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世界風力会議、年次報告書を発行 2020年は記録的な成長だったが気候目標達成には3倍のスピードが必要

世界風力会議、年次報告書を発行 2020年は記録的な成長だったが気候目標達成には3倍のスピードが必要

EnergyShift編集部
2021年03月25日

世界風力会議(The Global Wind Energy Council:GWEC)は3月25日、最新版となる年間報告書「Global Wind Report 2021」を発行した。その中で、2020年は風力発電産業にとって飛躍的な記録の年であったが、2050年までに世界がネットゼロを達成するには、今後10年間で3倍ものスピードの成長が求められる。

風力発電は成長が著しい産業だ。市場は過去10年間で4倍に拡大し、コスト競争力もある。

2020年に世界で新しい風力発電設備は9,300万kW導入された。前年比53%増、新型コロナウイルス禍でも目覚ましい成長を遂げている。世界の風力発電の総容量は7億4,300万kW。これは年間11億トン以上のCO2排出を回避するのと同じ量に換算される。

しかし、パリ協定の目標である地球温暖化を2℃以下に抑えるには、2025年まで毎年1億8,000万kW以上の風力発電を新たに導入する必要がある。2050年カーボンニュートラルを達成するにはさらに多く、2030年以降も2億8,000万kWの導入が必要だという。つまり、2020年の3倍だ。

世界風力会議のCEO、ベン・バックウェル氏は「世界中の人々や政府は、危険な気候変動を回避するための時間が限られていることを認識しています。多くの主要経済国が長期的なネット・ゼロ目標を発表していますが、この野心が、ほかの再生可能エネルギーへの投資や設置の急速な増加と一致するように、今、緊急かつ有意義な行動をとる必要があります。昨年、中国と米国で記録的な成長が見られたことは非常に心強いことですが、これからは世界の他の国々がステップアップして、私たちが目指すべきところに到達する必要があります」と述べた。

以下のデータはGlobal Wind Report 2021より抜粋。

2020年の陸上風力発電の新規設備容量グラフ

世界の風力発電の累積容量(洋上は4.75%、残りは陸上)

2020年の陸上風力発電の新規設備容量ベスト10の国

中国 - 48,940 MW
米国 - 16,913 MW
ブラジル - 2,297 MW
ノルウェー - 1,532 MW
ドイツ - 1,431 MW
スペイン - 1,400 MW
フランス - 1,317 MW
トルコ - 1,224 MW
インド - 1,119 MW
オーストラリア - 1,097MW

陸上風力発電の累積容量ベスト10の国

中国 - 278,324 MW
米国 - 122,275 MW
ドイツ - 55,122 MW
インド - 38,625 MW
スペイン - 27,238 MW
フランス - 17,946 MW
ブラジル - 17,750 MW
イギリス - 13,731 MW
カナダ - 13,578 MW
イタリア - 10,543 MW

2020年の洋上風力発電の新規設備容量ベスト5の国

中国 - 3,060 MW
オランダ - 1,493 MW
ベルギー - 706 MW
イギリス - 483 MW
ドイツ - 237 MW

洋上風力発電の累積容量ベスト5の国

イギリス - 10,206 MW
中国 - 9,996 MW
ドイツ - 7,728 MW
オランダ - 2,611 MW
ベルギー - 2,262 MW

GWEC:Global Wind Report 2021

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