消防車も脱炭素へ いすゞ自動車の「環境長期ビジョン」とは? | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

消防車も脱炭素へ いすゞ自動車の「環境長期ビジョン」とは?

消防車も脱炭素へ いすゞ自動車の「環境長期ビジョン」とは?

2021年06月15日

日野自動車と並び、国内2大トラックメーカーである、いすゞ自動車株式会社(以下いすゞ)は、6月8日、電動モーターで消防ポンプを駆動できる補助装置「スマートポンプ」を開発し、それが東京消防庁の水槽付き普通ポンプ車に採用されたことを発表した。
この「スマートポンプ消防車」は、エンジンによるポンプの駆動での放水だけでなく、車載のリチウムイオンバッテリーと電動モーターによるポンプの駆動で、エンジンを停止した状態でも約1時間にわたり毎分およそ300リットルの放水が可能で、その間の二酸化炭素の排出を抑えることが出来る。
さらに、電動モータ―の静音性によって、夜間や早朝の消火活動時の騒音を抑えるという利点もあり、環境や地域社会にも貢献できる仕様となっている。

同社は昨年3月、「豊かで持続可能な社会の実現に向け地球環境への負荷を最小限にすることを目指すとし、『いすゞ環境長期ビジョン2050』を策定。
そのなかで、製品とサービスをとおした気候変動対策として、次世代車両の開発普及、脱炭素エネルギーの活用、物流の整流化と効率化を推し進め、2050年までには、いすゞグループ製品のライフサイクル全体で温室効果ガス(GHG)ゼロ*¹を目指すと発表している。

これは、いすゞがEVやFCVを始めとするカーボンニュートラル車を早期に市場へ提供するだけでなく、物流及びIT事業者と実証を踏まえながら開発を進めることによって、安全かつ高稼働な運行サービスの提供や、様々なカーボンニュートラルエネルギー使用の実用化と、普及加速活動にまで積極的に参画することを含む取り組みである。
同社はこれにより、CDP*²調査の「気候変動」部分で最高評価である「Aリスト」企業にも選定されている。

また、いすゞグループ全体で、商用トラックのみならず、前出のスマートポンプ消防車のように、多種多様な用途を持つ車両の特性を考慮し、それぞれの使われ方に最適な次世代車両の開発を進めると共に、脱炭素社会の実現に向けて、広く業界やステークホルダーとも積極的に協力してゆくという姿勢をこの『いすゞ環境長期ビジョン』によって明確に打ち出している。

戦前から続く長い歴史のなかで、流通を下支えする商用車と共に日本経済を牽引してきたいすゞ自動車の、これからのさらなる躍進に期待したい。

*¹:GHGゼロ:排出量と吸収量がプラスマイナスゼロ
*²:CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)企業に対し気候変動等に対する取り組みの情報公開を求める活動を行う組織。

EnergyShift編集部
EnergyShift編集部

EnergyShift編集部

ニュースの最新記事