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太陽光パネルの変換効率が左右される要因・対策

太陽光発電システムにおいて、太陽光パネルは選択肢も多く、実際に太陽光を電気に変える部分でもあるので重要です。変換効率はメーカーによって様々ですし、色々な原因で変換効率が変わってきます。変換効率は売電における利益に直結してきますので、信頼できるメーカーを選ぶのが大事です。アフターケアはどうなのか、保証はどのくらいの期間なのか。太陽光パネルのメーカーを選ぶということは今後、何十年も太陽光発電を行っていくパートナーを選ぶ事でもありますから、安心できるメーカーを見つけましょう。

変換効率とは?

変換効率とは太陽電池モジュールが太陽のエネルギーをどれくらい電力に発電できるかを数値化したものです。この効率が太陽光発電でどれだけのエネルギーを電気にすることができるかどうかの要になります。変換効率が大きいほど多くの電力を発電できます。

変換効率には2つの指標が存在します。一つがモジュール変換効率、もう一つがセル変換効率です。
モジュール変換効率とは、太陽電池モジュールの1平方メートルあたりの変換効率を表す指標です。太陽電池モジュールの発電能力を表す指標としてもっとも多く使われるのがこのモジュール変換効率です。モジュール変換効率は、次の計算式を用いることで求めることが出来ます。

モジュール公称最大出力(W)÷モジュール面積(㎡)÷太陽光エネルギー1,000(W/m²)×100

モジュールの最大出力が200W、モジュールの面積が1.5m2だったとしましょう。太陽光のエネルギーは、1m2あたり1000Wと考えると、モジュールの変換効率は、およそ13.3%ということになります。

続いて、セル変換効率です。製品のスペックなどを見ていると、モジュール変換効率以外にセル変換効率が載っています。セルは太陽電池モジュールを構成する最小単位の構成部品であり、セル変換効率とは太陽電池セル1枚あたりの変換効率を表す指標になります。セル変換効率を求める計算式は次のようになります。

セル変換効率=出力電気エネルギー÷太陽光エネルギー×100

セルの変換効率は、セルを繋げた時の電気抵抗の影響を受けないので、モジュールの変換効率に比べて高い数値が出る傾向があります。見栄えがいいので施工業者の中にはセル交換率だけをPRする人もいるかもしれません。

モジュールもセルも変換効率は年々上昇しています。しかし、太陽光のパネル自体が光を反射してしまうことや、セルそのものの電気抵抗などにより、100%吸収して電力にすることは不可能です。

太陽電池の原料と変換効率を高める技術 

変換効率を高めるにはどうしたらいいか、各社様々な技術、素材を投入してきています。

NEDOの資料によりますと、単結晶シリコンが最大で20%の変換効率を誇り、低コストでもあることから人気です。多結晶シリコンの変換効率は最大で15%ほど。単結晶よりも安価で効率がいいのが特徴です。薄膜系シリコンやアモルファス(非結晶)シリコンも実用化されており、こちらは効率が低いのですが、シリコンの使用量が少なく、大面積で量産可能、高い気温に強いことも特徴です。以前はカネカなどが薄膜系シリコンの製品を販売していましたが、現在では、より高効率の太陽光パネルが求められることから、販売しているメーカーはほとんどありません。この他、単結晶や多結晶とアモルファス系シリコンを組み合わせたハイブリッド系があり、パナソニックが製品化しています。

シリコン系以外にも化合物系の太陽電池モジュールもあります。実用化されている2種類を紹介します。
CIS系化合物を使った薄膜系の太陽電池モジュールは最大14%の変換効率です。銅、インジウム、セレンの3種類の物質が主原料で、ソーラーフロンティア等が生産しています。比較的低コストで生産可能なところが特長です。十分な面積があり、低コストに抑えたいときメリットがあります。
化合物系ではセル効率が最大38%のものなどもシャープなどが研究しています。

主要な住宅用太陽電池モジュールの変換効率

東芝

東芝は最大モジュール変換効率22.1%。現時点では世界NO.1メーカーになります。一枚あたり、公称最大出力は360Wなので、先ほどの計算式に当てはめると凄さが分かると思います。

