オーストラリアの太陽光発電電力をシンガポールへ送電「オーストラリア・ASEAN-パワーリンク(AAPL)」プロジェクト、オーストラリア政府が認可 | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

オーストラリアの太陽光発電で発電した電力をシンガポールへ送電する「オーストラリア・ASEAN-パワーリンク(AAPL)」プロジェクト、オーストラリア政府が認可

オーストラリアの太陽光発電電力をシンガポールへ送電「オーストラリア・ASEAN-パワーリンク(AAPL)」プロジェクト、オーストラリア政府が認可

2020年08月17日

オーストラリアは、同国の太陽光で発電した電力を、海底ケーブルを使ってシンガポールに送電するプロジェクトを政府の主要プロジェクトとして認可した。7月29日に同国政府がプレスリリースを発表した。

オーストラリア・ASEAN-パワーリンク(AAPL)とは

オーストラリア・ASEAN-パワーリンク(AAPL)は、Sun Cable社が主体となって進めているプロジェクトだ。主な概要は、オーストラリア北部州のノーザンテリトリーにある世界最大級(12,000ヘクタール)の太陽光発電システムから、3,700kmもの長さの高電圧直流(HVDC)海底送電ケーブルを使って、インドネシアやシンガポールへと届けようというものだ。これにより、シンガポールの5分の1の電力が賄われるという。

このプロジェクトに、オーストラリア政府は「主要プロジェクト」のステータスを付与した。国のインフラを民間が担うことが多いオーストラリアでは、さまざまな民間プロジェクトを政府が戦略的に認め、予算や各種調整などさまざまな支援を行う。特に主要プロジェクト(major project status)に認定されることで、政府からの強い後押しが正式に得られることになる。

オーストラリア政府のプレスリリースによると、このプロジェクトは総事業費200億ドルのうち、80億ドルが直接オーストラリアに投資され、建設期間中には1,500人もの雇用を生み出し、建設後も間接的には12,000人もの雇用を創出すると考えている。

プロジェクトは2027年操業予定

オーストラリアのアンガス・テイラー エネルギー・排出削減大臣は「オーストラリアは長い間、エネルギー輸出において世界をリードしてきました。技術が変化しても、再生可能エネルギーの強みを生かし、エネルギー輸出で世界をリードし続けることができる」と述べた。

オーストラリアに本社があるSun Cableのデビッド・グリフィンCEOは「サンケーブルは、AAPLが主要プロジェクトの地位を与えられたことをうれしく思います。これは、AAPLにとって重要なマイルストーンです。オーストラリアは再生可能エネルギー貿易の世界的リーダーとなり、同国は年間約20億ドル相当の輸出を生み出すことになるでしょう。大陸間HVDC海底送電システムを利用して、インド・太平洋の主要な都市に再生可能エネルギーを供給し、この地域の低排出量目標を支援するという新しい産業の成長に貢献していきます」と述べた。

オーストラリアのノーザンテリトリー州政府とSun Cableは既にプロジェクト開発契約(PDA)の交渉を行っている。

このプロジェクトは今年8月から海洋調査を開始し、環境影響評価等を経た後に建設に入り、2027年の商業運転開始を目指す。

(Text:小森 岳史)

参照

小森岳史
小森岳史

EnergyShift編集部 気候変動、環境活動、サステナビリティ、科学技術等を担当。

エネルギーの最新記事