Netflixは、気候変動に取り組む 「ネットゼロ + 自然」計画を策定 脱炭素への一歩 | EnergyShift

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Netflixは、気候変動に取り組む 「ネットゼロ + 自然」計画を策定 脱炭素への一歩

Netflixは、気候変動に取り組む 「ネットゼロ + 自然」計画を策定 脱炭素への一歩

EnergyShift編集部
2021年04月01日

近年、ルールのない働き方で注目されているNetflixだが、気候変動対策をはじめとする環境問題にも取り組んでいる。2021年3月30日、同社のサステナビリティ責任者であるエマ・スチュワート氏が同社の取り組みについて語っている。

エマ・スチュワート氏は、Netflix初のサステナビリティ責任者で、ケニアやブラジル、メキシコといった国で科学者として働き、自然の生態系に加えて、それがいかにして地球上で生命を維持する働きをもたらしているかに関する研究を進めてきた。そして人類が生き残るために生態系を少しずつ蝕んできたその過程を知り、考え方が大きく変化したという。スチュワート氏は、2009年に、世界で初めて科学に基づいた気候変動目標戦略を策定したチームに加わった。この取り組みは、現在総勢1,000社以上を巻き込んだムーブメントに発展しているという。

2020年10月、スチュワート氏はNetflixのサステナビリティ責任者に就任した。「世界にエンターテインメントを届けるには、まずは人が住むことができる地球が必要であり。そのために、気温の上昇を1.5ºC以内に抑えて気候を安定させ、気候変動がもたらす最悪の結末を回避することが求められている。そして私たちの子どもたちの世代に生命を維持する健全な仕組みを残そうと、世界中の科学者たちが一丸となって取り組んでいる」ということだ。

この目標に貢献すべく、Netflixは2022年末までに温室効果ガスの実質的な排出量をゼロにすることを実現することを発表するとともに、それ以降毎年同じ目標を達成できるよう取り組みを継続していくという。今回策定した「ネットゼロ + 自然」と呼ばれる計画は、以下のようなステップで実現させる見込みだという。

ステップ1:排出量の削減

パリ協定が掲げる地球温暖化を1.5°C以内に抑えるという目標に沿い、排出量削減を目指す。また、Science-Based Targetsが提唱するガイダンスに基づき、スコープ1(自社からの直接排出)およびスコープ2(エネルギー起源の間接排出)の排出量を2030年までに45%削減する。

ステップ2:既存の吸収源の保全

スコープ3(その他の間接排出)を含む、止むを得ない温室効果ガスの排出に関しては、大気中からCO2を吸収する働きのある資源を保全するプロジェクトに投資を行い、2021年末までに完全に相殺することを目指す。まずは、世界的な気候変動目標を達成するうえで重要視される熱帯雨林のように危機に瀕する自然環境の保全に取り組む。

ステップ3:大気中の二酸化炭素の除去

2022年末までに危機的状況にある自然生態系の再生への投資を拡大し、ネットゼロ達成を目指す。草地やマングローブ、健全な土壌を回復させるプロジェクトは、CO2を吸収することにつながるほか、私たちの生活にさまざまな恩恵をもたらすものとなる。

Netflixの取り組みの要となるのは、自然が持つ力を生かすことにあるという。クリスティアナ・フィゲレス氏ら環境保全の先導者たちが主張する、自然生態系の保護と再生なくして気候変動目標は達成できないというアプローチにより、経済活動の脱炭素を目指し、生命を維持する仕組みを回復させるまでの時間的猶予が生まれるということだ。

事例として、オレゴンにおけるライトニングクリーク牧場のプロジェクトがある。このプロジェクトでは、北アメリカ大陸最大の束上草類プレーリーの保全に投資を行っているが、ここにはNetflixが"保全"のステップで具体的に目指している目標が見て取れる。また、ケニアでは、カシガウ回廊REDD+プロジェクトに支援を行っており、数百種に及ぶ絶滅危惧種が生息する乾燥地森林を保護すると同時に、密猟といった非持続可能な生業に代わる収入源を現地住民に提供している。

Netflixの戦略は、オックスフォード大学による最新のガイダンスやScience-Based Targetsが提唱するイニシアティブ(SBTi)の基準に従っており、特に後者に関しては、SBTiが推奨するガイドラインの100%達成を目指すものだ。またNetflixは、国連のBusiness Ambition for 1.5°Cに賛同する企業群に名を連ねるとともに、地球温暖化を1.5ºC以内に抑えるパリ協定の目標に向けた具体的施策に取り組むコンソーシアムであるAmerica is All Inにも参加している。

Netflixの戦略は60名以上の専門家の助言によるもので、これにはローレンス・バークレー国立研究所の研究者や、ENGIE Impactの再生可能エネルギーや持続可能な航空産業の識者、自然資源保護協議会の政策専門家などが含まれている。また、無償で協力してくれる専門家から成る独立した諮問グループも組織し、助言や提案を受けているという。

カーボンフットプリントの把握

2020年にNetflixが排出したCO2は110万トンだった。このCO2のおよそ半分(50%)は、Netflixオリジナル作品の物理的な制作過程で排出されたもので、これにはNetflixが直接管理する作品と、外部の制作会社を通して制作される作品のいずれも含んだものだ。また、Netflix作品としてライセンスされるコンテンツも該当している。

その他の45%は企業活動や購入した商品による。またNetflixでは、アマゾンウェブサービスといったクラウドプロバイダーや、自社のOpen Connectコンテンツデリバリネットワークを利用してサービスを提供しているが、これらが占めるのが残りの5%に相当する。

一方、会員がNetflixの視聴に利用するインターネット通信や電子機器からの排出は計算から除外されている。これらの排出について説明責任を負うのは、機器の設計および製造を経営支配しているインターネットサービスプロバイダーやデバイスの製造業者だという。

ストリーミングなどのインターネット利用によるカーボンフットプリントを測定する統一した方法を確立するため、共同研究プロジェクトDIMPACTに参画しているという。このプロジェクトはブリストル大学が主導するもので、Netflixは同大学が開発した計算機ツールを使用している。

2020年の試算では、Netflixで1時間動画を視聴した際のカーボンフットプリントは、ガソリン乗用車が400メートル走った場合と同等の100gCO2eを優に下回るという結論にいたったという。この結果は同業他社のものとも一致し、Netflixの諮問グループからも妥当であると確認されている。Carbon Trustは今春、このトピックに関する白書を発表する予定。ストリーミングのカーボンフットプリントをより深く理解することで、CO2排出を業界全体でさらに効率よく削減できるようになるとしている。

サステナビリティの物語

エンターテインメントにおいては、サステナビリティは、作品のテーマとしても取り上げられている壮大な物語でもある。2020年には、こうした問題を扱ったNetflix上の作品が、全世界の1億6,000万世帯で、世帯あたり1作品以上視聴されているという。

例えば、「OUR PLANET 私たちの地球」は2019年4月の配信開始以来、1億世帯で視聴されている。デヴィッド・アッテンボローのナレーションで、地球のシステムと生物の相互依存性に迫ったこのドキュメンタリー作品は、プライムタイム・エミー賞2部門をはじめとするさまざまな賞を獲得。今月始めには、複数の賞を受賞した「オクトパスの神秘:海の賢者は語る」がアカデミー賞にノミネートされている。 

Netflixは今回初めて「ネットゼロ + 自然」を通して大規模な環境への取り組みを開始するということだ。

ネットゼロ + 自然:気候変動に対するNetflixの取り組み

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