脱炭素化の切り札のひとつである洋上風力発電の大量導入には、海に浮かべる「浮体式」の技術開発が欠かせない。石油元売り大手のENEOSは、国内における浮体式洋上風力の普及に向け、独自技術を持つフランスのBWイデオル社と共同開発する。ENEOSは今回の提携によって、浮体式洋上風力の受注拡大を目指す。
洋上風力は脱炭素の切り札とされており、国は2019年度時点でわずか1万kW程度にとどまる導入量を2040年までに3,000万〜4,500万kWに増やす目標を掲げている。
しかし、日本には遠浅の海が少ないため、大量に導入するには、風車の土台を海底に固定する「着床式」だけでなく、海に浮かべる「浮体式」の技術開発が求められている。特に浮体式は、着床式に比べ約3倍の導入ポテンシャルがあると推定されている。
ENEOSは、浮体式洋上風力の普及に向け、浮体式で独自技術を持つフランスのBWイデオル社と提携し、共同開発を進める。
2010年設立のBWイデオル社は、浮体の中央をドーナツのように空洞にすることで、洋上での浮体の揺れを抑える「ダンピングプール」と呼ばれる技術に定評があるという。この技術を使えば、台風が多い日本の気象にあった浮体式が開発できるとし、さらに浮体式の基礎が小型でシンプルな形状となり、施工性の向上などによってコスト削減も可能だという。
ENEOSでは、2022年度までに国内外で100万kW超の再エネ電源を開発する目標を掲げており、太陽光発電とともに洋上風力発電を拡大中だ。長崎県五島市沖での浮体式洋上風力の開発メンバーの1社であり、秋田県などでの開発に取り組んでいる。今回の共同開発によって、浮体式のさらなる受注拡大を目指す。
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