金融庁は、持続可能な社会づくりを目指した資金の流れを起こす「サステナブルファイナンス」を推進するための金融行政方針(2021年7月~2022年6月事務年度)を8月31日に公表した。
金融庁主導で設立する「グリーン国際金融センター」構想を掲げ、日本銀行や東京証券取引所と連携し、 ESG投資を国内に呼び込む。
「グリーン国際金融センター」は、政府が4月19日に開催した「気候変動対策推進のための有識者会議」で打ち出したもので、「世界に開かれた国際金融センター」として、グリーンボンド(環境債)やトランジションボンド(移行債)の取引市場と位置付ける構想だ。
東京証券取引所などとともに6月に改訂したコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)は、上場企業の一部に気候変動リスクの開示を求めている。それにより、取引所でのESG関連債の情報発信も充実させている。 国際的な枠組みで大手金融機関の監督を進め、グリーンボンドなどに投資しやすくする環境も整える。
政府は、金融機関に対し、投融資先が気候変動に対応できるように積極的に関与し、ノウハウを提供することで投資先の支援を着実に進めることを期待。
さらに、金融機関が気候変動リスクを定量的に把握した上でビジネス・財務上の戦略や投融資先の支援にシナリオ分析を活用する上での課題等を特定していくために、政府が金融機関と積極的に議論を行っていくという姿勢を示している。
今回の行政方針で、国際的な枠組みに基づく気候変動のシナリオ分析を三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクと、東京海上ホールディングス(HD)、MS&ADインシュアランスグループHD、SOMPOHDの大手損保3グループに実施し、各金融機関の取り組みを監督する。
投資家が脱炭素などに投資する投資判断を容易かつ的確に行える環境整備が期待されている。
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