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打ち砕かれる半導体不足緩和への期待 リードタイムは再び長期化

打ち砕かれる半導体不足緩和への期待 リードタイムは再び長期化

2021年12月09日

半導体のリードタイム(発注から納品までにかかる時間)は、11月に再び長期化した。半導体の需給ひっ迫がやや解消し、回復するとの期待を高めていた多くの業界関係者を落胆させた。

サスケハナ・ファイナンシャル・グループの調査によると、半導体のリードタイム(発注から納入までにかかる時間)は約22.3週と、10月と比較して4日延びた。リードタイムは同社が2017年にデータ集計を開始した2017年以降で最長となっている(図)。

図:半導体のリードタイム


出所:Susquehanna Financial Group

米アップルやフォード・モーターは、自社製品の需要に対応できず、コストが上昇しているとの見方を示している。10月のリードタイムが小幅な拡大にとどまったことで、状況が改善しつつあるとの楽観的見方が高まっていたが、期待が打ち砕かれた。

サスケハナのアナリスト、クリス・ローランド氏は、11月の「拡大幅は最近の大半の月を下回っているものの、われわれは明確な反転を期待していた」と指摘した。

世界的な半導体不足が生じたのは、半導体を急ぎ確保するために顧客が半導体メーカーにダブルブッキング(二重発注)やオーバーブッキング(過剰発注)をしていることも要因の一つだという。

日経新聞によると、主要18社の2021年7~9月の棚卸資産は4~6月から12%増え、2四半期連続で前四半期末を上回った。ただ、在庫が1回転するまでの期間はほぼ横ばいだ。メモリーなど一部で需給改善の兆しはあるものの、半導体全般の需要は依然旺盛で、本格的な正常化にはなお時間を要する見通しだという。「家電・産業機器など向けは2022年半ばまで、半導体全体で見ると2022年末から2023年にかけて」(英調査会社オムディアの南川明氏)との声もある。

また、半導体価格の上昇も続く見通しだ。自動車用の半導体などを手掛ける世界先進積体電路は12月2日、記者会見を開き、世界中で不足する半導体について「今後も半導体価格は上昇していく」との見解を示した。

電子部品に使われる半導体不足は、我々の生活にも影響が出る。今後の動向に注目したい。

 

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