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再エネを普及させる「再エネ賦課金」とは

再エネ賦課金は、再生可能エネルギーを普及させるため、電気の消費者が負担する費用のことです。電力会社が、発電事業者から「再生可能エネルギー由来の電力」を買い取るとき、買い取りにかかる費用として再エネ賦課金が充てられます。電力会社が電力を買い取るにもかかわらず、どうして私たち国民が負担をするのでしょうか?

ここでは、再エネ賦課金とは何かについて解説し、算出方法や「不公平ではないのか」といった問題について触れていきます。

再エネ賦課金とは

再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)は、日本に再生可能エネルギーを普及させるため、電力の消費者が負担する費用のことです。

私たち消費者は、電力会社へ支払う電気料金の一部として再エネ賦課金を負担しています。負担した賦課金は、電力会社が発電事業者から「再生可能エネルギー由来の電力」を買い取るときに使われます。この仕組みにより、発電事業者は決まった価格で売電できるため、安心して発電事業に投資できるのです。
なお再エネ賦課金は、電気を利用するすべての人が負担することとなっており、負担額は使用した電力量に応じて増減する仕組みです。

どういう目的でスタートしたの?

前述した通り、再エネ賦課金を負担することで発電事業の収益性は安定するため、発電事業者は利益率を見立てて発電事業を始められます。こうして再生可能エネルギーを始めやすい環境を作り出し、再エネ普及を進める目的で再エネ賦課金はスタートしました。再生可能エネルギーの普及を目指す背景としては、以下が挙げられます。

  • 日本はエネルギー自給率が低い
  • 温室効果ガス削減を目標としている

日本はエネルギー自給率が低く、燃料調達を輸入に頼る火力発電を主要電源としています。そのため、国際情勢の影響を受けて燃料調達が困難になれば、安定したエネルギー供給はできません。安定的なエネルギー供給の実現に向け、燃料調達を他国に依存しない再生可能エネルギーを普及させるためには、再エネ賦課金による支えが不可欠なのです。
また、日本はパリ協定に基づいて温室効果ガス排出量の削減を目指しており、こちらも目標実現のためには再生可能エネルギーの普及が欠かせません。

再エネ賦課金額の算出方法

再エネ賦課金の負担額は「消費電力量×賦課金額」によって算出できます。2020年5月から2021年4月までの賦課金額は2.98円です。つまり、1ヶ月のうちに使用した電力量が100kWhであれば、電気料金に含まれる再エネ賦課金は合計298円となります。

以下画像のように、電力会社から交付される電気料金・消費電力量のお知らせを参照すると、どのくらいの再エネ賦課金を負担しているのか確認できます。

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは

*資源エネルギー庁「固定価格買取制度

2020年5月から2021年4月までの賦課金額は2.98円ですが、賦課金額は一定期間ごとに改定されます。

適用期間 賦課金額
2012年8月~2013年4月 0.22円/kWh
2013年5月~2014年4月 0.35円/kWh
2014年5月~2015年4月 0.75円/kWh
2015年5月~2016年4月 1.58円/kWh
2016年5月~2017年4月 2.25円/kWh
2017年5月~2018年4月 2.64円/kWh
2018年5月~2019年4月 2.90円/kWh
2019年5月~2020年4月 2.95円/kWh
2020年5月~2021年4月 2.98円/kWh

再エネ賦課金の負担が始まった2012年時点において0.22円/kWhだった賦課金額は、年々価格が上昇してきました。これは、2012年ごろは再生可能エネルギーが普及しておらず、電力会社が発電事業者から買い取る電力量が少なかったためです。

再生可能エネルギーの普及に伴い、電力会社が発電事業者から買い取る電力量は増えており、結果として消費者が負担しなければならない再エネ賦課金は増額されつつあります。上記の表に見られる賦課金額の上昇には、このような背景が関係しているのです。

再エネ賦課金の増額に対する反発と懸念

再エネ賦課金の負担が始まった2012年と比較して、2020年時点では賦課金額が10倍以上の水準になっています。

電力中央研究所が公表する「2030年における再生可能エネルギー導入量と買取総額の推計」によると、再エネ賦課金がこのまま上昇を続ければ、2030年度には1kWhあたりの負担額が約3.5~4.1円になるとのこと。政府が掲げている「再エネの最大限導入と国民負担抑制の両立」は、実現が難しいと考えられています。再エネの最大限導入と国民負担の抑制の両立が難しい要因は、大きく2つ挙げられます。

