住友化学は8月24日、半導体用高純度ケミカルの製造ラインを増設し、生産能力を強化することを発表した。半導体製造で精密洗浄などに用いられる高純度の硫酸とアンモニア水の生産設備を増強する計画だ。
具体的には国内の愛媛工場(愛媛県新居浜市)で高純度硫酸の生産能力を現在の約2倍に引き上げるほか、韓国子会社である東友ファインケムの益山工場(大韓民国全羅北道益山市)で高純度アンモニア水の生産能力を約4割増強する。新しい製造ラインの稼働開始は、愛媛工場は2024年度上期を、東友ファインケムは2023年度下期を見込んでいる。
半導体製造で精密洗浄などに用いられる高純度ケミカルは、製造工程で異物が混入することによる半導体の品質低下や歩留まりを防ぐため、不純物をppt(parts per trillion=1兆分の1)レベルまで低減する超高純度化技術が必要になる。
住友化学の製品は、生産から輸送までの徹底した不純物排除によって微小不純物分析技術に基づく品質保証体制を確立していることから、品質安定性を持つことが強みとなっている。
半導体市場は「5G」(第5世代移動通信システム)の普及や、PCやデータ関連機器のほか、EV化や再生可能エネルギーの普及拡大に伴って需要が増加している。一方で、世界的な半導体不足は深刻化しており、解消には時間がかかる見通し。世界各国が巨額の資金を投じて開発競争を繰り広げており、住友化学は2025年までに、国内外で半導体製造プロセス材料の増産や設備更新に300億―500億円を投資する見込みで、長期的な需要を見据えて一層の体制強化を検討していく考えだ。今後の半導体の製造工程における高純度薬品の更なる需要増加、安定供給が期待されている。
ニュースの最新記事