記録的な豪雨や災害が相次ぐなか、地球温暖化によって台風の災害リスクの増大が懸念されている。環境省はこのまま地球温暖化が進んで、2019年に関東地方に大きな被害をもたらした台風19号と同様の台風が日本に上陸した場合、どれくらいの被害を与えるのか、シミュレーションした。河川の氾濫リスクは最大で2.28倍になるという。
環境省ではスーパーコンピュータを使って、もし世界の平均気温が産業革命前より2℃、あるいは4℃上昇して、台風19号が再び日本に上陸したら、どのような災害をもたらすのかシミュレーションした。
シミュレーション結果によると、2℃あるいは4℃いずれも、海水温の上昇によって大気中の水蒸気量が増えるなどし、その結果、現在よりも強い勢力を保ったまま日本に接近し、関東・東北エリアにより多くの雨をもたらすという。特に台風19号による被害が大きかった荒川、多摩川、利根川などの8つの水系での降雨量が増え、いずれの水系において河川の氾濫リスクが高まる。
その被害は、気温が2℃上昇した場合で最大流量が平均15%増加し、河川の氾濫リスクが1.44倍に。
4℃上昇すると、最大流量は平均29%増え、氾濫リスクは2.28倍になる結果を試算した。
さらに地球温暖化が進むと東京湾の海面水位も上る。もし満潮時に台風が接近すると、東京湾や周辺の河川の最大水位が3.2メートル以上上昇するとし、気温の上昇によって、高潮による浸水リスクも増加すると予測する。
環境省では、温暖化がこのまま進めば、被害はますます増えると警鐘を鳴らすとともに、2018年に近畿地方を襲った台風21号など他の台風の検証も進め、今後の気候変動対策に役立てたいとしている。
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