日本でも、「再エネ100%」ないし「実質再エネ100%」をうたった電気料金メニューが増えている。しかし、商品によってはどのようなしくみ、あるいはどのような発電所でできた再エネなのかが明確ではなく、不安に思う需要家もいるだろう。本当に環境にやさしい電力なのかどうか、疑問を感じることもあるのではないだろうか。
再エネで先行する英国でも同様の問題が発生しており、英国政府はエネルギー小売事業者が消費者に「グリーン」電力を販売するにあたっての規制強化をすすめようとしている。
2021年8月16日、英国のAnne-Marie Trevelyanエネルギー相は、エネルギー小売事業者が消費者に「グリーン」電力をどのように販売していくのか、政府として検討する予定であることを発表した。
検討する内容は以下の通り。
現在、英国では約900万世帯がグリーン電力の契約をしており、その半数以上は「再エネ100%」または「グリーン」が表示されている。
また、多くの消費者が電力をグリーンなものに切り替え、CO2排出を削減しようと考えている。
英国政府では、2010年以降、再エネの発電量が4倍以上に増えており、消費者にエネルギーがグリーンな発電所から供給されていることを伝えたいとしている。
一方、現在のところ、エネルギー小売事業者は消費者に供給するエネルギーの一部が化石燃料由来であっても、原産地を証明した再エネ証書(REGO)を購入して相殺することで、グリーン電力として販売できるしくみとなっている。また、この証明書は、エネルギー規制当局であるOfgemが発行している。
政府が検討している内容としては、再エネ証明書について、システムをよりスマートにし、再エネの種類(風力や太陽光など)を含むものなのかどうか、またいつ発電されたものなのか、といった明確な情報を提供する必要があるかどうかについても含まれている。
さらに、価格比較サイト、自動切換えサービス、仲介事業者などに関しても、規制が必要かどうかについて、検討するということだ。
いずれにせよ、エネルギー小売事業者などは料金表で十分な証明書を所有しているという証拠を示すことが必要となるということだ。
Anne-Marie Trevelyanエネルギー相は、「何百万世帯もの英国の家庭が、グリーン電力に切り替えるという選択をしています。さらに多くのエネルギーが再エネに由来しています。しかし、グリーン電力の契約をするときに、消費者は再エネへの投資を意識的に行っている企業への投資であるということを、知ってもらいたいのです。その一環として、企業は消費者に供給するエネルギーがどこから届けられるのか、可能な限り透明性を保つようにしていきます。そうすれば、英国のすべての家族は、自らの選択が2050年までの気候変動対策をリードすることに貢献しているとして、安心できます」と述べている。
これに対し、価格比較サービス事業者もまた、透明性を高めることを求めている。
価格比較サービス事業者のUswitch.comの規制担当責任者であるRichard Neudegg氏は、「透明性は消費者をネットゼロに導く鍵です。家庭は環境に少しでも貢献したいと考えているため、再エネを、自信を持って選択できるよう、できるだけ簡単なしくみにすることが重要です。多くの人がグリーン電力を購入していますが、消費者が支払う料金の内訳を正確に知ることは困難です。私たちは家庭のグリーン電力料金をわかりやすく説明することを目的としたあらゆる措置を支持します」と述べている。
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