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京都議定書とは?参加国や定められた内容

京都議定書は、温室効果ガス排出量の削減に関する国際的な取り組みです。2020年以降の地球温暖化対策は、京都議定書に代わってパリ協定が主な枠組みとなっていますが、京都議定書から学べることは数多くあります。
ここでは、京都議定書の内容についてご説明します。京都議定書の発効によって世界はどう変わったのか、パリ協定とはどのような点に違いがあるのかを確認していきましょう。

京都議定書とは?

京都議定書は、気候変動に対する国際的な取り組みを定める条約です。世界各国が協力して地球温暖化を防止するため、2008年から2012年までの期間に先進国の温室効果ガス排出量を5%減少(1990年度比)させることを目標として、1997年に採択されました。その後、2005年に発効されています。

京都議定書の発効条件

京都議定書は1997年に合意されたものの、効力を発揮するためには以下の発効条件を満たす必要がありました(京都議定書25条)。

  1. 55ヶ国以上の国が締結
  2. 付属書Ⅰ締約国の合計の二酸化炭素の1990年の排出量が、全附属書Ⅰ国の合計の排出量の55%以上

上記を満たしてから90日後に発効されることとなっていたものの、2番の条件を満たすうえで重要なポジションにいたアメリカ・ロシアが参加を見送ったため、1997年の採択以降も京都議定書はしばらく発効されませんでした。2004年11月、ロシアが京都議定書を締結したことで、2005年2月に京都議定書は発効される運びとなりました。

京都議定書とパリ協定の相違点

2020年までの地球温暖化対策について定めた京都議定書に対して、パリ協定は2020年以降の目標を定める役割を担っています。また、京都議定書で定められた義務の対象は先進国のみですが、パリ協定では発展途上国も含めて世界中の参加国が取り決めの対象となります。
そして、京都議定書で定められた義務は「目標の達成」であった一方、パリ協定の義務は「目標の提出」となりました。そのため、京都議定書とパリ協定の大まかな相違点は、以下のようにあらわせます。

項目 京都議定書 パリ協定
対象の時期 2020年まで 2020年以降
義務の対象となる国 参加する先進国 世界中の参加国
課せられる義務 目標達成 目標提出

パリ協定を始めとする、温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みは、以下の記事で解説しています。本記事とあわせてご参照ください。

京都会議で定められた内容

気候変動枠組条約の発効以降、毎年開催されている締約国会議(COP)の3回目は京都で開催されました。3回目のCOPであるためCOP3と呼ばれたり、京都で開催されたことから京都会議とも呼ばれたりします。これは京都議定書の「京都」の由来でもあります。京都会議で採択された京都議定書は、以下の事項を中心に取り決めを定めました。

  • 法的拘束力のある温室効果ガス排出量の削減目標を設定する
  • 目標達成のための仕組み(排出量取引・CDM等)を導入する

それぞれ、どのような取り決めなのかご説明します。

温室効果ガス排出量の削減目標

京都議定書が削減対象として定める温室効果ガスは、以下の6種類です。

  • 二酸化炭素(CO2)
  • メタン(CH4)
  • 一酸化二窒素(N2O)
  • ハイドロフルオロカーボン(HFCs)
  • パーフルオロカーボン (PFCs)
  • 六フッ化硫黄(SF6)

温室効果ガス排出量の削減目標は、5%を下限として国別に定められており、日本は「京都議定書目標達成計画」を作成して6%の削減を掲げました。このほか、アメリカは7%、EUは8%の削減目標が掲げられていました。

ただし、当初参加を表明していたアメリカは「アメリカ経済の成長を阻害する」や「先進国にのみ義務が課せられるため不公平」といった理由により、発効前に受け入れを拒否して離脱しています。なお、京都議定書で定めた温室効果ガス排出量の削減目標は、義務であり法的拘束力があります。

