電気自動車(EV)を非常用電源として使う方法 | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

電気自動車(EV)を非常用電源として使う方法

電気自動車(EV)を非常用電源として使う方法

2021年07月28日

電気自動車は、ただ環境にやさしいだけではありません。実は、災害などで停電が発生した際、電気自動車を非常用電源として活用することができます。

今回は、電気自動車を非常用電源として活用するための方法や実際の活用事例などをご紹介します。

電気自動車は、どうすれば非常用電源として使用できる?

電気自動車に蓄えた電力を非常用電源として使用するにはV2Hシステムが必要です。V2Hとは、「Vihicle to Home(自動車から家へ)」の略。電気自動車を蓄電池のように使用する仕組みのことを意味します。

出典:DENSO「V2H-充放電器」

通常は家庭の電源を使って電気自動車を充電しますが、V2H対応車とパワーコンディショナーがあれば、車側からも電気を供給できるようになります。パワーコンディショナーは持ち運べるもの(可搬型給電器)と据え置き型(充放電設備)の2種類があり、据え置き型の方が大容量です。

また、V2Hのシステムも「系統連合タイプ」と「非・系統連合タイプ」の2種類があります。系統連系タイプは、電力会社の電力・電気自動車に蓄えられた電力・太陽光発電による電力の3つが同時に使用可能です。しかし、非・系統連合タイプは一度にその中の1つだけしか使用できません。

系統連系は太陽光発電を設置しており、発電した電力を自家消費している家庭であれば使用できます。非系統連系は、太陽光発電を設置していない、または設置した太陽光発電を売電だけに活用していれば利用可能です。

最近は太陽光発電と連動させたタイプのV2Hも登場しています。太陽光発電で蓄えた電力でEVを充電できるので、さらに電気代を節約したい方にはおすすめです。それ以外にも、V2H機器自体が蓄電できる機能を搭載した「トライブリッド蓄電システム」も登場しています。

電気自動車から給電する方法は2つ

電気自動車から外部に給電する方法は2種類あります。

まず一つ目が、車内のコンセントを使用する方法です。100V電源用コンセントがある場合、電源として使うことができます。コンセントが装備されていないタイプのEVもあるので注意しましょう。コンセントを使用する場合、最大出力は1500Wとあまり多くありません。しかし、機器の設置・配線工事が不要で車本体のみで給電できます。以下のような家電が使用できます。

出典:電動車活用社会推進協議会「電動車活用促進WG 東京電力ホールディングス株式会社 提供資料」

二つ目にご紹介するのが、給電端子を使用する方法です。電動車の給電口にパワーコンディショナーを繋げば給電できます。パワーコンディショナーがあれば給電できるので、この方法も設置・配線工事は要りません。この方法は、コンセントで給電する場合よりも使用可能な電力量が大きいです。避難所や小規模なオフィスであれば、この方法でカバーすることができます。

正しく給電を行うために注意すべきこと

電気自動車からの給電は、どんな状況でも行えるわけではありません。正しく給電を行うためにも、「給電する電気自動車」と「使用する電気製品」の注意すべきポイントをご説明します。

①給電する電気自動車側の注意点

  • 車両が発進しないよう、パーキングブレーキをかける
  • できれば地面が固く、平らな場所に駐車する
  • コードリールを使用する場合は、発熱を防ぐためにコードをすべて引き出す
  • 万が一の火災を防ぐために、たこ足配線はしない
  • HV・PHVはエンジンが作動することがあるため、酸欠を防ぐために換気する
  • 極端に暑い場所や、極端に寒い場所では給電をしない

②使用する電気製品側の注意点

  • 出力1500W以上の電気製品は使用しない
  • 取扱書の注意事項に従って使用すること
  • 極端に暑い場所や、極端に寒い場所での使用を避けること
  • 出力がストップする恐れがあるため、医療機器には使用しない

電気自動車に貯めた電力で、何日間くらい生活できる?

ここからは、電気自動車に貯めた電力で何日間くらい生活ができるのか、その目安をお伝えします。まず、世帯人数別の平均的な消費電力量をご覧ください。

世帯人数消費電力量(一日あたり)
一人暮らし6.1kWh
2人世帯10.5kWh
3人世帯12.2kWh
4人世帯13.1kWh
5人世帯14.8kWh

一日を過ごすためには、大体上記の電力量が必要です。日産リーフは40kWhと62kWhのものがあるため、フル充電したとすると一人暮らしでは6〜9日、4人世帯では3〜4日は生活できます。スマートフォンの充電可能回数に換算すると、約3500〜4000回です。

また、プラグインハイブリッドカー(PHEV)は発電用のエンジンを搭載しています。バッテリーが切れた場合はエンジンが発電するので、車種によっては4人世帯でも10日間以上の生活が可能です。空調を必要としない春や秋では商品電力量がさらに減るため、これまでに述べた日数よりも長く生活できます。非常事態でも電気自動車はとても役に立つため、ぜひ有効活用していただきたいです。

災害時にEVが活躍した事例

ここからは、災害時に電気自動車が活躍した事例を3つご紹介いたします。

北海道胆振東部地震

2018年9月に北海道にて発生した北海道胆振東部地震。この震災では火力発電所のボイラー管が破裂するなど、北海道内で大規模な停電が発生しました。

燃料電池自動車(FCV)の災害時活用事例のご紹

出典:トヨタ自動車株式会社「燃料電池自動車(FCV)の災害時活用事例のご紹介」

その際、札幌市では約2,000人の方を対象に、電気自動車を主電源とした携帯電話サービスが実施されています。室蘭市では、自主避難所に電気自動車と給電器が設置され、証明やテレビ、携帯電話充電の電源として使用されました。

令和元年房総半島台風

2019年9月に発生した台風15号(令和元年房総半島台風)では、千葉県内で約64万件の停電が発生しました。その際、非常用電源として電気自動車が活用されています。

千葉県大規模停電における日産自動車の支援について

出典:NISSAN EV BLOG「千葉県大規模停電における日産自動車の支援について」

特に電気自動車が活躍したのは、避難所や福祉施設です。熱中症対策のために扇風機を使用したり、スマートフォン・携帯電話の充電を行ったり、照明として使用されたりと、電気自動車が多くの地元住民の方々の生活に貢献しました。

令和元年東日本台風

令和元年房総半島台風の翌月に発生した台風19号(令和元年房総半島台風)では、長野県の復興支援のために電気自動車が活用されました。電気自動車からボランティアセンターに電力を供給し、電動工具の充電やあたたかいご飯の提供が行われました。

浸水した家屋は撤去しなければいけません。しかし、電動工具は消費する電力が大きいため、被災後すぐに撤去作業に取りかかれないのが実情です。しかし、電気自動車は1500Wまで電力を使用できるため、電気ドライバーや丸ノコギリも充電できます。

復興のために使用された電気自動車は、系統電源の復旧後に充電が行われ、別の被災地へと向かいました。こういった形で、復興を支える手段として電気自動車が活用される例は増えています。

おわりに

地震や台風など、日本では災害の発生を避けることはできません。しかし電気自動車はそういった緊急時でも非常用電源として大活躍します。今後も災害に備えて電気自動車を導入する方は増えていくかもしれません。

EnergyShift編集部
EnergyShift編集部

EnergyShift編集部

サステナブルガイドの最新記事