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エネ庁が脱炭素化への移行金融、ロードマップ案を具体化へ

エネ庁が脱炭素化への移行金融、ロードマップ案を具体化へ

2021年11月29日

近年、世界的にトランジション・ファイナンスに関する議論が進んでいる。日本でも脱炭素と経済成長の両立に向けて、脱炭素に移行段階にある案件にも投融資する際の基本指針の策定が進む。経済産業省資源エネルギー庁は、2021年度中に鉄鋼、化学、電力など7分野におけるロードマップを具体化させる計画だ。

トランジション・ファイナンスとは、環境負荷の高い事業活動などを、脱炭素型あるいは低環境負荷型に移行させる(トランジション)ための投融資(ファイナンス)のことだ。トランジション・ファイナンスの対象となる産業は、石油・ガスなどのエネルギー開発、鉄道・航空などのインフラ関連、鉄鋼業、セメントなどが挙げられる。

すでに環境問題の解決に貢献している事業に資金を供給するだけでは、気候変動抑制が十分に進まない。そのため、技術革新などを通じて脱炭素型に移行する道筋が見えているのであれば、それらの活動にも資金を供給するべきという考えに基づいた投融資である。

日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しており、その実現に向けた一歩として、国際的な取組の進捗を注視しつつ、国内でのトランジション・ファイナンスの促進のため、金融庁・経済産業省・環境省の共催で、「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」を開催し、トランジション・ファイナンスを実施する際の基本指針の策定を検討してきた。

討論会では、トランジション・ファイナンスを検討する企業のトランジション戦略の策定や戦略の適格性を判断するために参照し得る分野別のロードマップを策定。内容は、2050年カーボンニュートラル、パリ協定と整合する科学的根拠をコンセプトとし、グリーン成長戦略、エネルギー基本計画、NDC(パリ協定に基づく温室効果ガス排出削減目標)等、各政策と整合する分野別の技術ロードマップといったものだ。

ロードマップは、CO2多排出産業であること、CO2排出ゼロのための代替手段が技術的・経済的に現状、利用可能ではなく、トランジションの重要性が高いことなどを理由に、分野を選定。

具体的には水素・アンモニア混焼火力のほか、2050年カーボンニュートラルを見通した上での高効率ガス火力導入などが対象となる見通しだ。再生可能エネルギーや原子力の推進など、既存技術による脱炭素化の取り組みもトランジションに含まれると定義した。

 

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EnergyShift編集部
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