目標達成のための仕組み「京都メカニズム」

温室効果ガス排出量削減のために設けられた、排出量削減を容易にするための措置を京都メカニズムと呼びます。柔軟性措置とも呼ばれる京都メカニズムは、排出量取引・CDM(クリーン開発メカニズム)・共同実施といった3つの取り組みを指します。

3つの取り組み 概要
排出量取引温室効果ガスの排出枠が余った先進国と、排出枠を超過した先進国のあいだで排出枠を取引できる制度
CDM(クリーン開発メカニズム)先進国が途上国を技術・資金的に支援し、排出量削減に貢献した場合、途上国における削減量を自国の削減分から差し引ける制度
共同実施先進国が他の先進国を技術・資金的に支援し、排出量削減に貢献した場合、他国での削減量の一部を自国の削減分から差し引ける制度

上記のように、3つの取り組みは先進国が主体となって行うものが多く、途上国が参加できる取り組みはCDMのみとなっています。CDMについてより理解を深めていただけるよう、以下の記事で詳しく解説しています。

京都議定書目標達成計画の進捗状況について

京都議定書の第一約束期間として設定された2008年から2012年のあいだ、日本は自国の目標である6%の排出量削減を達成しました。基準年である1990年に比べて、温室効果ガス排出量は1.4%の増加が見られたものの、森林吸収源対策(新規植林・再植林・森林経営)や都市緑化、京都メカニズムの活用により基準年比8.4%減を実現しています。

しかし、2013年から2020年の第二約束期間において、日本は京都議定書に参加していません。理由は「主要経済国(アメリカ・中国等)が参加しないまま第二約束期間を設定しても、不公平かつ排出量削減の観点から効果的ではない枠組みが固定化される」というもの。京都議定書における第一約束期間の進捗は達成されましたが、2013年以降は離脱する形となりました。

京都議定書の締約国

京都議定書の締約国は191ヶ国と1地域(EU)です。気候変動枠組条約に批准(条約に対する同意)している国・地域のうち、アメリカ・カナダ・アンドラ・パレスチナ・南スーダンは京都議定書に批准していません。締約国のうち、第一約束期間に温室効果ガスの削減義務が課せられた国・地域は、以下の「CP1で削減義務を持つ国(36ヶ国1地域)」に該当する国・地域です。

気候変動枠組条約と京都議定書締約国

*環境省「気候変動枠組条約と京都議定書締約国

第二約束期間に削減義務を課せられた国・地域は、上記のうち「CP2で削減義務を持つ国(37ヶ国1地域)」となっており、前述した通り日本が参加していないことは上記画像からも分かります。

これからの課題

第一約束期間を終え、京都議定書は日本にとって優先的に取り組む枠組みではなくなりました。2020年以降、日本が参加する主要な枠組みはパリ協定です。パリ協定において、日本は2030年度に基準年である2013年度と比較し、26%の温室効果ガス削減を目標に掲げています。2016年時点での進捗状況は、削減目標26%に対して7%の削減となっており、目標達成にはより積極的な排出量削減が必要だと考えられています。

そんななか、2020年10月末に開催された第42回地球温暖化対策推進本部では、菅首相が「議論を重ね、パリ協定に基づく長期戦略の見直しを加速していただきたい」と述べており、2050年までに温室効果ガス実質ゼロを目指すことを表明しました。2021年以降、日本はさらなる排出量削減に努め、地球温暖化防止のために貢献することが期待されています。

おわりに

ここでは京都議定書についてご説明しました。京都議定書は2020年までの枠組みであり、世界における地球温暖化対策の枠組みは2020年からパリ協定に移っています。パリ協定に基づいて、2030年度には温室効果ガスを26%削減(2013年度比)することを目標としており、さらに菅首相の表明によって2050年度までに「温室効果ガス排出実質ゼロ」を目指すこととなりました。
これら一連の目標を「国の責務」だと思わず、私たちも積極的に環境保全に取り組むことが、より良い日本の未来を作るカギになるはずです。