日本郵政グループは脱炭素に舵を切る。5月14日に発表した中期経営計画において、2050年までに温室効果ガスの排出量をグループ全体で実質ゼロにする脱炭素化に向けて、2025年度までに3万台以上の集配車両をEV(電気自動車)に切り替えると表明した。また郵便局で使用する電力を再生可能エネルギーに転換する。
日本郵政グループは、全国に約2万4,000もの郵便局を持ち、10万台を超える集配車両を保有している。巨大な物流インフラを抱える日本郵政グループは気候災害などにさらされており、脱炭素への取り組みの遅れは経営リスクに直結する。
そのため2030年度までに温室効果ガスの排出量を46%削減し、2050年の脱炭素を目指す目標を掲げている。目標達成の鍵を握るのが、日本郵政グループの温室効果ガス排出量のうち、6割以上を占める電力消費の脱炭素化だ。
実現に向け4月には東京電力と提携し、郵便局に太陽光発電などを設置し、使う電力を再エネに転換すると発表していた。さらに提携を通じて、電動オートバイやEVの導入を進めるとともに、郵便局内に充電設備を整備し、EVを「動く蓄電池」として災害時に活用できるよう、実証実験を進める意向を示してきた。
今回発表した中期経営計画ではさらに一歩踏み込み、郵便局で使う電気の再エネ化や、太陽光発電の設置による自家発電、そしてLED照明の導入によって、2025年度までの5年間で約16%の温室効果ガスの削減を見込む。
さらに軽自動車1万2,000台、二輪車2万1,000台を順次、EVに切り替える。EV化によって、今後5年間で2万9,000トンのCO2を削減できるという。
日本郵政グループは地域住民への充電サービスの提供など、全国の郵便インフラ網を活用した脱炭素事業を通じて、収益拡大へとつなげたい思惑がある。
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