脱炭素に向けApple、サプライヤー110社以上が再エネに協力 2030年までにサプライチェーンでカーボンニュートラル実現へ | EnergyShift

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脱炭素に向けApple、サプライヤー110社以上が再エネに協力 2030年までにサプライチェーンでカーボンニュートラル実現へ

脱炭素に向けApple、サプライヤー110社以上が再エネに協力 2030年までにサプライチェーンでカーボンニュートラル実現へ

EnergyShift編集部
2021年04月01日

自社事業所のみならず、サプライチェーンまで含めたカーボンニュートラルを目指すAppleは、2021年3月31日、サプライヤー110社以上が再エネ100%に切り替えていくことを発表した。この計画に向けて、8GWの再エネが調達され、年間1,500万トンのCO2が削減される。

2020年7月、Appleは全事業、製造サプライチェーン、製品ライフサイクルのすべてにおいて、2030年までにカーボンニュートラル達成を目指すという計画を明らかにした。この発表以降、Appleは再生可能エネルギーへの移行を決めたサプライヤーの数を著しく増やしてきた。

Apple自身は既に全世界でのすべての企業活動においてカーボンニュートラルを達成しており、サプライチェーンや製品ライフサイクルに対する取り組みが課題となっていた。

こうした中、2021年3月31日、Appleは世界中の製造パートナー110社以上が、Apple製品の製造に使用する電力を100パーセント再生可能エネルギーに振り替えていくことを発表した。この計画により約8GW分のクリーンエネルギーが調達される予定。

これが実現した暁には、CO2換算で年間1,500万トン分の温室効果ガス削減に寄与する。これは道路から毎年3,400,000台以上の自動車を排除することに匹敵する。さらに、Appleは再生可能エネルギープロジェクトに直接投資して原料調達などで発生する温室効果ガス排出の一部を補償している他、カリフォルニア州における大規模なエネルギー貯蔵プロジェクトを通じて、再生可能エネルギーの社会基盤となる数々の新しいソリューションを先導している。


Appleのサプライヤー各社は、合計して約8ギガワットものクリーンエネルギーを世界中のコミュニティに供給している

今回の2030年を期限とする新しい目標は、Appleが販売するすべてのデバイスについて気候変動の影響をネットゼロ(クリーンエネルギー発電等により相殺して実質ゼロ)にする取り組みだ。また、最近では、Appleがグリーンボンドを通じて調達した資金47億ドルの投資先の内訳を公表し、当該資金を世界中の環境プロジェクトの支援に投じていくことを明らかにしている。

「Appleは、当社のサプライヤーが2030年までにカーボンニュートラルを達成するのを支援していくことを固く誓い、当社の取り組みに賛同していただいた企業が、業界や国境を越えて──ドイツ、中国、米国、インド、フランスから世界中に広がりつつあることに感動を覚えています。かつて経験したことのないような一年の間に、Appleは世界中にいる当社社員、協力会社の皆さん、地球温暖化問題の提唱者の方々から構成される世界規模のネットワークとの協力を継続しながら環境問題に関する当社の取り組みを推進しています。これと同時に、気候変動の影響を大きく受けている地域コミュニティとも協力して、私たちの行動ひとつひとつを人々の生活に良い影響を与える力に変える努力を進めてきました」と、Appleの環境・政策・社会イニシアティブ担当バイスプレジデント、リサ・ジャクソン氏はこのように述べている。

サプライヤーの目標達成に向けた世界規模のエネルギープロジェクト

再生可能エネルギーを世界中に届け、サプライヤーが各々の再生可能エネルギーの目標を達成するのを支援するために、Appleは新しいツールを継続的に開発している。

欧州では、DSM Engineering Materialsの風力発電による電力購入契約によって、オランダ国内の電力グリッドに新しいクリーンエネルギーをもたらしている。また、STMicroelectronicsがモロッコに設置したソーラーカーポートが地域のエネルギー生成を支援している。

Solvayなどの各社はAppleが提唱する Supplier Clean Energy Program に参加して5年になるが、現在では再生可能エネルギーの利用を企業活動全般に広げている。同プログラムには最近、米国企業のAlpha & Omega Semiconductor、Marian、The Chemours Company、Trinseo各社も参加した。さらに中国では、過去半年間にサプライヤー15社が、Appleが提唱する同プログラムに参加している。

Apple自身が100%再生可能エネルギーへ移行した際に得た経験を、サプライヤーに伝えたことで、サプライヤー各社は再生可能エネルギーへの移行に関する国ごとの情報と併せて、関連資料やトレーニング教材等の情報をAppleから得ることができたという。Appleはまた、再生可能エネルギー分野のエキスパートを招いての先進的かつ独自のトレーニングを通じてサプライヤーの教育にも当たっているほか、各地域で活用する機会を知ることができる再生可能エネルギーに関する業界団体の設立・運営も手助けしている。

Appleが事業を展開する多くの国や地域では、サプライヤーが再生可能エネルギーを利用するための選択肢は限られている。こうした障壁を打ち砕くために、AppleはChina Clean Energy Fund を創設し、中国国内で合計1GW以上の再生可能エネルギーを調達することを目的としたクリーンエネルギープロジェクトに、Appleとそのサプライヤーが投資できる環境を整えた。

さらにAppleは、再生可能エネルギーをサプライヤーが再生可能エネルギー開発業者および発電所から直接買い付けるために引き合わせるということも行っているが、近年はこうした仕組みが世界中で増えている。

将来を展望すると、今後のAppleとサプライヤーとの協力体制には、再生可能拠点での貯蔵ソリューションへの投資と、そこから学んだ教訓を共有することも含まれていくということだ。

エネルギー貯蔵と2030年に向けた前進

Appleは米国最大規模のバッテリープロジェクトの1つとして、California Flatsという名称の電力貯蔵施設を現在建設中だ。

この業界屈指の施設は電力グリッド規模で、7,000世帯以上に供給する1日分の電力量としても十分な240MWhのエネルギー貯蔵能力がある。この電力貯蔵施設はAppleがカリフォルニア州内で用いる再生可能エネルギー全量を生み出す130MW相当のソーラーファームに対応し、日中に生成された余剰エネルギーを貯蔵しておき、電力を最も必要とされる時に活用できる仕組みになっている。


Appleは現在 California Flats の将来を象徴するようなエネルギー貯蔵施設の建設を進めている

風力および太陽光発電は世界の多くの場所で利用できる最もコスト効率の高い新しい電力源だが、これらは発電量が変動するという問題がある。そのための解決策として、エネルギーの貯蔵を実施。Appleはカリフォルニア州で発電所規模のエネルギー貯蔵施設に投資しながら、新たなエネルギー貯蔵テクノロジーの研究も並行して進めている。サンタクララバレーに設置した複数の分散型貯蔵施設から、Apple Park内のマイクログリッドまで、研究の推進を続けていくということだ。

Appleは純利益が増加しているにもかかわらず、カーボンフットプリントを一貫して削減してきた。すでにカーボンフットプリントは40パーセントも減り、2030年の目標に向けて安定した進捗を示しているという。また、低炭素素材の使用、エネルギー効率の追求、クリーンエネルギーへの切り換えといった取り組みを通じて、すでに温室効果ガス排出を1,500万トン以上も抑制しているということだ。

Apple、サプライヤー110社以上の再エネへの課題解決に協力

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