再生可能エネルギーなどを地域内で利用し、外部電源への依存を減らすことができるマイクログリッドへの関心が集まっている。こうした中、自然電力は、千葉県木更津市のKURKKU FIELDSにおいて、防災・減災を目的とし、太陽光発電システム・蓄電池・最適制御システムを組み合わせたマイクログリッド設備を導入した。
KURKKU FIELDSは、千葉県木更津市に建設された、広さ30haにおよぶ「サステナブルファーム&パーク」をテーマとした施設で、自然や食、芸術などさまざまに楽しむことができる。総合プロデューサーは音楽プロデューサーの小林武史氏だ。
2019年9月の台風15号では、同施設は11日間の停電を経験、長期停電時でも家畜のいる牛舎等への電力の安定供給や、地域住民の方向けの避難所として電力供給を自前で行える設備の導入を考えていたという。
これに対し、自然電力が同施設に向けて、太陽光発電システム・蓄電池・最適制御システムを組み合わせたマイクログリッド設備を導入、2021年2月22日に引き渡しおよび運用開始した。この設備は、NDSが詳細設計・施工および施工管理、自然電力が全体概要設計および自社開発の最適制御システム(EMS:Energy Management System)の設計・導入・運用を担当。またTesla Powerpack認定施工会社として蓄電池設備の導入・設置を行った。
なお、この事業は2019年度の二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(激甚化する災害に対応した災害時活動拠点施設等の強靭化促進事業及びエネルギー自給エリア等構築支援事業)に採択されている。
今回導入されたマイクログリッド設備では、太陽光発電設備(294kW)と、Tesla社の産業用蓄電池Powerpack3台(合計出力333kW/容量669kWh)・自社開発の最適制御システムを一括で導入している。
また、敷地内に約1kmにわたる自営線を引き、複数の施設と新設および既設の太陽光発電システム、蓄電池を結ぶことで、天候の良い日は本施設内での使用電力を自前で賄うことができる自給自足状態となるという。また、災害時等、グリッドからの電力供給が断たれた際にも、太陽光発電設備と蓄電池および自営線によって引き続き必要な電力供給を行い、地域住民の方に対してもKURKKU FIELDSより電力を供給、また本施設の一部を避難所として提供する予定。
設備の特長は以下の通り。
平常時においては、曇天時、雨天時は系統の電力と蓄電池に貯めた電力を利用するが、晴天時は夜間電力を含めて可能な限りの電力の自給自足を目指し、年間の自家消費率は約80%を想定している。また、蓄電池と最適制御システムによって、電気代が高い時間帯や電力使用量が多い時間帯に太陽光・蓄電池の電気を効率的に使用することで、年間約900万円の電気代と年間約191.1トン(新設の太陽光発電所分のみを換算)のCO2排出量の削減を想定。
一方、災害時においては、自営線で結ばれた太陽光発電設備・蓄電池・敷地内建物間において、停電した場合に遮断器で系統から切り離して蓄電池を自立運転させることで、指定された重要負荷での電力が約1~2日間利用可能となる。また、蓄電池からの電気の利用に加えて、日中太陽が出ているときは、太陽光発電設備からの電気も利用可能となっている。
千葉県木更津市のサステナブルファーム&パーク「KURKKU FIELDS」に 防災・減災を目的としたマイクログリッド設備の導入を実施
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