空間情報をもとにデジタル空間にコピーを作成する、デジタルツイン技術は、建設分野などでシミュレーションなどに利用されている。こうした技術を再生可能エネルギー設備にも応用する動きが進んでいる。最近では、英国の電力会社SSEらが、COP26の会場でデジタルツイン技術を応用した脱炭素事業のシミュレーションの展示を行っている。
11月9日には、ノルウェーのソフトウェア企業のFuture Onと、同じノルウェーのデジタルソリューション企業のKongsberg Digital(KDI)がパートナーシップに署名した。これにより、エネルギープロジェクトにおけるデジタルツインによる設計や運用などの包括的なサービスが提供されることになる。
今回のパートナーシップの中心となるのは、再エネプロジェクト向けのデジタルツインの開発だ。洋上風力やグリーン水素製造プラント、CO2回収ソリューションなど、新たなエネルギー事業が登場し、これまでの石油・ガス事業者自身も多角化戦略の一環として取り組んでいる。既存の油田やガス田に加えて、再エネなどの設備にもデジタルツインを適用していくということだ。
Future Onはデータ視覚化を得意とするソフトウェア企業で、すでに米国のインフラ向けデジタルソリューション企業であるBentley Systemsとも提携しており、今回の提携はこれを補完するものとなる。また、KDIも新たにBentley Systemsに450万ドルの戦略的投資を行う。
今回の提携により、それぞれのソリューションが統合できるようになるため、エネルギー企業においては、既存のエネルギー事業と再エネ事業のシステムを統合できるようになる。
デジタルツインは、アクセンチュアが2021年初めに今年のトップ5テクノロジートレンドとして挙げている。また、温室効果ガスの排出削減と脱炭素化を可能にする技術として認識され、15を超える国際エネルギー企業が採用している。Future OnのソリューションであるField Twinのプラットフォームも広く採用されている。
Future OnのPål Roppen CEOは、今回の提携を通じたシステムの統合によって、世界のエネルギー企業の主要なデジタルソリューションの1つに位置付けられるとした上で、「Future Onの目標は、データ駆動型のクラウドベースのプラットフォームを使用して、顧客がネットゼロの野心を達成できるようにサポートすることです。Future Onのデジタルソリューションを使用することにより、エネルギー会社は大幅な効率改善と環境影響の軽減ができます」と語っている。
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