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bp、英国最大の水素生産プロジェクトを計画

bp、英国最大の水素生産プロジェクトを計画

EnergyShift編集部
2021年03月24日

bpは2021年3月18日、2030年までに最大1GWのブルー水素(化石燃料由来のカーボンニュートラルな水素)を生産するプロジェクトの計画を発表した。生産する水素の量は、英国が目標とする水素の生産量の20%に相当する。削減されるCO2の量は、英国の100万世帯分の暖房に相当する。

北海の天然ガスをCCUSでブルー水素に

今回発表されたプロジェクトは、イングランドの北東部の都市Teessideで進められる。プロジェクトの名称はH2Teesside。水素生産プロジェクトとしては、英国最大の規模となる。また、この地域は英国最初の水素輸送ハブとなる。

Teessideは北海油田・ガス田からのパイプラインが上陸する地点。また、この地域での産業は英国におけるCO2排出量の5%以上をしめている。

水素は天然ガスを水素とCO2に変換することによって製造される。CO2はNet Zero Teesside(NZT)およびNorthern Endurance Partnership(NEP)の炭素回収使用による貯留(CCUS)プロジェクトと統合され、カーボンニュートラルなブルー水素として製造される。また、いずれのCCUSプロジェクトとも、bpがオペレーターとなる。

H2Teessideは、クリーンな水素を大規模かつ低コストで生産することで、天然ガスの代わりに水素を使用する周辺産業の転換を支援し、ティーズサイドの産業クラスターの脱炭素化に重要な役割を果たすことになる。

また、生産された水素は、産業や住宅にクリーンエネルギーを提供し、重輸送用の燃料として使用され、バイオ燃料や電子燃料などの持続可能な燃料の作成をサポートする可能性もある。

bpのガスおよび低炭素エネルギー担当上級バイスプレジデントであるDev Sanyal氏は、次のように述べている。

「クリーンな水素は、ネットゼロへの道のりでの電化を補完するものとして不可欠。炭素の回収と貯蔵と統合されたブルー水素は、産業プロセスに必要な規模と信頼性を提供できます。また、電化が困難な産業を脱炭素化し、エネルギー転換のコストを削減する上で重要な役割を果たすことができます」

今後のスケジュールだが、最終投資決定は2024年初頭を予定している。また、それにより、早ければ2027年以前から生産が開始される可能性がある。さらに2030年までに、追加プロジェクトの可能性も検討される。現在bpは、水素製造に伴うCO2排出の最大98%を回収できる技術の調査を行い、実現可能性を探っている段階にある。

bpの水素クラスターをめぐるアライアンス戦略

bpは水素における事業クラスター構築の加速を目指し、さまざまなパートナーとの合意を進めている。

例えば、二酸化チタン顔料と性能添加剤の世界最大の生産者の1つであるVenatorとは、主力のTeessideプラントへのクリーンな水素の供給を対象とする覚書に合意した。また、英国北部のガス販売業者であるノーザンガスネットワークス(NGN)と協力して、英国のガスネットワークの脱炭素化を開始し、ガスを通じて産業顧客と住宅の両方をさらに脱炭素化することを支援する覚書に合意している。

NGNの最高経営責任者であるMark Horsley氏は次のように述べている。

「bpがTeessideで水素生産プロジェクトに投資し、私たちの地域をグリーンリカバリーの最前線に置くことを計画しているのは素晴らしいことです。今回の協力は、11月のCOP26に先立ち、英国のゼロカーボンエネルギーシステムへの移行を支援するという野心の規模を示しています。bpと協力して、水素ガスネットワークが産業用および家庭用の熱脱炭素化で主導的な役割を果たす可能性をさらに探求できることを非常に嬉しく思います」

さらに、これとは別に、bpはティーズバレー合同庁(TVCA)と覚書に署名し、9月に英国運輸省が発表したように、英国初の水素輸送ハブとしてのTeessideの開発を含め、この地域におけるグリーン水素の可能性を探っている。

グリーン水素の生産も視野に

水素やCCUSなどの新興技術におけるビジネスの発展は、統合エネルギー企業への変革というbpの戦略の不可欠な部分だという。とりわけ水素は、電力、産業、運輸部門の脱炭素化において重要な役割を果たすことが期待されている。

bpは今回のようなブルー水素の生産プロジェクトを計画するだけではなく、再生可能エネルギー由来の水素生産にも力を入れている。

2020年には、bpとオーステッドはLetter of Intent(LOI)に署名し、再生可能エネルギーを使用した水の電気分解によって行われるグリーン水素の工業規模の生産のためのプロジェクトをドイツで開発するための協力を開始した。

石油メジャーのbpにとって、脱炭素化に向けた事業転換は着々と進んでいるということだろう。

bp plans UK’s largest hydrogen project

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