トヨタ自動車の株価が6月15日、1949年5月の上場以来、初めて1万円を突破し、終値が1万75円となった。2025年までにEV(電気自動車)15車種の市場投入や、2030年までにグローバルで電動車800万台を販売するといった脱炭素戦略が市場からの評価を高めている。
トヨタの株価は業績のわりに上がらない「割安株」とされてきたが、脱炭素戦略の鮮明化とともに、株価は上昇。そのきっかけのひとつが5月12日に公表した2021年3月期決算だ。
コロナ禍、さらに半導体不足といった環境下でも、前年比10.3%増となる2兆2,452億円の最終利益を叩き出し、危機的な状況でも稼げる力を市場に示した。
さらに決算発表では脱炭素戦略の施策を公表。2030年までにEVなどの電動車の世界販売台数を800万台にする目標も掲げた。
市場はEVなどの強化策を好感し、5月12日の終値は前日比182円高の8,523円をつける。
その後上昇気流に乗り、5月18日には上場以来最高値となる8,819円をつけた。上昇基調は止まらず、6月4日には9,949円をつけ、最高値を更新する。
こうしたなか、トヨタは6月11日に2035年までに世界の自社工場から出るCO2を実質ゼロにする新たな目標を発表。これまでの計画を15年前倒しするものだ。さらに自社グループのみならず、調達先などを含めたサプライチェーン全体での削減に向け、部品メーカーに対しても排出削減に関するノウハウを共有する方針も示し、脱炭素戦略をさらに鮮明にした。
市場は一連の取り組みを評価し、6月15日に上場以来初めてとなる1万円台を突破すると、16日の終値では100円高の1万175円をつけた。
トヨタ株は時価総額が約33兆円と国内最大だ。1万円の大台をつけたことで、利益確定の売りが一定出る模様だが、足もとのPER(株価収益率)は12倍となっている。アナリストの中には、「株価上昇の余地はまだある」という見方もあり、トヨタ株の上昇は今後も続く可能性がある。
ニュースの最新記事