垂直両面太陽光パネルの開発/中国の世界最大規模のソーラーパネル工場/英米の最後の石炭火力発電所/フランスデコジャルが選べるエネルギーミックスほか | EnergyShift

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垂直両面太陽光パネルの開発、中国の世界最大規模のソーラーパネル工場、英米の最後の石炭火力発電所、フランスデコジャルが選べるエネルギーミックス、ほか

垂直両面太陽光パネルの開発/中国の世界最大規模のソーラーパネル工場/英米の最後の石炭火力発電所/フランスデコジャルが選べるエネルギーミックスほか

EnergyShift編集部
2020年04月13日

日本ではあまり紹介されない海外のエネルギー業界最新ニュース。EnergyShift編集部が厳選してお送りする。

Next2sunウェブサイトより

垂直で2面の太陽光パネルは農地に最適 仏独で提携

フランスのエネルギー大手トタルは、アルザス地域を除くフランス市場において、ドイツのスタートアップ企業Next2sunの垂直設置型太陽光技術の独占的開発を支援することに合意、署名した。
Next2sunが開発した、垂直に設置される両面太陽光パネルは、両サイドへの入射を利用し、電力の消費が増加する夜明けと夕方の時間帯に最大のパフォーマンスを発揮することができる。風よけや日よけになること、スペースをとらないこと、容易にフェンスへ統合できることから、このシステムはソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)にとって理想的だ。
子会社であるトタル・クァドランの責任者Thierry Muller氏は「我々はこの革新的な技術が、使用されていない間の農地経営に必要不可欠な貢献を生み出すと確信している」と語った。
トタル・クァドランは3月初旬、50万人超の電力需要を満たすため、2025年までに、農業用地への500MW近い容量の太陽光発電の設置を目指すと発表した。

French-German alliance for vertical PV(pv magazine 2020/03/30)

世界最大規模の太陽光パネル工場を中国GCL SIが計画

深圳証券取引所に3月下旬、提出された声明によると、中国GCLの子会社であるGCL System Integration (GCL SI)は、中国東部の安徽省に60GWの太陽光パネル工場建設を計画している。
このプロジェクトは4つのフェーズを経て開発される見込みで、第一フェーズの15GWを今年開始するという。売上と生産能力次第で、2023年末までに残りのフェーズが決定される。
プロジェクト全体で180億元(25.3億ドル)の投資が必要とみられ、第一フェーズではおよそ50億元が投資される。GCL SIはこのプロジェクトについて、新たな技術やファイナンスの詳細を明らかにしなかった。この施設は完成すれば世界最大規模の太陽光パネル工場になると同社は主張した。
GCL SIは現在、中国本土に4つ、ベトナムに1つ、合計5つの太陽光パネル工場を所有および運用しているとウェブサイトにある。

World’s biggest PV module factory(pv magazine 2020/03/30)

イギリスとニューヨーク、最後の石炭火力発電所を閉鎖

イギリスで最近二つの大きな石炭火力発電所が閉鎖された。チェシャー州のFiddler’s Ferry発電所とウェールズのAberthaw発電所だ。
イギリス政府は3月下旬、石炭由来の電力は2019年に60%減少したと発表。年間で全体の3%と、近代史において最低の記録となった。
Fiddler’s Ferry発電所を所有するSSE Thermalの代表取締役Stephen Wheeler氏は、この閉鎖は会社にとって「画期的な瞬間」であるとし、「この発電所は地元に大きく貢献したが、イギリスがよりクリーンな発電方法に切り替え、気候変動に対して行動し続けるにあたり、(閉鎖は)正しいことだ」と述べた。2021年3月にはイギリス最大の石炭火力発電所Drax Power Stationの運転停止が予定されている。

また米ニューヨークでも、2040年までに化石燃料ゼロを推進するAndrew Cuomo州知事による取り組みの一環で、最後の石炭火力発電所が閉鎖される予定だ。この発電所を所有するBeowulf Energyは、閉鎖後はデータハブやサーバーファームに生まれ変わらせたいと語っているが、地元住民からは火力発電所職員としての生涯の後、テクノロジー分野の仕事には馴染めないのではないかと心配の声が上がっている。

Last Coal-Fired Generating Plants Closing In UK & New York(CleanTechnica 2020/04/01)

北海に巨大な浮体式洋上風力発電所を開発

スペイン企業Iberdrola率いるコンソーシアムは4月上旬、北海に10MWを超える大型の浮体式洋上風力発電所を開発していると発表した。このコンソーシアムはデンマーク、フランス、ドイツ、ノルウェー、そしてスペインの企業で構成されており、プロジェクトはノルウェーのマリン・エナジー・テスト・センター(Marine Energy Test Centre)でテストされる予定だ。「業界団体WindEuropeによると、2019年に設置された洋上風力発電所の平均規模は7.8MWであった」とCNBCは報じた。
土台の建設開始は2021年の第2四半期、設置の開始は2022年の第1四半期を見込んでいる。世界初の浮体式洋上風力発電所は、2017年に稼働開始した30MWのHywind Scotlandだ。当時報じられたように、ヨーロッパの風力適地の8割は、水深が深すぎて海底に風車を固定できないため、浮体式洋上風力発電所の開発が行われている。そしてヨーロッパの真西、北大西洋には、全世界に電力を供給するのに十分な風況がある。

EGEB: Europe’s North Sea is getting a huge floating wind turbine(electrek 2020/04/02)

フランスでは自分の電源を選べるようになる 豪Power LedgerのP2Pによって

オーストラリアの野心的なスタートアップ企業Power Ledgerは、再生可能エネルギー小売会社eKWateurと連携し、フランスの電力市場に革命を起こそうとしている。
Power LedgerのP2P電力取引技術を利用すれば、顧客が自身のエネルギーミックスをカスタマイズできるようになる。国内の約220,000の電力メーターは、Power Ledgerのブロックチェーン対応プラットフォームVisionにアクセスできるようセットされ、電源が再生可能エネルギーであることを証明。顧客に電力市場の透明性の新たな水準をもたらす。
さらに、Visionによって顧客は電力を遠くの風力発電所から得るのか、近所の屋根上の太陽光パネルから得るのかを選べるようになり、大企業のほか、小さな企業や地元の発電事業者を選択することもできる。そして供給側へは、顧客の獲得と維持に関するより正確なデータ提供を行う。Power Ledgerは今年中に、フランス全土にこの技術を導入する見込みだ。

Power Ledger to give French customers their choice of energy(pv magazine 2020/04/02)

(Text:鶴田 さおり)

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