パネルの性能で見てみてもパネル裏面にも電極を搭載するバックコンタクト方式を採用しており、実発電量でも、他のメーカーの追随を許しません。

パナソニック

モジュール変換効率は19.9%と2.2%で東芝を追いかけています。18年11月に発売開始した変換効率19.9%の最新パネルが好調で、全体的にモジュールが小さいのも日本の住宅には適しているということで人気を集めています。
また、パナソニックの太陽光パネルは、アモルファスシリコンと単結晶を組み合わせた高性能なパネル「HIT」であることが最大の特徴です。HITは従来の太陽光パネルの弱点となる高温時でも発電効率が低下しにくく、1年を通して安定して発電できると言われています。

シャープ

モジュール変換効率19.6%。安いがシャープは性能がよくない、とは昔の話で今や第三位の変換効率を誇ります。独自のルーフィット設計により、様々な形のパネルを一つのシステムで組むことができるのもシャープの特徴です。個性的なデザイナーズ物件や、入り組んだ場所でも発電量を確保できるのが強みです。

カナディアンソーラー

2001年設立のカナディアンソーラーも評価が高いです。カナディアンという社名ながら生産拠点はほぼ中国にあります。低価格ながら発電性能が高いのも特徴です。著名な製品シリーズは変換効率19.22%を誇り、高性能なモジュールメーカーだと言えるでしょう。

三菱電機

最後に三菱電機を紹介します。というのも、三菱電機は部材が塩害地域に対応しています。モジュールの出力保証は20年あり、公称最大出力の80%を下回った場合は無償で、修理、交換してくれるのもうれしいところ。ただ、三菱電機は自社ブランドでの太陽光発電システムの製造・販売を20年3月で終了すると発表しています。保証などは続くみたいですが、この三菱の特徴を継いでいく会社がどんなサービスを打ち出すかは気になるところです。

太陽光発電システム設置場所が海から最大50mの位置でもメーカー保証が付くのも利点ですので、潮風の影響がある地域は、三菱電機が選択肢の一つになるでしょう。

変換効率の経年劣化と寿命

太陽光パネル自体は前述のパワコンに比べて寿命が長く、20~30年以上はもつと言われています。しかし、電化製品なので変換効率は毎年0.3%ほど劣化していく傾向にあります。長く使えば使うほど、徐々に変換効率は下がっていきます。極端な変換効率の低下に対しては、メーカーの出力保証で対応できますが、保証期間がどのくらいあるのかは、確認が必要です。

発電の変換効率は下がっても、発電はできます。しかし、正確な太陽電池モジュールの寿命は、明確ではありません。太陽電池モジュールが登場して日が浅く、寿命に至っていないからです。実際に、30年を超えて稼働している太陽光発電も存在します。

とはいえ、一般的には25~30年以上が太陽電池モジュールの寿命といわれています。長く付き合うパネルになりますから、慎重にいいものを、自分の設置状況にあったものを選び、きちんとメンテナンスして長く使っていく事が大事です。

変換効率が左右される要因

モジュール変換効率が16%の太陽光発電でも、実際に16%の高率で発電できるとは限りません。さまざまな要因で変換効率は下がります。

設置場所

理想的な設置場所は南向きです。南向きに太陽電池モジュールを設置するのが最大限、太陽光を取り込むことが出来ます。住宅であれば屋根の南側に設置しましょう。

気候・気候

太陽電池モジュールは熱に弱いという性質があり、太陽光発電の変換効率を定める国際基準では、25℃の環境で計測された数値が変換効率としてカタログなどに載せられています。気温が25度を超えると変換効率は下がり始め、気温が上がる度に発電量が低下していきます。30℃を超える真夏では三割ほど発電量が下がる場合もあります。 

真夏の太陽ですと、モジュールが太陽の熱により変換効率が下がってしまい、暑過ぎる季節はベストではありません。真夏のカンカン照りよりは、初夏等の気温で陽の届く日がモジュールにはベストです。

故障・不具合

初期不良や自然故障、施工不良などが発生する可能性も考えられます。もし、故障が起きた場合でも早期発見できれば被害は最低限に済みますので、故障していないかどうかのチェックは欠かさないようにしましょう。

積雪

太陽電池モジュールに雪が積もってしまったら、そのモジュールは発電が出来なくなってしまいます。また、雪は重さがある為、モジュールの破損にもつながることがありますが、大変危険なので自分で除雪することは絶対にやめましょう。雪が大量に積もりどうしても除去する必要がある場合は、専門業者に依頼することを検討してみてください。一方で、一般的な屋根材と比べ、太陽光パネルに積もった雪は滑り落ちやすくなり、落雪による思わぬ事故につながる場合があります。思わぬ落雪事故を防ぐためには、屋根の雪止めがきちんと機能するよう太陽光パネルを設置することが大切です。

