東芝は12月22日、無充電EV(電気自動車)などの実現に貢献する新たな「透過型亜酸化銅(Cu2O)太陽電池」を開発したと発表した。
発電層の不純物を抑制することで、世界最高の発電効率となる8.4%を実現。一般的なシリコン製のパネルと重ね合わせて両方で発電し、全体の発電効率は27.4%でシリコン製単体での世界最高値を上回るとしている。
パネルを複数重ね合わせた太陽電池は「タンデム型」と呼ばれ、再生可能エネルギーの有効活用に向けて開発が進められている。EVや無人飛行機の電源として活用できるとみて、2025年度までの実用化を目指す。
この太陽電池をEVに搭載した場合、走行で消費した蓄電池の容量を太陽光発電で補充し続けることで、自宅や充電ステーションでの充電なしで長期間の走行が可能になるという。充電なしの1日の航続距離は約35kmに達すると試算された。2030年には1日あたり約40kmの走行が可能になる試算だ。今後はEVを購入後、1度も充電をせずに走行し続けることができる世界を目指すという。
東芝は2019年に、世界で初めてトップセルとして透過型Cu2O太陽電池を開発。シリコン製太陽電池の上に重ね合わせて発電に必要な波長の光を一定の割合で透過させ、全体の発電効率を27.4%まで高められる技術を新たに開発した。
同タンデム型太陽電池は低コスト・高効率であり、小設置面積でも高出力を実現できる。EVへの適用により、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた課題の1つである「運輸の電動化」に貢献すると期待されている。
東芝は全体での発電効率30%の達成に向け開発を進めていく。
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