上場企業だけじゃない 非上場企業、中小企業にも脱炭素が波及 あなたの会社はどうする? | EnergyShift

脱炭素を面白く

EnergyShift(エナジーシフト)
EnergyShift(エナジーシフト)

上場企業だけじゃない 非上場企業、中小企業にも脱炭素が波及 あなたの会社はどうする?

2021年11月18日

中小企業にも波及し始めた脱炭素の影響

そもそも省エネルギーセンターの2016年度の調査によると、非上場企業や中小企業の温暖化ガスの排出量は全体の44%を占め、排出削減の余地は大きい。サプライチェーンなども考えると、メスをいれなければいけない領域の一つだ。そして、日本の企業の9割は中小企業や非上場企業とされており、企業数でいうと圧倒的に中小・非上場企業の方が多い。そのため、上場企業までの影響にとどまるのか、それとも中小・非上場企業にまで波及するのかで、話は全く変わってくる。

脱炭素については、サプライチェーンの脱炭素化についても、企業は求められ始めている。さきほどCDPというグローバルな情報開示システムを運営しているNGOに触れたが、CDPからいい格付けをもらうことが、この脱炭素時代において、企業価値を高める方法の1つの候補となっている。

CDPの評価の一つにサプライヤー・エンゲージメント評価というものがある。

この評価は、気候変動課題の解決に向けて、その会社がサプライヤーに対していかに働きかけ、連携したかを対象として実施されるものであり、CDP気候変動質問書の中から「ガバナンス」「目標」「スコープ3排出量」「サプライヤーとの協働」「CDP気候変動質問書スコア」について評価される形となっている。

この「CDPサプライヤー・エンゲージメント評価」。最高評価だと「リーダーボード」に選出されるのだが、2020年は世界で396社が選出され、そのうち日本企業は83社が選ばれている。

83社も選ばれたということは何を意味するのか。それらの企業は、サプライヤーに対して、脱炭素要求をしたということになる。したがって、そのサプライチェーンの上流部分においては、上場・非上場問わず、脱炭素影響を受けた、という形になるわけだ。

企業にとって、企業価値の向上は重要な論点にこれから一層なっていく。なにも損保ジャパンのような形だけでなく、CDP評価などからも脱炭素の影響は出てくる。

もちろん、トヨタのようにサプライヤーに対して年率3%の排出削減を求めるというアクションにでる企業もこれから増えてくるだろう。

こうした中、金融セクターでもエンゲージメントの動きが広がっている。そこで、次に、続々と進展する投融資のカーボンニュートラルに向けた動きを紹介したい。

投融資先にも脱炭素を求める動きが加速・・・次ページ

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

エナシフTVの最新記事