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太陽光発電の費用の仕組みを理解し、FIT終了に備えよう

石炭や石油などの化石燃料の大量消費によって、二酸化炭素排出が増大し、地球温暖化問題を深刻化させています。そこで、二酸化炭素を出さないエネルギーとして再生可能エネルギーに対する期待が高まっています。日本ではとりわけ太陽光発電の普及が進んでいます。しかし、普及にあたっては、再生可能エネルギーは燃料代がかからないとはいえ、まだまだ高いと思われています。

ここでは、太陽光発電の費用の仕組みや価格などを具体的に見ていきましょう。

太陽光発電の費用の仕組み

発電設備ごとの費用の仕組みは、以下のグラフのようになっています。バイオマスを除く、再生可能エネルギーは、燃料費がかからないという特長があります。すなわち、太陽光発電は燃料費がかからない、ということが大きな違いです。グラフは2014年時点のもので、少し古いのですが、価格の構成がわかるものとして掲載しました。
現在は、太陽光発電の費用はさらに安くなっており、10円/kwh程度となっています。一方、火力発電の費用はほとんど変わっていません。

*経済産業省発電コスト検証ワーキンググループ資料

初期費用

では、太陽光発電の初期費用はどうなっているのでしょうか。主要な機器としては、太陽光発電モジュール、太陽光で得た電気を変換するパワーコンディショナー、その他機器や、架台、電線などの部材の費用、および設置工事費用がかかります。特に野立ての大規模な太陽光発電所では、土地の造成工事など土木工事もあります。さらにさまざまな手続きにかかる費用も含まれます。

初期費用は、近年は各機器の価格が下がってきたことで、大きく減少してきました。具体的な費用に関して、経済産業省資源エネルギー庁が発表している資料によると、2019年度の太陽光システム価格水準では以下の通りです。

10 kW以上~50 kW未満 推定平均23.6万円/kW
50 kW以上~500 kW未満 推定平均21.8万円/kW
500 kW以上~2MW(2000 kW)未満 推定平均21万円/kW
2MW以上 推定平均20.7万円/kW

*一般社団法人 太陽光発電協会「太陽光発電の状況 ー FIT抜本見直しと成長戦略 ー」より

一方、10kW未満の住宅用はどうでしょうか。こちらも実勢価格では、23万円/ kW程度とみられます。

ランニング費用

太陽光発電は、メンテナンスフリー(保守費用不要)だと思われている方も少なくありません。しかし、安定して発電していくためには、適切な保守や運転管理が必要です。保守・運転管理の費用はどうなっているでしょうか。一般的に、2,000円/ kW~3,000円/ kW程度をかけているようです。

では、具体的に、どのような作業が必要なのでしょうか。
事業用の発電所では、日常的な運転監視が行われています。きちんと発電しているのかどうかを、チェックしているのです。太陽光発電パネルやパワコンにトラブルがあれば、発電量が減るのでわかります。
定期的な検査も行われています。また、野立てであれば、草刈りは欠かせません。故障ないしは寿命がきた機器の交換が必要な場合もあります。特にパワコンの寿命は10年から15年といわれています。このように、燃料が不要な太陽光発電であっても、ランニング費用はかかっています。

太陽光発電の電気のコスト

太陽光発電でつくった電気は高いのか、安いのか。これが気になるところだと思います。
太陽光発電の発電コストは火力発電などとくらべて、かなり高コストな発電方法でした。しかし、日本政府は、固定価格買取制度(FIT)の導入を通じて、太陽光発電の価格を下げながら設置を推進してきました。

現在も発電コストは下がり続けています、また時代のニーズとしてもクリーンな再エネを求める声は大きく、今後は主力電源となっていくでしょう一方で、廃棄されていく太陽光パネルをどうするのか、自然災害などで破損した場合はどうなるのか等の議論があるのも事実です。もちろん、日の沈んだ夜間に発電する事は出来ないため、夜間に対応した電源を確保するコストもかかってきます。発電コストだけではなく、災害時の電源としての価値などもふまえ、評価していくことが適切となってくるでしょう。

固定価格買取制度(FIT)とは

固定価格買取制度(FIT)とは再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。FIT導入の背景には、先述のグラフに記載したように、太陽光発電における発電コストが高かったという理由があります。そこで政府は、FITを導入する事で価格を下げながら、太陽光発電システムの設置を推進してきました。

FITの対象となる再生可能エネルギーは、「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」の5つです。また、FITの対象となるためには、国による設備認定を受ける必要があります。住宅用となる10kW未満の太陽光発電は自家消費分を除く、余剰電力を買い取りの対象としており、これ以外は、いずれも発電した全量が買い取り対象となっていました。ただし、2020年度に設備認定を受ける分からは、10kW~50kW未満の太陽光発電についても、3割以上の自家消費が要件となります。
また、太陽光発電だけ2009年11月1日に余剰電力買取制度としてFITがスタートし、2012年7月1日から、他の再エネも含めて固定価格買取制度としてスタートしました。

2020年度以降のFITと非FIT電源

2020年度は太陽光発電にとっての変換期だと言えます。
2019年11月には、住宅用太陽光発電でFIT制度を終えた「卒FIT」が出てきました。そのため、各メーカーや電力会社などは「卒FIT]、「FIT後」を見据えたサービスをどんどん打ち出してきています。例えば、少しでも高く余剰電力を買い取るだけではなく、ポイントカードとの連携などでお得なサービスを提供することや、蓄電池と組み合わせたお得なサービスを展開する事業者も出てきました。

