2021年8月5日、英国の電気自動車(EV)充電アプリや充電ポイントデータを扱うZAP-MAPは、エネルギーや炭素を扱うデータサイエンス企業のAdvanced Infrastructureと提携し、EVドライバー向けの低炭素ルートプランナー機能を持つシステム「ZAP-ZERO」を開発することを発表した。
ZAP-MAPが現在提供しているアプリケーションのルートプランナーでは、EVドライバーに、EVの航続距離と充電能力に基づいて、旅行などにおける充電ポイントを示したルートを作成する機能を提供している。これに、Advanced Infrastructureの電力ネットワークと電力量あたりの二酸化炭素排出量の詳細なデータが加わるしくみとなる。この統合によって、EVドライバーには電力ネットワークデータに基づいた、個々の充電ポイントの電力の二酸化炭素排出係数が提供され、ユーザーはドライブの途中で二酸化炭素排出の少ない充電ポイントを選択することができる。
今回の共同提案に対し、英国運輸省のOZEV(Office for Zero Emission Vehicles)が同じ英国政府機関のInnovate UKと提携して資金を提供、2社は54万ポンド(約8,200万円)を獲得した。
ZAP-ZEROはルートプランナーの機能の一部として開発され、2022年初頭にリリースされる予定だ。
Zap-Mapの共同創設者兼CTOであるBen Lane氏は、「ドライバーは、CO2排出量を削減したいという理由で電気を選択します。Advanced Infrastructureのデータの統合により、詳細な排出原単位が提供され、ドライブにおけるカーボンフットプリントが減少し、企業がCO2レポートの詳細と透明性をさらに向上させるのに役立ちます」と述べている。
この背景には、英国の2018年合理化エネルギーおよび炭素報告法(SECR)に基づき、すべての大企業は、活動に関連する排出量(直接排出量と電力消費量に関連する間接排出量の両方)を報告することが要求されていることがある。SECRは、電力消費からの排出量を報告するために場所と時間に固有のデータを使用するよう企業に求めているが、これを達成するために利用できるデータとツールはこれまで不足していた。
Advanced Infrastructureの共同創設者兼COOであるLily Cairns Haylor氏は、「Zap-Mapおよび(再生可能エネルギー企業の)Good Energyと協力して、EVドライバーが車両の充電に使用する電気の二酸化炭素排出量についてより高い透明性を提供できることをうれしく思います。すべてのEV充電ポイントに関連する排出量は、送配電網内の場所と時間によって決まっています。Zap-Zeroはそのデータを消費者に提供し、EVドライバーが二酸化炭素排出量を正確に測定し、小さなルーティング調整を行うことで、国全体の二酸化炭素排出量を大幅に削減できるようにします」と述べている。
Good EnergyのCEOであるNigel Pocklington氏は、次のように付け加えている。
「EVドライバー向けの新製品とサービスの継続的な展開は、私たちのビジネスの重要な焦点となるでしょう。Zap-Zeroは重要なプロジェクトであり、100%再生可能な使用時間料金を利用して研究を支援しています。この市場が成長し続ける中、人々が恩恵を受けるためのEVおよびデジタル製品、サービス、パートナーシップをさらに構築することを楽しみにしています」ということだ。
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