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太陽光発電の平均発電量と算出方法

太陽光発電の実際の発電量は地域や時間帯によってどのくらい変わるのでしょうか。非常に気になる部分です。何となく、日照時間が短い冬よりも夏の方が多いのではないか、曇天よりは晴天、雨や夜間はゼロ、というイメージではないでしょうか。具体的な数字をもとに太陽光発電の平均発電量や、効率的に発電するコツ等を紹介したいと思います。

太陽光発電の平均発電量

太陽光発電の発電量は一日当たり2.5~3.8kWh/kW、一カ月あたりの総発電量は約80~120kWh/kWの間。季節により、数字は変動します。冬は日射量が減るので発電量は少なくなり、夏は日射量が増えますが気温の上昇で太陽光パネルの出力が低下し、春に比べて発電量が伸びない日もあります。

晴れの日には正午をピークに日の出から日没まで左右対称の山型で発電量は推移します。曇りの日は太陽から直接受ける日光=直達日射量はゼロでも、大気に拡散する光=散乱日射量が増えることにより、晴れの日の半分弱程度は発電します。雲が厚くかかり、太陽の光が届かない雨天時や降雪時は特に発電量が減り、中には0.2kWh/kW程度しか発電しない日もあります。

 月別

月ごとの平均発電量ですが、多いのは6月を除く3月から8月です。6月と言えば梅雨があり、雨の多い月です。もちろん梅雨の無い地域では6月の発電量は変わりますし、空梅雨みたいな年は発電量が増えるでしょう。暖かくなってくる3月から夏の終わりまでがピークと言えそうです。

意外と1月や2月も発電量は悪くなく、逆に一番悪いのが9月だったりします。これは台風の影響が大きいと考えられます。とはいえ、日本は東西にも南北にも長く、北と南でやはり日照時間等は変わってきます。平均的な月別の発電量でいうと、3月、4月、5月、7月、8月がもっとも多く発電が見込めます。

時間帯別

時間帯ごとの平均発電量を見ていきましょう。もちろん太陽が出ていない時間に発電は期待できませんので、日の出から日没までが発電可能時間になります。下記グラフのように、夏であれば5時や6時ころから発電し始め、12時頃にピークを向かえます。12時に一日の最高の発電量を出し、その後は緩やかなカーブを描きながら発電量は減少していき、日没後は0になります。

*晴天の日の水平面における日射量:単位はMJ/㎡
*国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)「日射量データベース 閲覧システム」

天気別

天気別の平均発電量を見ていきましょう。もちろん、一番いいのは日の出から日没までまんべんなく晴れている日がベストです。日中全ての時間で発電することが出来ます。曇りの日だとどうなるのでしょうか。グラフではこんな感じになります。

*曇天の日の水平面における日射量:単位はMJ/㎡
*国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)「日射量データベース 閲覧システム」

太陽光発電は曇りの日でもそこそこの発電量を見込む事が出来ますが、晴れの日に比べるとその発電量は4~6割くらいになってしまいます。雨の場合も、わずかに発電しています。雨の日の発電量は次のようになります。

*雨天の日の水平面における日射量:単位はMJ/㎡
*出典:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)「日射量データベース 閲覧システム」

発電には気温も影響します。気温が高いと、発電効率が落ちるというのが一般的です。したがって、夏よりも春の方が、発電量が多くなります。ただし、これはモジュールの種類ごとに特性が違い、気温が高くても効率良く発電するパネルもあります。

地域別

地域別の平均発電量を見ていきましょう。

  • 発電量が多い都道府県ランキング
1位 山梨県 1436kWh/kW・年
2位 長野県 1427kWh/kW・年
3位 徳島県 1373kWh/kW・年
4位 静岡県 1368kWh/kW・年
5位 群馬県 1366kWh/kW・年

トップは山梨県で、続いて長野県、徳島県、静岡県、群馬県と続きます。大まかなイメージとしては広い平野があり、山など南向きの斜面が多く、晴天の多い地域で発電量が多い傾向になります。

  • 発電量が少ない都道府県ランキング
47位 秋田県 902kwh/kW・年
46位 青森県 1027kwh/kW・年
45位 鳥取県 1055kwh/kW・年
44位 北海道 1064kwh/kW・年
43位 岩手県 1070kwh/kW・年

秋田県がワーストで青森県、鳥取県、北海道、岩手県となっています。雪国が大半を占めています。雪で太陽光パネルが覆われては発電出来ないという理由です。また、鳥取のように南向きの斜面が少ない地域も、発電量が少なくなっています。トップとワーストの10道県をあげましたが、必ずしもワーストの県だから太陽光発電に向かないというわけではなく、土地の状況などで十分な発電量が期待できることもあります。また、日本は欧州に比べると緯度が低く、安定して発電できるともいえるでしょう。

発電量の算出方法

太陽光発電を設置する場所ごとに、どのくらいの発電量が期待できるのでしょうか。地域ごとに、また設置条件ごとに発電量を算出する計算式があり、地域ごとに発電量を算出してくれるツールもありますが、ここでは一般的なものを紹介します。

計算方法

 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)によると、

Ep=H×K×P×365÷1

という計算式で太陽光発電の平均発電量は求める事が出来ます。

Epは年間予想発電量、Hは接地面の一日当りの年平均日射量。そこに損失係数であるK(年平均セルの温度上昇による損失、パワーコンディショナーによる損失、配線、受光面の汚れ等の損失)=0.73を掛け、システム容量のPを掛け、365を掛け、1で割る(標準状態における日射強度)事で求めることが出来ます。

