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上場企業だけじゃない 非上場企業、中小企業にも脱炭素が波及 あなたの会社はどうする?

2021年11月18日

投融資先にも脱炭素を求める動きが加速

日本の銀行として初めて、三菱UFJフィナンシャル・グループが今年5月、2050年投融資カーボンニュートラルを宣言した。この宣言は何を意味するのかというと、投資先、融資先企業のCO2排出量が総計でゼロである状態、そこに投融資のポートフォリオをもっていく、ということだ。

そのため、当然だが、2050年に向けては、投資先、融資先はカーボンニュートラルに近い状態になっていないといけないということになる。実現に向けては、対話を重ねる、としており、ここがまさにエンゲージメントの領域になる。対話には当然、脱炭素転換要求の圧力は大なり小なりかかってくるだろう。また、パフォーマンスが悪ければ、投融資の引き揚げという形にもなってくる。

さて、この投融資カーボンニュートラル、投融資を受ける側からすると、脱炭素を要求される宣言なのだが、三菱UFJフィナンシャル・グループに続くように8月には三井住友フィナンシャルグループが同様の宣言をした。

世界では投融資カーボンニュートラル連合のようなものがすでに形成されている。それが「ネットゼロ・アセットオーナー・アライアンス」なのだが、日本のアセットオーナーとしては一早く第一生命が加盟。そして、COP26を前に日本生命保険と明治安田生命保険、住友生命保険も加盟し、生保大手4社が揃って加入する格好となったわけである。

ちなみに、このアライアンス、2019年9月の設立で、独アリアンツや仏アクサなど欧州を中心に約50社で構成されており、運用資産は約6兆7,000億ドル(約760兆円)にのぼる。アライアンスの影響力は非常に大きい。

日本においても、さきほど損保ジャパンが非上場900社にもエンゲージメントを、という事例を解説したが、当然、三菱UFJ、三井住友、そして生保4社も、投融資先に非上場企業を含むため、脱炭素の転換は時間の程度の差こそあれ、不可避な流れになってきている。

金融、そして資産運用企業の大手どころが脱炭素に舵を切ったとなると、この脱炭素ドミノが末端まで波及していくことがある程度、予想されるわけだが、脱炭素ドミノがまさに起き始めている。そこで最後に、次々と生じている地銀の脱炭素動向について、解説していきたい。

メガバンクだけでなく地銀でも加速・・・次ページ

前田雄大
前田雄大

YouTubeチャンネルはこちら→ https://www.youtube.com/channel/UCpRy1jSzRpfPuW3-50SxQIg 講演・出演依頼はこちら→ https://energy-shift.com/contact 2007年外務省入省。入省後、開発協力、原子力、官房業務等を経験した後、2017年から2019年までの間に気候変動を担当し、G20大阪サミットにおける気候変動部分の首脳宣言の起草、各国調整を担い、宣言の採択に大きく貢献。また、パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略をはじめとする各種国家戦略の調整も担当。 こうした外交の現場を通じ、国際的な気候変動・エネルギーに関するダイナミズムを実感するとともに、日本がその潮流に置いていかれるのではないかとの危機感から、自らの手で日本のエネルギーシフトを実現すべく、afterFIT社へ入社。また、日本経済研究センターと日本経済新聞社が共同で立ち上げた中堅・若手世代による政策提言機関である富士山会合ヤング・フォーラムのフェローとしても現在活動中。 プライベートでは、アメリカ留学時代にはアメリカを深く知るべく米国50州すべてを踏破する行動派。座右の銘は「おもしろくこともなき世をおもしろく」。週末は群馬県の自宅(ルーフトップはもちろん太陽光)で有機栽培に勤しんでいる自然派でもある。学生時代は東京大学warriorsのディフェンスラインマンとして甲子園ボウル出場を目指して日々邁進。その時は夢叶わずも、いまは、afterFITから日本社会を下支えるべく邁進し、今度こそ渾身のタッチダウンを決めると意気込んでいる。

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