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車載半導体のひっ迫感が薄れる見通し トヨタは90万台生産まで復旧なるか

車載半導体のひっ迫感が薄れる見通し トヨタは90万台生産まで復旧なるか

2021年12月01日

ようやく、車載半導体の需給ひっ迫が薄れるかもしれない。ルネサスエレクトロニクスなど世界的大手5社の9月末在庫総額が生産能力の回復などを受け、9ヶ月ぶりに増加に転じたことが報じられた。対象となったのはルネサスエレクトロニクス、NXPセミコンダクターズ、インフィニオンテクノロジーズ、STマイクロエレクトロニクス、テキサス・インスツルメンツの5社で、このうち4社の在庫が前年同期を上回ったとされる。

これまでの半導体不足の影響により、引き続き需要の高まった状況は続くと思われるが、一旦、今夏までのようなひっ迫状況は和らぐ見通し。最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の魏哲家・最高経営責任者(CEO)は「第3四半期(7~9月期)から自動車メーカー向けの供給不足が大幅に解消されると考えている」と話したことも報道されている。これまで在庫の積み増しが適わなかった要因としては春先の寒波や火事、東南アジアでの新型コロナウイルスの感染拡大をうけた工場の稼働停止に加え、利幅の大きいスマートフォンなどの生産に重点を置いていた面もあるとされていた。今回の在庫増によって、自動車生産の回復を下支えしそうだ。

これまで、ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のシナリオ分析によると、半導体メーカーにおける在庫が十分な水準に達するのは、2023年の第2期以降と予測されてきた。自動車用半導体の生産が徐々に増える前提で試算すると、2022年後半に在庫がようやく増加し始め、2023年第2期に1.2ヶ月、第3期に1.5ヶ月、第4期に1.9ヶ月になる試算だった。

自動車各社は7~9月に減産した分の挽回生産に取り組む考えで、当面は車載半導体の旺盛な需要が続くと思われる。トヨタ自動車など国内メーカー8社を見ても、11月29日にまとめた10月の世界生産台数は、前年同月比25%減の181万8千台。4ヶ月連続で前年同月を下回っており、半導体を始めとした材料不足の影響は大きい。

それでも、トヨタが「最悪期は脱した」旨を、広報部を通じて公表したように、部品不足の影響は少しずつ緩和してきた。今年10月の世界生産台数が前年同月比25.8%減の62万7千台だったのに対して、11月は85万~90万台まで回復となる見通しだ。

世界的な半導体不足に加え、東南アジアでの新型コロナウイルス感染拡大による工場の稼働停止からの復旧が鍵を握る。

このように、明るい予想があがる一方で、やはり部品メーカーや商社など供給網全体に十分な半導体在庫が行き渡るには時間がかかるため、実際に在庫が潤うまでは油断できないことに変わりはないだろう。

 

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