東京の年平均日射量を13、システム容量を5kwとして計算してみましょう。

年間予想発電量=H(接地面の一日当りの年平均日射量)13×K(損失係数)0.73×P(システム容量)5×365÷1

計算の結果、17319kwhが年間予想発電量になります。

Hの、接地面の一日当りの年平均日射量は地域によって違いますから、上記の式に自分が導入しようとしている太陽光発電のシステム容量を当てはめて計算すると発電量は計算出来ます。損失係数は、発電システム上、ある程度仕方がない部分でもありますし、工夫すれば改善することが可能です。

日射量を調べるには下記のサイトが便利です。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のHPにある「日射量データベース 閲覧システム」 で調べることができます。このデータベース上で、太陽光発電を計画している地域を検索して、日射量を見てみましょう。そうすれば、システム容量を抜きにしておおよその発電量が計算出来ます。

活用できるツール

発電量の計算において、活用できるツールは上記NEDOの「日射量データベース」を紹介しました。

しかし、計算しなくても、簡単に発電量を予測してくれるサイトがあります。一例として、東京電力ベンチャーズが公開している太陽光発電の発電量予測「Suncle」があります。これは、GoogleのProject Sunroof技術を利用しており、自宅の屋根を指定すれば、どのくらいの発電量が見込めるのかを予測してくれます。

他にも、各太陽光パネルメーカーがシミュレーションのサイトを設けています。実際に、どこのパネルにするか決まっていなくても、見積もりや計算をしてもらうのは無料なので、活用してください。

スマートフォンのアプリケーションとしては、SUNNY PORTALというアプリがiOSAndroidに対応していて使いやすいと思います。発電量などの情報をスマートフォンからモニタリングでき、実際に契約していなくても、デモアカウントでテストが可能なアプリになっています。海外製ですが、日本語にも対応しているのでダウンロードしてみてもいいでしょう。

発電量を下げる要因

せっかく太陽光発電を設置しても、十分な性能が発揮できずに発電量が下がることがあります。どのような要因があるのでしょうか?
先ほど発電量を求めるときに、損失係数をかけました。NEDOの場合は0.73をかけており、27%が損失となっていることがわかります。一般的な事業者は0.8くらいの損失係数を使っており、この場合は20%が損失となっています。では、損失係数の内訳はどうなっているのでしょうか。ここには発電量を下げる3つの要因が含まれています。

  • セルの温度上昇による損失

発電するパネルの表面温度が高温状態になると本来のパフォーマンスが発揮出来ず、十分に発電できません。一般的に、25℃での発電を出力計算の基準にしているパネルが多く、それ以上の温度で効率は少しずつ下がります。もっとも、温度耐性があるパネルを製造しているメーカーもあります。また、熱への対応は現在も各メーカーが取り組んでおり、今後の技術の発展に期待です。

  • パワーコンディショナーによる損失

太陽光発電がつくる電気は「直流」の電気ですが、送電線で家庭に送られてくる電気は「交流」の電気なので、電気を直流から交流に変換しなくてはいけません。このときにも、電気の損失が起こりますが、パワーコンディショナー(パワコン)の性能によって数字は異なってきます。パワコンのカタログには変換効率が記載されているので、参考にしてください。

  • 配線受光面の汚れ等による損失

配線ケーブルが細かった場合や、太陽光パネルが汚れている場合、パネル表面に影ができる場合などでも、発電量の損失が起こります。

効率的に発電するコツ

気温はどうしてもコントロールができないものですが、温暖な地域では、熱に強いパネルを選ぶということも選択肢の一つとなります。パワコンもなるべく効率がいいものを選定することになります。また、配線ケーブルはなるべく短くて太いものにすることで損失を少なくすることができますが、太い配線ケーブルを使用するとコストがかかります。

太陽光発電パネルの向きと角度も重要です。太陽がよく当たるように設置すれば効率は良くなります。向きと角度ですが、最適なのはパネルを南向きに設置し、傾斜角30度~40度が理想とされます。パネルの向きは非常に重要で向きが東や西向きだと、南向きより効率は20%落ちます。北側だと、半分以下になることもあります。ただし、この角度は、地点によって異なります。九州や沖縄のように緯度の低い地域は角度も低くなります。

*日本太陽光発電協会

真南に向けることができない場合であっても、図で見てもわかるように、南東や南西でもある程度南を向いていれば南向きに設置した場合の90%の発電量が見込めます。まとめると、太陽光発電において温度は非常に重要な要因であり、太陽光パネルを選ぶ際は温度への耐性などを考えて選ぶのがいいでしょう。

次に設置場所ですが、その際は傾斜角やパネルの方角をきちんと計算して設置場所を考えるのが大事です。自分で日射量を調べるのも大事ですが、理想的な設置場所などを一緒に考えて選んでくれる施工業者などを探すのも大事だと言えます。もちろん、太陽光発電のパネル枚数自体を増やすことも発電量を増やすことになりますが、無理に増やすのではなく、予算や、日射量の確保などをきちんと調べてから設置するのがいいでしょう。

おわりに

どのくらい発電できるのか、採算がとれるのか、非常に大事な部分です。何が何でも一番数字の高いパネルを選ぶことが一番いいというわけではなく、設置環境や損失係数、予算などを踏まえて、賢く選ぶことが大事です。

何よりも太陽光発電においては地域の日射量を調べること、南に向けて設置する事が大事であり、気温の上昇は発電効率に大きく影響するという事です。 複雑なことのように思えますが、導入する太陽光発電のパネルを選ぶにあたっても様々なサイトやツール、アプリがあります。いろんなツールを活用し、シミュレーションしておくことが大事です。きちんとした数字を自分で把握することで、悪質な業者による被害を防ぐこともできます。