2020年度には、FITによる事業用太陽光の買取価格と入札上限価格が12円/kWhまで下がり、さらに前述のように10kW~50kW未満では13円/kWhとするかわりに、地域活用電源として3割の自家消費が必須となっています。そのため、事業用の太陽光発電でも、自家消費モデルの方が経済性が高いというケースが出てきています。特に、特定の会社に電気を販売するための太陽光発電は、PPA(電力販売契約)とよばれており、日本では事業所の屋根に設置するケースが増えています。

一方、FITそのものも抜本的な見直しが進んでおり、近い将来、市場ベースの買取価格に環境価値の価格を加えた(フィード・イン・プレミアム=FIP)という新たな制度が導入される見込みです。

FIT終了後も利益が見込めるのか

電力会社が再エネの電気を一定価格で一定期間買い取るのが FIT 制度ですから、いずれは買取期間が終わります。事業用太陽光発電の場合、買取期間が20年ですから、FIT制度がスタートした2012年7月から考えて、2032年7月から順次、買取期間が終了していきます。なお、買取期間が終了することを「卒FIT」といいます。
一方、住宅用太陽光発電の場合買取期間が「10年間」と設定されており、FITの前に2009年11月から余剰電力買取制度がスタートしており、10年後の2019年11月から順次買取期間が終了しています。卒FITの太陽光発電は、どのようにしていけばいいのか。こうした点にかかわる様々なことを「2019年問題」あるいは「2032年問題」といいます。

現在、卒FITの太陽光発電は、電力会社が8.5円/kwhくらいで買い取っています。これは、FITの買取価格と比べると大幅に安い価格です。そのため、蓄電池を購入して、なるべく自家消費したいという世帯もあります。

事業用太陽光発電も、卒FITを迎えたときに、その後どうするのか判断が必要となります。引き続き電気を売る場合は、おそらく、5円/kwh程度になるといわれています。それでも、貴重な二酸化炭素を出さない電気なので、ニーズがあります。
一方、20年後に発電事業をやめるという判断もあります。この場合は、撤去が必要となります。現在は、撤去費用を積み立てておくことが必須となっています。

太陽光発電で得た収入は税金対象?

住宅用太陽光発電の場合、発電した電力量の中で、家庭で消費しきれない電力=余剰電力を売ることができます。余剰電力の売却によって収益が出た場合、通常の消費生活同様に、所得税が適用されます。これは収入を得ているので、年間で所得の申告の必要がある金額を上回ると税金対象になるので申告して税金を納めないといけません。

また、太陽光発電は屋根などに太陽光パネルを設置するわけですから、パネルも屋根の一部とみなされ、固定資産税がかかってくる場合があります。しかし、こちらの税金に関しては各自治体によって対応が変わってくるのでお住いの自治体に確認しておくことが重要です。また、こうした固定資産税や所得税の対象となることが、再エネ導入の妨げの一つになっていることは政府も理解しているので、まずは政府から再エネ導入における固定資産税の軽減制度を設けています。そのうえで、太陽光発電の設備に関しても、他の再エネと同じく各自治体にある程度の権限を与えて、固定資産税においてはある程度の上下限の中で、税の優遇措置を受けることが可能になっています。

事業用太陽光発電の場合は、事業収入に対して所得税が課税されますが、事業用太陽光発電には固定資産税の特例措置があります。事業用の太陽光発電を設置した場合、特例措置として最初の3年間は固定資産税が3分の2に軽減され、1年目の減価償却率は半分になります。太陽光発電の耐用年数は17年となっているので減価率0.127になります。事業用の太陽光発電を設置する場合は売電額も大事ですが、固定資産税も考えて選ぶことが大事になります。

主要メーカー一覧

どのメーカーの太陽光発電パネル、パワコンにするかは、さまざまな情報を集め、比較して決めていくことになります。具体的な最新データによりますと、国内外主要メーカーの価格・発電量・変換効率は下記のようになります。

メーカー名製品名 (一例) 最大発電量変換効率メーカー希望小売価格
SHARPNB-245AB 245w 19.7% 176,400円
NORITZPVMD-P20501-SQ 205w 15.2% 115,000円
カナディアンソーラーCS6V-225M 225w 16.63% 141,750円
三菱電機PV-MA2250K 225w 15.80% 148,500円
東芝SPR-250NE-WHT-J 250w 20.1% 182,500円
PanasonicVBHN250SJ31 250w 19.50% 163,000円
スマイルソーラーJAM5(L)-72-200/SI 200w 15.7% 120,800円
LIXILLX2B-270H 270w 16.60% 135,000円
ソーラーフロンティSF170-S 170w 13.8% オープン価格
京セラKJ220P-3MRCG 220w 16.20% 105,600円
長州産業CS-310G21 310w 18.90% 201,500円
フジプレアムFCT-230Y3 230w 15.75% 138,000円

最大発電量や、変換効率、発電特性、価格などを考慮して決めることになりますが、上記の数値はあくまでカタログ等に記載された理論上の数値、最高の効率で出力した場合です。効率はロケーションによって違ってきます。最大発電量は条件がもっとも良かった場合のものですから、常にその発電量が保証されているわけではありません。

こうした比較表は参考に、自分の設置状況に適した太陽光発電システムを、信頼できる施工業者などと相談しながら見つけるのがベストだといえるでしょう。

おわりに

ここでは、太陽光発電の費用やその仕組みを、FIT制度などもからめてしょうかいしました。 太陽光発電はコストが下がる一方で、FIT制度の見直しが進んでおり、費用や仕組みはこれからも変わっていきますが、基本的な考え方は変わらないでしょう。積極的に情報を収集・整理し、適切な太陽光発電を設置・運用していただけたらと考えています。

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