2021年5月13日、石油メジャーのbpは、セメントなどの建材メーカーCEMEXとの間で、セメントの製造プロセスと輸送について脱炭素化するためのソリューションを開発するための覚書に合意した。
ソリューションの内容には、低炭素電力や低炭素輸送、エネルギー効率向上、CO2オフセット、CCUS(CO2回収利用貯留)などが含まれる可能性があるという。また、両社は協力して、都市の脱炭素化を想定したソリューションを開発する予定だという。
CEMEXは日本ではあまり知られていないが、110年の歴史を持つグローバルなセメントなどの建材メーカーで、主にヨーロッパや南北アメリカを中心に事業を展開している。セメントは製造過程でCO2を排出するため、カーボンゼロに向けた技術開発が強く求められる業界の1つとなっている。
石油メジャーのbpは他の石油会社同様にカーボンゼロに向けた事業展開を求められている。そうした中、エネルギー以外の分野でもカーボンゼロで協力するということは異例だといえる。
CEMEXのサステナビリティ・商業・事業開発担当上級副社長のJuan Romero氏は、「コンクリートは社会の中で不可欠な役割を果たしており、その重要な特性、強度、回復力に代わるものはありません。低炭素経済においてもコンクリートは重要な役割を果たすと考えており、業界の課題は製造工程での排出物の解決策を見つけることです。今回のbp社との取り組みは、CO2ゼロのコンクリートを全世界のお客様にお届けするという我々の野望を達成するために、最新のイノベーションと破壊的技術を活用するために、産業界、学界、新興企業など様々な分野のパートナーと協力して行っている活動の一例です」と述べている。
bpの地域・都市・ソリューション(RC&S)担当上級副社長のWilliam Lin氏は、「bpでは、自分たちの会社の努力と同様に、『緑化企業』が持続可能性の目標を達成するのを支援したいと考えています。世界の排出量の70%は輸送、産業、エネルギーに起因しており、セメント製造はエネルギー集約型であることを私たちは知っています。カーボンネットゼロの目標を共有し、補完的な能力を持つCEMEX社のような先進的な企業とチームを組むことで、産業とエネルギーシステムの脱炭素化を加速することができます。今こそ、カーボンネットゼロへの道のりを共に歩み、その過程で相互の価値を生み出す時です」と述べている。
bpは、都市や企業の脱炭素化を支援することが長期戦略の中核をなすものだとしており、RC&Sチームは、世界中の都市や企業と永続的な関係を築き、複雑なエネルギーニーズに対して、オーダーメイドで統合された脱炭素エネルギーソリューションを提供し、クリーンで信頼性が高く、かつ手頃な価格のエネルギーを提供することを目指しているという。また、ハイテク、消費財、大型輸送機関、重工業の分野での脱炭素化を目指し、現在大きな炭素排出量を抱えている企業と協力して、bpのカーボンネットゼロの目標を管理・共有している。
bpのメキシコ担当責任者兼ラテンアメリカ担当上級副社長のAngélica Ruiz氏は、「私たちは、より持続可能な未来への移行という目標を共有するグローバル企業と協力できることを誇りに思います。CEMEX社は、世界のセメント産業の脱炭素化において主導的な役割を果たしており、メキシコやラテンアメリカを含むすべての地域で速いペースで進展しています。CEMEX社とのコラボレーションは、2050年またはそれ以前にネットゼロ企業となり、世界のネットゼロ化を支援するという私たちの野望に向けた新たな一歩です」と述べている。
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