  • FIT制度により割高な買取価格を得ている未稼働の設備が多い(これらが稼働すれば負担は増加)
  • 稼働から10~20年間、電力は固定価格で買い取られるため、負担抑制のための価格変更ができない

割高な固定価格で売電する権利を得た設備の多くが、10年以上のあいだ国民の負担になってしまい、それらは負担軽減のために価格を改定できないのです。こうした状況に対し、消費者から公平性に疑問を唱える声が集まったり、有識者から持続可能性について懸念の声が挙がったりしています。

再エネ賦課金は今後どうなるのか

再生可能エネルギーの分野で先行しているドイツでは、これまで上昇を続けてきた再エネ賦課金が2021年以降から減額されます。

消費者の負担を減らすために国が補助し、2020年の6.756セント(約8.3円)から、2021年は6.5セント(約8円)に引き下げられるようです。ただし、国の補助がなければ1kWhあたり9.651セント(約11.9円)になるといわれており、実質的な再エネ賦課金の負担はまだ増加傾向にある様子。

同分野で先行するドイツでも、国の補助なしでは国民負担が増える一方であるため、過去のドイツに似た状況にある日本も負担は増え続けるものと思われます。再生可能エネルギーを普及させるために、いまは消費者が力をあわせて発電事業者を支援するフェーズはしばらく続く見込みです。

再エネ賦課金の支払いが免除される条件

以下の条件を満たし、経済産業大臣の認定を受けた事業所(主に企業)は、再エネ賦課金の支払いが減免されることとなっています。

上記を満たせば再エネ賦課金のすべてが免除されるわけではなく、設定された減免率に則って一定の割合が免除される仕組みです。以下のように、減免率は事業の種類によって異なるほか、優良基準と呼ばれる基準を満たすか否かによっても変動します。

優良基準の判断方法については、資源エネルギー庁が公表する「賦課金減免制度について」に詳しい記載があるため、そちらをご参照ください。

日本では「不公平だ」という意見が多い

日本国内の電力供給は現状、燃料の大部分を輸入に頼る火力発電に依存しており、エネルギー効率に優れた原子力発電は多くが稼働を停止しています。化石燃料が自国から収集できる見込みはなく、原子力発電所の本格稼働は安全性の保証が得られるまで困難でしょう。
このような状況において、日本を他国の燃料に依存しない自立した国へ変えるためには、再エネ賦課金の負担により「リスクを背負って事業投資をしている発電事業者」を支えることが不可欠です。
いま再生可能エネルギー普及の一端を私たちが担うことで、将来的に私たち消費者が救われることになるため、再エネ賦課金の徴収を一概に不公平とはいえません。

再生可能エネルギーの分野が進んでいるドイツでは…

日本に比べて、再生可能エネルギーの分野で進んでいるドイツは、国民が再エネ賦課金に対して前向きです。

賦課金額が6.24セント(約8.7円)だった2014年当時のドイツでは、世論調査に回答した人々の過半数が賦課金額に対して「妥当」や「低い」と回答し、負担を抑えるために再生可能エネルギーの普及を止めることに対して70%以上が「無意味」や「あまり意味がない」と回答。
このように、消費者の負担軽減のために再生可能エネルギーの普及を止めるより、賦課金の負担を許容してでも普及を進めることに前向きだったことが、発電量の半分以上を再生可能エネルギーが占める現状のドイツを作っています。

エネルギー自給率が低い日本もドイツにならい、未来への必要投資として再生可能エネルギーの普及へ協力する意識が求められるのかもしれません。

おわりに

再エネの普及は、日本をエネルギーの自給自足ができる国にするため、および温室効果ガスの排出量を抑えるために不可欠です。そして、再エネ賦課金による発電事業者への補助は、政府が目指す再エネの最大限導入を実現するうえで重要な役割を持っています。私たち電力の消費者はいま、日本国民の未来のために再エネ賦課金を負担し、次世代により良い日本を託せるよう行動することが求められているのです。