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世界CEOは経済回復を予測、進まないカーボンゼロコミットメント PwC調査

世界CEOは経済回復を予測、進まないカーボンゼロコミットメント PwC調査

2022年01月18日

PwCは、2022年1月18日、第25回「世界CEO意識調査」の結果を発表した。これによると、CEOの4分の3が2022年の世界経済の回復を予測している一方、カーボンネットゼロに対するコミットメントは進んでいないという結果が得られた。目の前の経済状況を重視しても、中長期的な課題については取組みが進まないというのが現状のようだ。

今回の調査は、世界各国4,446名のCEOを対象に調査したものとなっている。現在、世界はコロナ危機がいまだに終息しないという状況に加え、インフレの加速やサプライチェーンの分断、さらに少子高齢化による労働人口の減少といった課題に直面している。しかし、こうした状況にあって、PwCの調査に対する回答では、世界経済の改善を予測するCEOは77%に達し、過去10年で最高水準になったという。前年からは1ポイントの増加だが、2020年の調査からは55ポイントの増加となっている。

前向きな見方が多かった国としては、トップはインドで94%となっており、日本も比較的高く83%となっている。また、英国、イタリア、フランスなども80%を超える結果となった。

一方、米国は前年度比18ポイント減の70%、中国が9ポイント減の62%と平均より低くなっている。これらの国ではコロナ危機よりもインフレやサプライチェーンの制約が課題となっていると思われるという。

経済予測とは対照的に、気候変動対策に取り組んでいると回答したCEOは3分の1に満たなかった。自社がネットゼロにコミットしていると回答したCEOはわずか22%で、そのうち取組みが進展していると回答したのは29%にとどまった。また、カーボンニュートラル(カーボンクレジットを利用するケースも含む)へのコミットは26%、うち取組みが進展していると回答したのは30%しかなかった。

さらに、今後1年間の懸念材料として、気候変動を上位に上げたCEOはわずか3分の1で、サイバーリスク(49%)、健康リスク(48%)、インフレ(43%)よりも下回った。

ネットゼロへのコミットメントを表明している企業は、電力・公益事業(40%)、エネルギー(39%)が高く、また売上高250億ドル以上の企業では65%がコミットメントを表明している。

ネットゼロへのコミットメントを表明していない企業のCEOの57%は、自社が気候変動に影響を及ぼすほど温室効果ガスを排出していないと考えていることも明らかとなった。こうした企業はスコープ1およびスコープ2の排出量のみを考慮し、バリューチェーン全体を対象とするスコープ3の排出量を考慮していないと思われるという。

こうした結果となった一方で、顧客の信頼とCEOの成長に対する自信には相関があることも示されており、同時に顧客の信頼とネットゼロへのコミットメントも関連していることがわかったという。さらに、顧客の信頼が高い企業は、非財務的成果とCEOの報酬を連動させている傾向が高いという。

今回の調査結果について、PwCグローバルのボブ・モリッツ会長は、「本年の調査では、売上の成長に対するCEOの自信も、企業のネットゼロへのコミットメントの有無も、全て信頼に結びついていることがわかりました。これから25年を考えると、いずれ不測の事態や困難が間違いなく訪れるでしょう。しかし信頼という強固な基盤の上に築かれた企業は決してゆらぐことがなく、CEOは長期的な発展に寄与する持続的な成功を確実に実現できるでしょう」とコメントしている。

数字の上では、CEOの気候変動に対するコミットメントや取り組みの遅れが目立つものの、気候変動への対応は企業のブランドと顧客への価値提供の中核となりつつあることが見て取れる結果だとしている。

EnergyShift編集部
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