リチウムはレアメタルにも分類され、希少金属に入る。一方で、これからの脱炭素時代、再エネが増えれば増えるほど、その出力の不安定さを社会として平準化するために、何らかの形でエネルギーを固定化する必要が出てくる。そこで蓄電池や水素、という論点が出てくるのだが、目下、EV(電気自動車)の論点などもあり、蓄電池のイノベーションと競争が激しくなっている。
つまり、リチウムの確保が非常に重要になるということだ。既に資源獲得競争は起きている。日本は、完全に輸入国になるため、リチウム資源を獲得できるかどうかが死活問題になるわけだ。
ナトリウム電池に話を戻すと、このナトリウム電池、脱炭素時代の資源獲得競争において、最大の強みを発揮する格好となる。というのも、主原料のナトリウムの資源量は世界的に潤沢で地域的な分布にも偏りがないからだ。
ナトリウムについて、もしかするとなじみがない人もいるかもしれないが、例えば食塩などもナトリウム化合物だ。塩化ナトリウムといって塩素とナトリウムから出来ている。このことからも分かるとおり、ナトリウムは、原料の塩が海水から採れ、さらには地殻中にも豊富に存在する。工業的な製造方法も確立されているので、安価で大量供給が可能な元素の一つ、ということで、この利点は非常に大きいわけだ。
日本も四方を海に囲まれており、いくらでもナトリウムを入手できるので、このナトリウムがリチウムの代わりを務めることが可能になると、蓄電池業界では革新的な話になる。
しかも、ナトリウムの利点はこれだけにとどまらない。東芝の「SCiB」という蓄電池の解説においてリチウムイオン電池の欠点として、低温時にリチウムイオン電池の性能が下がるという特性を紹介したが、この論点についてもナトリウムの方が優れており、使用可能な温度範囲が広い。そのため、寒冷地での使用もリチウムよりも適している。さらに、充電が速いというメリットもある。
非常に利点が多い電池がナトリウムイオン電池である。となると、中国が注目しないわけがない。既に世界最大手の蓄電池メーカーとなった中国CATLも開発に乗り出している。そこで次に、中国CATLの開発動向について、解説していきたい。
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