天災

台風・落雷などの自然災害にも気をつけましょう。システムトラブル等で、太陽光発電の変換効率が下がる、発電出来なくなる場合があります。台風の強風でモジュール自体が吹き飛んでしまうケースもありますし、豪雨などではパネルが水没してしまう事もあります。落雷に関しては、太陽光発電システムに雷への対策が施されており、被害は少ないといえます。また、雷による故障等はメーカーの災害補償が適用されるか事前に確認することをおすすめします。

パネルの汚れ         

樹木や雲の影、鳥の糞や落ち葉がモジュールのうえにあり、太陽光を遮ってしまうと当然、変換効率は下がります。また、太陽電池モジュール表面の汚れや影などが原因で、影になってしまったパネルのセルがパネル全体の電気の流れをせき止めてしまい、発熱するホットスポット現象が起きる可能性もあります。最悪、火事につながるので注意が必要です。

定期的な清掃も大事ですが、降水量の多い日本では雨で汚れが洗い流されるので、そこまで汚れを気にする必要はありません。万が一なにか異変が起きていないかどうかを早期に発見する為にも人の目でこまめに点検、適宜対応するのが大事です。太陽電池モジュールや周辺環境のメンテナンスは定期的に行いましょう。

経年劣化

設置してから、日にちがたてばたつほど変換効率は下がっていきます。劣化を完全に防ぐことは不可能ですが、適切なメンテナンスやケアを行うことで劣化を遅くすることは出来ます。他の設備よりも寿命は長い太陽電池モジュール。細かなチェックは欠かさないようにしましょう。

塩害

海風はモジュールにとっても影響大です。海岸からの距離が2キロ以内の場所は、塩害地域と呼ばれ、海風の影響を受けます。塩害対策を施していない太陽電池モジュールの場合、モジュール自体の劣化またはパワコンなどの電子機器の破損に繋がる事があります。その際、発電量も下がる可能性があるので注意しましょう。塩害対策が施された太陽電池モジュールを選ぶのが最適です。

太陽光パネルの形状の種類

太陽光パネルも様々な種類が登場しています。屋根に載せる一般的なものから、最近では両面パネルなども登場しました。
両面パネルは、文字通り太陽光パネルの表と裏にモジュールを搭載するものです。垂直に設置することができるため、従来のものより多くの用途で使用できることから注目を集めています。表と裏の両面で発電するので、片面にくらべ、変換効率の増加が見込まれます。直接の太陽光だけでなく、地面、雪、水面からの反射光も取り込むことが可能になり、モジュールの設置角度も限定されません。

太陽光パネルのガラス表面を凹凸構造にすることで太陽光の反射光を拡散・低減する防眩タイプのパネルも登場しました。反射光対策が求められる案件や「防眩指定」の案件などに導入されています。高速道路や空港施設などで多く採用されています。高耐荷重タイプはモジュールのフレームを強化する事で、耐荷重性能を高めたパネルです。雪の多い地域で採用される事が多いパネルです。 高層ビルや強風の地域向けに強度を高めた高強度タイプの太陽光パネルも登場しています。

太陽光パネルの技術研究は日々進化しており、透明なタイプのパネルなども研究段階では登場してきています。透明なパネルであることで視野を遮らない為、住宅の窓や、オフィスビルの壁面などにそのまま使うことが可能になることから、大きな注目を集めています。

おわりに

実際に太陽光を電気に変える装置である太陽光パネルは、変換効率を重視して選ぶのはもちろんですが、変換効率を左右する要因も存在しますし、設置状況によっては導入出来ないパネルもあります。当然、価格も考えることになります。多くのメーカーが太陽光パネルを発売しており、それぞれに長所と短所があります。
自分が設置したい場所や環境に応じて適切な太陽光パネルを選択しましょう。特に、積雪のある地域や海岸の近い地域などは、対策を考えて慎重にパネルを選ぶことが重要です。設置の際には、どういった保証がメーカーからあるのか、またその期間はどのくらいで適用対象はどうなのかを確認しておきましょう。