明治ホールディングスは2021年3月1日、持続可能な社会に貢献するため、2050年に向けた長期環境ビジョン「Meiji Green Engagement for 2050」を策定し、2050年カーボンニュートラルおよび再生可能エネルギーへの100%転換を目指すと発表した。
明治グループの事業活動は、生乳、カカオ、乳酸菌や抗生物質に代表される微生物など豊かな自然の恵みのうえで成り立っている。明治グループにとって、「地球環境と共に生き「自然と共生」していくことが責務である」という。
しかし近年、気候変動問題をはじめとして地球環境の持続可能性が危ぶまれており、「自然の恵みを生み出す生物多様性が危機的な状況」にある。
明治グループでは、地球環境とのエンゲージメントを通じて、将来にわたって自然と共生していくために、長期環境ビジョン「Meiji Green Engagement for 2050」を策定した。
ビジョンは「気候変動」「水資源」「資源循環」「汚染防止」の4つを活動ドメインとしており、それぞれに達成目標を設定した。
Meiji Green Engagement for 2050 キービジュアル
気候変動に関する達成目標は以下の通り。
地球温暖化の進行により自然災害の激化や生物多様性への影響が懸念されているなか、脱炭素社会の実現に向け、温室効果ガスを排出しない経済活動への転換が求められている。国際的な枠組みであるパリ協定は、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べ2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力をすることを求めている。
明治グループは、地球環境への影響のさらなる軽減を目指し、気温上昇を1.5℃に抑えるパリ協定の努力目標にチャレンジする。
サプライチェーン全体で温室効果ガス排出量を2050年までにゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を目指す。
【達成目標】
2050年目標の達成に向けて、明治グループはグローバルでのCO2総排出量(Scope1、2)を2023年度に23%以上削減、2030年度には40%以上削減する目標を設定している(いずれも2015年度比)。
また再生可能エネルギーの活用では、グローバルで総使用電力量に占める比率を2023年度に15%以上へ拡大させ、2030年度には50%以上へ拡大することもコミットした。
現在、明治グループでは太陽光発電パネルの導入拡大や再生可能エネルギー由来電力の活用などを進めているが、2021年度中にインターナルカーボンプライシング(ICP)*を導入し、2022年度にはSBT(Science Based Target)認定を取得するなどして、ビジョン達成を目指していく。
*ICP制度:社内における炭素価格を設定し、CO2排出量を費用換算することで、排出量削減に対する経済的インセンティブを創出し、社内で気候変動への対応を促す仕組み。
明治グループ長期環境ビジョン「Meiji Green Engagement for 2050」
編集部より:最近大手各社が先を競って「カーボンニュートラル」宣言をだすようになってきた。これは特にグローバル企業に顕著に見られる傾向だ。明治HDは今回新しい環境ビジョンを打ち出したが、実は明治HDは以前から環境活動に熱心だ。気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)や脱炭素経営促進ネットワークにもすでに参加済みで、SBT(Science Based Targets)認定、ICP(インターナルカーボンプライシング)も導入予定だ。ターゲットが環境に敏感なZ世代が多いことも関係しているかもしれない。今回の発表には「サプライチェーンを含む」とあるが、カカオの産地はほぼ海外で、そこでのScope3目標値がどうなるかも注目したい。
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