ついにダイハツが「軽EV」市場へ参入 50万円EVで猛攻を仕掛ける中国メーカーに勝つことはできるのか | EnergyShift

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ついにダイハツが「軽EV」市場へ参入 50万円EVで猛攻を仕掛ける中国メーカーに勝つことはできるのか

ついにダイハツが「軽EV」市場へ参入 50万円EVで猛攻を仕掛ける中国メーカーに勝つことはできるのか

2022年01月14日

トヨタ自動車の子会社「ダイハツ工業」は、2025年までに軽自動車の電気自動車(EV)を国や自治体の補助金を活用して、実質負担額100万円台で販売することを昨年(2021年)12月に発表した。さらに、2030年までに全ての国内新車販売を、ハイブリッド車(HV)を含む電動車にする目標も示した。

軽自動車のEVを巡っては、日産自動車と三菱自動車が共同開発車を2022年度初めに、スズキは2025年頃までに発売する計画を表明している。脱炭素の流れを受けて、軽自動車でもEV(軽EV)の需要は広がるとみられ、ダイハツもこうした動きに追随し、軽EVを推進する。まさに今、軽自動車の電動化を進めているダイハツの取り組みを中心に、軽EVについて追ってみた。

ダイハツの軽EV戦略とは?

ダイハツの国内軽自動車販売における販売シェアは15年連続で第1位を獲得している(2006年~2020年度)。長年、軽自動車で国内シェア首位を維持しているダイハツだが、まだEVを販売していない。EVなどの電動車は生産コストが高く、軽の利点である低価格が実現できないとして、同社はこれまでガソリン車の燃費改善で環境性をアピールしてきた。

しかし、2021年11月に、軽より車体の大きい小型車「ロッキー」のHVを発売。まずはEV走行も可能なHVを2023年頃に販売する見込みで、航続距離や価格などの実用面から判断していくという。エンジンを発電時のみに使い、その電力を用いてモーターで走る独自のHV技術で、軽自動車にもこの技術を展開し、2025年には軽のEVも市場投入する計画を示した。

一方、奥平社長は、軽のEVの販売台数計画について「発表できる段階にない」として明らかにしていない。顧客が求める価格と実際に提供できるEVの価格にはギャップがあると述べた。国や自治体からの補助金などを適用した上で100万円台の価格を目指す方針だ。

軽EVの開発にあたっては、走っているエネルギーの回収を進めていく必要もあり、親会社のトヨタからの技術を学び、一緒に開発し採用していく。駆動用電池の調達はトヨタと協力し、モーターは自社開発して内製化する方向で検討する。

ダイハツはトヨタグループの一員として、「トヨタ環境チャレンジ2050」を共有している。また、ダイハツグループでは、その中間年(2030年)に向けたダイハツならではの取組みとして「環境アクションプラン2030」を策定した。グローバル新車CO2排出量を2010年比30%の削減を目指す(図1)。

図1


出所:ダイハツ工業

同アクションプランには、「電動車の技術開発とともに市場導入を推進」とある。脱炭素社会の実現に向けて、自動車産業ではハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)などの電動化が世界的に進んでおり、EVのラインナップは拡大しつつある。

それにも関わらず、軽自動車EVの普及は遅れている。さらに、世界に誇る日本の軽自動車すら海外に波及していないのが現状だ。なぜだろうか? 

軽EVの普及が遅れている本当の原因とは・・・次ページ

東條 英里
東條 英里

2021年8月よりEnergyShift編集部にジョイン。趣味はラジオを聴くこと、美食巡り。早起きは得意な方で朝の運動が日課。エネルギー業界について日々勉強中。

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