回路設計ブロック」で開発・製造した蓄電池「Smart Star L」を販売しています。Smart Star LはAIで蓄電池の充放電を最適にコントロールしてくれるのが大きな特徴です。
日々の電力の使用状況から必要な電力量を予測したり、気象予想から太陽光発電の発電量を予測したりすることで、深夜電力での充電に最適な量を算出し、効率よく充電してくれます。無駄な電力購入を避けられるため、電気料金を削減して家計を助けてくれます。

オムロン

商品画像
型番KP-BU42-AKP-BU65-AKP-BU98-B
サイズ(幅×高さ×奥行)530×455×215mm452×656×120mm452×542×228mm
重量(質量)約62kg約52kg約78kg
蓄電容量4.2kWh6.5kWh9.8kWh
充電時間2.5時間約6時間約6時間
メーカー保証期間15年保証10年保証10年保証
希望小売価格2,870,000円+税(パワーコンディショナー・ゲートウェイ・分電盤込)2,510,000円+税(パワーコンディショナー・ゲートウェイ・分電盤込)3,020,000円+税(パワーコンディショナー・ゲートウェイ・分電盤込)

*オムロン公式サイトより

コンパクトな蓄電池を製造しているのがオムロンです。他社製品と同等の蓄電容量がありながら、非常にコンパクトなため壁掛け設置も可能です。
太陽光発電を既設の方向けのセットや、太陽光発電も一緒に新設したい方向けのセットなど、ニーズに合わせてわかりやすく便利なセットを提供しています。 また、無償で15年保証の長寿命を売りにした蓄電池も魅力的です。

京セラ

商品画像
型番EGS-LM1201LBN-0650EGS-LM0320
サイズ(幅×高さ×奥行)1060×1250×300mm452×656×120mm530×650×300mm
重量(質量)226kg約52kg約55kg
蓄電容量12kWh6.5kWh3.2kWh
 15年保証10年保証10年保証
停電時出力(最大)2000VA2000VA1500VA
希望小売価格3,700,000円+税2,700,000円(パワーコンディショナー・コンバータ・計測&操作ユニット・付属品込)1,500,000円+税

*京セラ公式サイトより

京セラの蓄電池は、機能が豊富で様々な状況に最適なモードを選択できるのが特徴です。先ほど紹介した「EGS-LM1201」だと、以下のような機能があります。
・ 太陽光売電優先モード
・太陽光充電モード
・ピークカットモード
・深夜電力活用モード
・経済モード
・グリーンモード

ニチコン

商品画像
型番ESS-U2X1ESS-U2L1
サイズ(幅×高さ×奥行)1060×1250×300mm1060×1250×300mm
重量(質量)234kg226kg
蓄電容量16.6kWh12kWh
メーカー保証期間10年保証15年保証
停電時出力(最大)2000VA2000VA
希望小売価格4,000,000円+税3,700,000円+税
商品画像
型番ESS-U2M1ESS-U3S1
サイズ(幅×高さ×奥行)1060×1250×300mm740×650×300mm
重量(質量)182kg約77kg
蓄電容量11.1kWh4.1kWh
メーカー保証期間10年保証10年保証
停電時出力(最大)2000VA1500VA
希望小売価格3,200,000円+税998,000円+税

*ニチコン公式サイトより

ニチコンの蓄電池は、とても種類が豊富です。住宅用としては業界最高クラスの蓄電容量16.6kWhの商品もあり、電力の完全自給自足を目指して、自給率をより高めてくれます。
他にも12kWh、11.1kWh、4.1kWhなど、用途に合わせて様々な蓄電容量の商品を揃えていますし、塩害対応や2kWhのポータブルタイプの蓄電池も扱っています。

テスラ

商品画像
型番Powerwall
サイズ(幅×高さ×奥行)753×1150×147mm
重量(質量)114kg
蓄電容量13.5kWh
メーカー保証期間10年保証
希望小売価格825,000円+税

*テスラ公式サイトより

テスラのpowerwallは、蓄電容量13.5kWhと大容量でありながら、82万5000円という低価格なのが特徴です。約6万1000円/kWhと、1KWhあたりの蓄電容量では、この記事で紹介した蓄電池の中で最も安いです。
とても安価でありながら、基本的な性能は全て抑えています。さらにスマートフォンからどこからでも電力の使用状況や発電状況などをモニタリングしたり、コントロールしたりすることもできます。

ネクストエナジーアンドリソース

商品画像
型番NXA-LU30100
サイズ(幅×高さ×奥行)870×875×350mm
重量(質量)148kg
蓄電容量10.24kWh
メーカー保証期間10年保証
停電時出力(最大)3000VA
希望小売価格3,250,000円+税(パワーコンディショナー・NEコネクト・表示モニター込)

*ネクストエナジーアンドリソース公式サイトより

ネクストエナジーアンドリソースの蓄電システムは、10kWhの容量や停電時の使用、状況に応じたモードや10年保証など、基本的な性能を全て抑えています。タッチパネル式のモニターで簡単に操作できますし、スマホやPCでも確認可能です。

おわりに

どんどん普及され始めている蓄電池。各メーカーが競争してきたことで、性能が向上し、価格は安くなってきていました。地球温暖化問題により省エネの重要性が増している中、太陽光発電と合わせて蓄電池を国が重要視するようになったため、様々な補助金が交付されて普及が促進されています。
卒FIT後の余剰電力を充電して自宅で使うなど、蓄電池を使うことで経済的なメリットを得られるようにもなったため、これからさらに蓄電池は普及していくでしょう。現在太陽光発電を行っていて卒FITが近い家庭や、新築予定で太陽光発電を導入しようとしている方は、蓄電池を導入することで様々なメリットが得られます。 補助金を使えばおトクに導入できますので、前向きに検討されてみてはいかがでしょうか。

EnergyShift編集部
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