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IRENA発表:2020年、世界の再エネ導入容量が過去最高に

IRENA発表:2020年、世界の再エネ導入容量が過去最高に

2021年04月07日

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の発表によると、新型コロナウイルスの世界的な流行にもかかわらず、2020年の世界の再生可能エネルギー導入容量は260GWを越え、2019年を50%近く上回り、過去最高になったという。

脱炭素社会へ再エネ導入量は260GW、新規電源の80%

2021年4月5日、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は再生可能エネルギーに関するデータを公表した。これによると、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で景気の減速が生じたにもかかわらず、2020年の世界の再生可能エネルギー導入容量は、これまでの予測や過去の全記録を上回る結果となった。このデータによると、世界の再生可能エネルギー導入容量が昨年比で260GW以上増加し、2019 年の導入量を50%近く上回る伸びとなったことが明らかになったという。

IRENAがまとめた「2021年版再生可能エネルギー容量統計」によると、新規の電力容量全体における再生可能エネルギーの割合は2年連続で大幅に増加したという。2020年の新規電力容量の80%以上は再生可能エネルギー由来であり、太陽光と風力がその91%を占めた。

再生可能エネルギーのシェア拡大の一要因として、欧州や北米のほか、ユーラシア(アルバニア、アゼルバイジャン、ジョージア、ロシア、トルコ)でも化石燃料による火力発電からの撤退が始まったことが挙げられるという。化石燃料由来の新規電力容量は前年の64GWから60GWに減少し、化石燃料の伸びの低下傾向は顕著な形で継続している。

「この統計が語っているのは、回復力と希望という注目すべきストーリーです。2020年には難題や不安が発生しましたが、再生可能エネルギーはそれにもかかわらず、より良くより公平、強靭、クリーンで公正な未来への疑いのない楽観的な電源であることが明白になりました」と、IRENA事務局長のフランチェスコ・ラ・カメラ氏は語る。そして、次のように続ける。「この重大なリセットは、現在の軌道を繁栄ある経路へと移し変えるための熟考や好機を提供するものであり、それらをつかもうとしている種々のサインも見られます。困難な時期にもかかわらず、我々が予測したとおり、2020年は再生可能エネルギーの10年の始まりをしるす年になりました。コストの低減、クリーンテック市場の成長、そうしたエネルギー転換による利益もこれまでになく明白です。この傾向は止まるところを知りませんが、我々のWorld Energy Transitions Outlook(世界エネルギー転換展望)で明らかになったとおり、やるべきことはまだ山積しています。我々の1.5℃展望では、2050年の目的達成に向け、重要なエネルギー投資計画の見直しを通じたエネルギー転換へのテコ入れを求めています。行動を起こすことが重要となるこの10年、国際社会はより遠くへと前進するためのインスピレーションの源として、この傾向を見守っていかなければなりません」。

太陽光と風力が大幅増

設備容量については長期にわたり、前年に比べ緩やかな成長が続いていたが、2020年には10.3%増加し、これまでの傾向を打ち破る発展となった。2020年末、再生可能エネルギー由来の世界の発電容量は2,799GWを記録した。太陽光や風力が急激に追い上げてはいるものの、最大のシェアを占めるのはやはり水力(1,211GW)だという。2020年に新設された中で容量が大幅に増大した再生可能エネルギー源は太陽光と風力で、それぞれ127GW、111GWとなっている。

2020年に特に成長が目立った市場は中国と米国だという。中国は2020年には、風力72GW、太陽光49GWと、合計136GWの再生可能エネルギーを導入し、世界最大の市場に成長した。

米国は太陽光15GW、風力約14GWと、合計29GWの再生可能エネルギー設備を新設し、2019年比で80%近くの増加を示している。アフリカも2.6GW増と着実な拡大を続け、2019 年よりわずかに増加。オセアニアは昨年も最も成長が速い地域(+18.4%)だったが、世界シェアは小さく、ほぼすべての増加はオーストラリアとなっている。

各技術分野の詳細は以下の通り。

水力:
2019年の時点で遅延となっていた種々の大規模プロジェクトが立ち上げられ、水力の成長は2020年に回復。最大容量を導入したのは中国で12GW。次がトルコの2.5GW。

風力:
2020年、風力は2019年に比べほぼ倍増(2019年の58GWから111GWに)。中国が72GWを導入、それに米国(14GW)が続く。2020年にはほかに10ヶ国が合計1GW以上の風力発電を導入。洋上風力発電が占める割合は約5%に増加。

太陽光:
太陽光による総発電容量は、2020年にアジアで大幅な容量拡大(78GW)が見られたため、風力による発電容量とほぼ同じレベルに達した。中国(49GW)とベトナム(11GW)の導入量が大きく、日本も5GW以上を導入したほか、インドと韓国でも4GW以上増加。米国は15GWを導入。

バイオエネルギー:
正味の導入容量は2020年の約半分(2019年の6.4GWから2.5GWに)にとどまった。中国で2GW以上の増加。それ以外で顕著な増加をもたらしたのは、2019年とほぼ同レベルの1.2GWを導入した欧州のみ。

地熱エネルギー:
2020年の増加はごくわずか。トルコで99MW増加したほか、ニュージーランド、米国、イタリアで多少増加。

オフグリッド電力:
2020年、オフグリッド型の発電容量は365MW増加し(2%)、10.6GWに。太陽光は250MW増の4.3GW、水力はほぼ横ばいで約1.8GW。

World Adds Record New Renewable Energy Capacity in 2020

EnergyShift編集部
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