12月2日、環境省と経済産業省はJ-クレジット制度を見直すとした。見直しの検討方針案は、両省が共同で開いたJ-クレジット制度運営委員会(委員長=山地憲治・地球環境産業技術研究機構理事長・研究所長)内で、農林水産省・林野庁が報告した。
J-クレジットとは、省エネルギー機器の導入や森林経営などの取組による、CO2など温室効果ガス(GHG)の排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度のこと。
本制度では、森林の成長時に二酸化炭素(CO2)の吸収分をクレジット化する。吸収量のピークは植栽後20~30年で、幼齢林の段階では多くない。それでも、2050年カーボンニュートラルへの貢献を見据え、中長期的な森林吸収量の確保・強化を図るためには、今のうちから「伐って、使って、植える」という資源の循環利用を進め、成長の旺盛な若い森林の造成が必要となる。
主伐後約10年間は、再造林や複数回の下刈り等の作業が発生し、最も経費がかかる時期となる。それにも関わらず、現状では、認証対象期間が最大8年間であり、10年以上にわたる再造林に対して、一部しか経費に算定されない。加えて、伐採された木材においては、クレジット評価がされていない。また、認証工程においても現状は3ヶ月から半年の期間を要する。更なるクレジット創出拡大を促すためには、これらの課題を解決してくことが必要と考えられてきた。
そこで今回、政府は、主伐跡地に再造林して炭素蓄積量を回復させる事業を評価する方針を示した。その内容は、森林を主伐すると排出量として計上する必要があるが、再造林した場合はその分を控除するというもの。さらに、木材製品に関しては、長時間使われる割合を定量的に分析し、炭素固定量をクレジット化する仕組みを構築する。
認証工程については、工程の簡素化によって、申請開始から数週間でクレジット発行を目指す方針を示した。簡略化に当たっては、デジタル技術を活用しつつ、審査項目を見直していく。その中で、まずはデータを取得しやすい太陽光事業から検討を始める方針だ。
また、上記のほかにも、国際航空の排出削減枠組み「CORSIA(コルシア)」へ、来年1月~2月に、J-クレジットを申請することについても発表があった。日本の削減義務分は2024年に数百万トンと試算されており、約700万トンのJ-クレジット市場の活性化につなげるとともに、日系航空大手が海外クレジットを購入することによる国富流出も防ぐ。コルシアでは2021年以降の排出量を2019年以下に抑えることを加盟88ヶ国に求めているため、日本発着便が一定割合以上の航空会社に限ってJ-クレジットを活用していく方針だ。
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